アルカ
さち倉庫
DONEハイカヴェ(アルカヴェ)教令院学生時代の二人。
素敵な漫画を元に書かせていただきました。ありがとうございます。
その日、アルハイゼンは教令院内にある学習室に朝から籠ってレポートを書きまとめていた。室内の奥まった西陽の差す場所にある席をとり、テーブルの上には参考書やレポートの紙が束になって置かれている。
静かな室内でカリカリと紙の上にペンを走らせて音頭の中にある考えを無心になって綴っていると、外から何やら賑やかな人の声が聞こえた。
ペンを走らせる手を止め、窓から外を覗くと中庭の木漏れ日の中を数人の学生たちが歩いていた。
その中でアルハイゼンの目に留まった人物がいた。美しい金髪と赤い瞳が目立つ一人の男。
「(彼は……確か妙論派の……)」
アルハイゼンが記憶を辿ると確かに彼のことを知っていた。
「(……そうだ、カーヴェ先輩。建築の分野において逸材と言われている人、だったか?)」
732静かな室内でカリカリと紙の上にペンを走らせて音頭の中にある考えを無心になって綴っていると、外から何やら賑やかな人の声が聞こえた。
ペンを走らせる手を止め、窓から外を覗くと中庭の木漏れ日の中を数人の学生たちが歩いていた。
その中でアルハイゼンの目に留まった人物がいた。美しい金髪と赤い瞳が目立つ一人の男。
「(彼は……確か妙論派の……)」
アルハイゼンが記憶を辿ると確かに彼のことを知っていた。
「(……そうだ、カーヴェ先輩。建築の分野において逸材と言われている人、だったか?)」
さち倉庫
DONEハイカヴェ(アルカヴェ)アルハイゼンの初恋の話。
青年は今でもよく覚えている。
部屋に差し込む陽光に照らされた横顔を。情熱と自分の世界だけを映している真っ直ぐな瞳を。
青年は今でもよく覚えている。
ダン!と酒の注がれたジョッキがテーブルに勢いよく叩きつけられる。一瞬、周りにいた他の客たちの視線を集めたがテーブル席にいる男を見て「ああ、またあの人か」といった様子で何事もなかったようにそれぞれが食事や会話の続きに戻った。
ジョッキを叩きつけた金髪の男は向かいに座っている銀髪の男をキッと睨みつける。
「アルハイゼン! あれはいくらなんでも彼女に失礼だ! 彼女がどんな気持ちで君に想いを伝えたかわかっているのか!?」
「ではあのとき俺にどうしろと? 彼女が俺に好意を抱いていることはわかった。だが、俺は彼女のことを知らないしそれは彼女だって同じだろう」
2100部屋に差し込む陽光に照らされた横顔を。情熱と自分の世界だけを映している真っ直ぐな瞳を。
青年は今でもよく覚えている。
ダン!と酒の注がれたジョッキがテーブルに勢いよく叩きつけられる。一瞬、周りにいた他の客たちの視線を集めたがテーブル席にいる男を見て「ああ、またあの人か」といった様子で何事もなかったようにそれぞれが食事や会話の続きに戻った。
ジョッキを叩きつけた金髪の男は向かいに座っている銀髪の男をキッと睨みつける。
「アルハイゼン! あれはいくらなんでも彼女に失礼だ! 彼女がどんな気持ちで君に想いを伝えたかわかっているのか!?」
「ではあのとき俺にどうしろと? 彼女が俺に好意を抱いていることはわかった。だが、俺は彼女のことを知らないしそれは彼女だって同じだろう」
yushio_gnsn
DONEアルカヴェSS叡智の扉、開けてしまった――それは、学者としての単純な興味であった。
思い浮かんだ言葉に対し、アルハイゼンは心の中で首を横に振る。「学者として」という括りは正確さを欠いている。正しくは、知能を持つ存在であれば誰しも抱く欲求であろう。
例えば、子供が森の中で見たこともない花を見つけた時のような。あるいは、猫が新しいおもちゃを見つけた時のような。何が言いたいかというと、彼の背中にある謎の露出部位は、アルハイゼンが興味を抱くに値したということだ。
「……はぁ、コスト削減とはいえこれではあまりにも……いや、別の工法であればあるいは」
彼、というのはアルハイゼンの家に転がり込んできた借金まみれの建築家、カーヴェのことであった。 言い争いの絶えない仲でありながら、本日は珍しく独り言を言いながらも真面目に仕事をしている。新しい建築物のデザイン画と設計に必要な数字を計算しては眺めるの繰り返し。
1997思い浮かんだ言葉に対し、アルハイゼンは心の中で首を横に振る。「学者として」という括りは正確さを欠いている。正しくは、知能を持つ存在であれば誰しも抱く欲求であろう。
例えば、子供が森の中で見たこともない花を見つけた時のような。あるいは、猫が新しいおもちゃを見つけた時のような。何が言いたいかというと、彼の背中にある謎の露出部位は、アルハイゼンが興味を抱くに値したということだ。
「……はぁ、コスト削減とはいえこれではあまりにも……いや、別の工法であればあるいは」
彼、というのはアルハイゼンの家に転がり込んできた借金まみれの建築家、カーヴェのことであった。 言い争いの絶えない仲でありながら、本日は珍しく独り言を言いながらも真面目に仕事をしている。新しい建築物のデザイン画と設計に必要な数字を計算しては眺めるの繰り返し。