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    ちゃん

    38sgmj

    DOODLEタイトルのまんまです。
    猫になっちゃった犬飼先輩と辻ちゃんのおはなし🐈
    無意識無自覚ですきすきしてる犬飼猫と、聖母系お兄ちゃんしてる辻ちゃんがいます。
    猫になっちゃった犬飼先輩と辻ちゃんのおはなし ……はぁ。なんかよくわかんないけど、トリオン兵の攻撃当たったら猫になっちゃったんだよね。

     別に舐めてかかってたわけじゃないし、でもだからってめちゃくちゃ格上の相手ってわけでもなかったし、民間人もいなかったから誰かを庇ったり動きに制限があったわけでもなかった。でも、レーダーにも反応しなくて、しかもトリオン体の能力をもってしても目視不可能だったそれをすんでで躱わせただけでも正直頑張ったほうだと思ってる。左の上腕部のスーツがピッと引っ掻かれたように破れていて、ほんの僅かだけれどトリオン漏出の淡い煙が上がっていた。ぎりぎりアウトだったかぁ。そう思って、駆けつけてくれた辻ちゃんがすごい速さで対象を切り裂いて、それで、うっわ、なんか目の前ぐらぐらする、なんて思っているうちに、おれ、多分、猫になっちゃったんだよね。意識も知識も情報も今までの延長線上にあるのに、体だけが猫。白い前脚に、わ、可愛い、ピンクの肉球。おれの髪色に似た燻んだ金色の尻尾。新しいトリオン体だと思えば、まぁ、悪くないか? なんてちょっと首を傾げて考えていると、珍しく辻ちゃんが大きな声で犬飼先輩! って叫んで、おれの前に膝をついて驚いた顔をしていた。これは珍しい、辻ちゃんでもこんな顔するんだ。辻ちゃんはすぐに冷静な顔に戻って、離れた場所にいる二宮さんとひゃみちゃんに連絡を取り始めたけれど、おれはなんでかそんな辻ちゃんの斜めになった長い膝上に乗りたくて仕方なかった。それどころじゃないだろうに、あはっ、おれ、意外と楽観的かも。うける。どうにも抗えない本能のまま辻ちゃんに近づいて、うろうろして、体でも擦りつけてやるか、なんて思っていると、犬飼止まれ、って二宮さんの鋭い声が体中を駆け巡った。うわぁ、二宮さん、声でっか。思わず体をぶるりと震わせると、なんだかぶわっと、おれ、大っきくなってる気がする。なぁに、もしかしてこの体、膨らんだりする? たっのしぃ。猫になった自分の体をきょろきょろ眺めてはおもしろがっていると、上から辻ちゃんのやさしくて、なんだか申し訳なさそうな声が落ちてきた。
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