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    キジ

    くじら

    DONE付き合ってるなゆみゆがデートしてて界川さんが旭さんに見繕った服着せてる話。界川さんはもちろんですが旭さんもだいぶ界川さんのこと好きじゃん。て文になった(事後報告)
    なゆみゆデート話「やっぱ那由多、こういうのも似合うって!かわいいじゃん」
    ぽんと背中を叩いて鏡の前へ連れて行くと、そっぽを向いていた銀髪がようやく深幸のほうを見た。
    「お前、なんでそんなに楽しそうにしてんだ。……意味わかんねえ」
    薄い唇がはあ、と小さく息を吐く。仏頂面なことに変わりはないが、いつもの鋭い眼光はなりを潜めた緋色がゆっくりと細められた。比較的に今日の那由多は機嫌が良いほうなのだろう。その証拠にこうして深幸の見立てた衣服を大人しく試着している。
    「んーー…だってさ、好きな子が俺の選んだ服を着てくれてたら嬉しいじゃん。それにいつもと違うテイストのも似合うなって気づけることもあるし?」
    思っていることをそのまま口にしてみれば、妙に気恥ずかしくなった。目の前の恋人はというと、不可解だと言わんばかりに僅かに眉を顰めて腕を組んだ。深幸といる時の那由多は、普段よりかはこうして思っていることを露にしている。それは喜ばしいことなのだが、ここまで共感を得られないと本当に那由多は己の恋人なのかと不安にもなってくる。否、那由多に共感を求めているわけではない。ただ、独りよがりな気持ちの押し付けはしたくないのだ。気がつけば深幸の視線は足元に落ちていた。
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