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    コミュニティ

    _Tbm_Su

    DOODLEこの投稿内容はフィクションなのでもし文中に登場するものと同様のコミュニティが実在していても一切関係ありません!!!!!!!!ソイヤッwwww
    俳優志望の主人公は演技力を磨く一貫として通話アプリ上のとあるコミュニティに参加している。そこは主人公と同じ志を持つ者達の集まりで、チャット・ボイスチャット問わず、すべてのやりとりをロールプレイを通して行わなければならないという一風変わったルールが定められた場所だった。本来の自分を表現する行動は全面的に禁止されており、アカウントの名前やプロフィールの内容も自身が演じているキャラクターに合わせ変更しなければならない(これに関しては参加者同士の設定のすり合わせという側面もある)。 演じる役や演技期間は各々の自由で、数週間同じキャラクターを演じ続ける者もいれば、日によって違う人間に変わる者もいる。小さな子どもから老人に至るまで、本当に様々な面々が集まっては雑談やゲームなどをして過ごし、己の技術に磨きをかける、そんな場所だった。その中でも主人公にとって一際輝きを放つ存在がいた。名前はユキ。毎週金曜の二十ニ時になるとボイスチャットに現れる。誰に対しても分け隔てなく接する、快活で負けず嫌いな女性。猫好きだがアレルギー持ち。悲鳴を上げるほど芋虫が苦手。好きな食べ物はエビピラフ。酒が入ると笑い上戸に。某楽器店に勤務しており、自身も楽器を弾くことが出来る。相棒は父親から譲り受けたクラシックギター。ボイスチャットを退出する前には一曲演奏するのがお決まりとなっていた。ナイロン弦のやわらかな響き、普段とは一変した気だるげな声色。主人公は彼女の演奏が好きだった。ここでの会話中徹底した演技を心がけ、キャラクターを崩すことのない主人公だが、彼女が演奏を始めればたちまち素の自分へと戻され、ヘッドホンから流れてくる心地よい音色に聞き入ってしまう。しかし曲が進むにつれ、暖かな感情で満たされた胸中は段々と重く沈んでいく。彼女との七日間の別れを告げる音のひとつひとつを、疎まずにはいられなくなるのだ。
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