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    イベント

    するめまちこ

    PAST5/3イベントにて発行した無配の小説です。
    *ドラゴンスレイヤー後、『凶』前。色々捏造なお話。 何となく注文した唐揚げ弁当を、沢村は半分も食べないうちに持て余していた。どうせなら、さっぱりしたものにすればよかった、と悔やむ。
     毎朝の恒例である弁当の注文は、朝礼の後の形式だけのラジオ体操の後、作業内容によって班分けされた作業員達が持ち場につく頃、現場監督の補佐役がメモを片手に聞きに来ることになっている。日当に含まれている仕出し弁当は幾つかの種類があり、ハンバーグやミックスフライの他、稀に魚料理がおかずになる日替わり、それに定番の唐揚げ弁当だ。沢村の属する八班に今日はどうする?と聞きに来るときには、補佐役のメモには幾つかの『正』の字が並んでおり、同じ班の作業員達が日替わりやミックスフライと我先にと口々に言うのを聞き、横に幾つかの線を足していく。補佐役が足した線を数え、「お前は?どうする?」と尋ねられる頃には、注文を終えた作業員達は安全ベルトの装着を進めており、今日の作業がああだこうだと話始めている。差し迫った完成予定日やそんなことを考慮されない資材の納品日に、明日以降の連続した雨予報。時間はいくらあっても足りないくらいだ。頭の完全に回っているとは言えない、そこそこの早朝に昼頃の腹具合を察することは簡単ではないが、口からは咄嗟に「唐揚げ」という単語は容易に出た。何の気なしに出てしまったのだ。
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