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    エイ

    bach_otamama

    DONEフォロワさんへのお誕生日プレゼント代わりの掌編です。
    聖下の話。時間軸としてはROM6のパウラのバトル直後。
    ラストはレクイエムの歌詞ですが、ミサの際に唱えられる言葉でもあるそうです。
    本来は日本語に「レクイエム・アエテルナム・ドナ・エイス、ドミネ、エト・ルクス・ペルペトゥア・ルケアット・エイス」とラテン語のカタカナ表記をするべきなのだと思いますが、読みづらいのでラテン語の原文と邦訳を併記しました
    三度、知らないと言って 天地がひっくり返ったのだとあの時思った。実際にアイアンメイデンが回転し、文字通りひっくり返ったといえなくもないことをアレッサンドロはよく知らない。ただ、自分の命など歯牙にもかけないと思っていたパウラから向けられる眼差しが、これまでとは少し違っている気がした。

     冷厳なシスターの視線に込められたものをどう表せばいいのかアレッサンドロはわからない。かつて、幼い頃父に侍っていた女達が見せたような媚びとも、即位してから多くの者に向けられてきたような軽侮の念や失望などとも違う。むしろ、今までのパウラから向けられていたものはそれが近い。失望や軽侮ではなくもっと乾いたそれ、無関心という方が近かった。しかし、今のパウラがアレッサンドロへ向ける声や眼差しには立場上だけでないいたわりも感じられる。それは、亡き人を思い出させた。色も、性別も違うのに。
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    みずまわり

    DOODLEエイプリル主従フール記念 ノァレォ原稿をいいところまで晒す会
     エージェントの朝は早いかと聞かれると、そうとは限らない。ノアはいつもレオンよりも遅くに起きている。というよりも、レオンが起こしに来るから起きることができている。
    「おはようございます」
    「おはよう、レオン……」
    「電気、つけますよ」
     もごもごと口を動かすノアに一言断りを入れてからレオンはぱちりとスイッチを入れた。
    「まぶし……」
    「さっ、朝ごはんの支度はできておりますゆえ、わたくしと向かいましょうね」
    「はぁい……」
     ゆっくり起き上がるノアは眩しさに薄目で抵抗する。時計を見ればまだ七時。もっと寝ていたい。目が開ききらないノアにレオンはカーディガンを差し出した。
    「ありがとう」
     微笑んで会釈をするレオンは朝からスーパー執事全開である。例を一つ挙げるとすれば──ノアは朝食は軽い方が好きだ。レオンはそれを知っている。だから朝に用意するのは、さらりとしたスープと小さなバゲットがふたつ。スープには見た目の軽やかさからは信じられないほどありとあらゆる栄養が詰まっている。こんなにシンプルに見えるのに何故か元気になるんだよね、とまじまじとスープを眺めるノアを見ながら、レオンは内心ガッツポーズを浮かべている。
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