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物心付く前から焦がれる想いがあった。
愛しいと思う感情だけが在り、それが誰なのかも分からず、眼を凝らしても視えない星の裏側に手を伸ばし続けた。
肉体が成長するにつれ疼きに襲われた。
躰の奥から燻る熱はじくじくと肌を灼き、満たされることのない渇きが絶え間なく湧き上がり自らを慰め続けた。
他者を求めても渇きは止まず、欠けた穴の形も分からぬまま我武者羅に文字を綴りその姿を探した。
嵌ることのなかった無数のピースに足を取られ、摺鉢状に広がる残骸が巨大な蟻地獄となって重い躰を飲み込む。
身を裂かれる痛みと窒息が促す光の先を、誰かの声が呼び戻す。
ただ、求めるしかなかった。

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書店には賑やかな話声が響いていた。
書店の一角に設けられたイベントスペースでは和やかな空気で準備が進められている。