「たらいまぁ〜!」
いつものように外で酒を存分に味わってきたカーヴェが帰宅すると家の中は暗く、家主の姿も見当たらなかった。
「なんだ、アルハイゼンのやつもう寝たのかぁ?」
『もう』と彼は言うが夜も深け普通の人であればとっくに寝ている時間だ。カーヴェはリビングの電気を点けるとキッチンへ向かいコップに注いだ水を一杯飲み干し、それからまだおぼつかない足取りでアルハイゼンの部屋へ向かった。
そーっとドアを開け、リビングの明かりで彼が起きないように部屋に入るとすぐに後ろ手でドアを閉めた。ベッドの側まで近寄るとアルハイゼンが仰向けの状態で規則正しい呼吸をしながら眠りについている。
「…………」
カーヴェはベッドサイドに座り込むと、柔らかなマットの上で頬杖をついた。目を細めアルハイゼンの寝顔を眺める彼の表情はとても穏やかで、泥酔して帰ってきた人間とは思えないほどだ。
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