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    チョコレート

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    DONE現代AU晏沈のちょこれーとぷれいです
    苺とチョコレート ハンガーにコートを掛け、手を洗い、買ってきた物を仕分けて片付ける。あとは、革靴にブラシをかけて、浴槽にお湯を張って、……と、帰宅早々沈嶠がきびきびと動いている間、一緒に帰って来た晏無師は真っ直ぐにキッチンへ向かっていた。きっと食品を冷蔵庫に入れているのだろう、と沈嶠は特に気にかけていなかったが、一通り片付けを終わらせた沈嶠がキッチンに向かうと甘い香りが漂ってくる。夕飯は食べて来たのに、と沈嶠はキッチンを覗き込んだ。

    「何を作っているんです?」
    「さっきのホテルのチョコレートソースは甘すぎたからな。私好みの味にブレンドしている」

     尋ねてきた沈嶠に、晏無師は楽し気に返事をした。どうやら今日食べたチョコレートフォンデュを早速自分で作り始めたようだ。こだわりが強い晏無師らしい、と沈嶠は苦笑する。それなら私はお茶でも淹れよう、と沈嶠は茶葉の入った缶をいそいそと取り出し、電気ケトルの電源を入れた。お湯が沸くまでの間、晏無師の作業を隣で見守ることにする。調理台の上はいつの間に買ったのか様々な種類のチョコレートが所狭しと並び、小鍋の中ではこっくりとした色のソースが混ぜられていた。キッチンには芳醇なカカオの香りが充満し、口の中に唾液が湧く。
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    いと(ito_rin_mori)

    DOODLE20240211
    杏千バレンタイン2024
    キ学軸 🧹(中2?)⇒🍠(27)へのチョコレート
    せんくん無自覚。兄は…?
     色めき立つ女の子たちを尻目に、さっさと校舎を後にした。同じ学校の高等部の教師である兄上に会わないためだ。正確には、兄上に会わない、というよりは兄上が女子生徒からチョコレートをもらう場面に遭遇したくないからだ。毎年、あれだけ多くのチョコレートを紙袋に詰めて帰ってきていたのだ。生徒から大量にプレゼントされているのは、入学前から認識していた。生徒はイベントに参加したいだけだから教師は丁度いいんだ、と貰った本人は笑い飛ばしていたけれども、絶対にそんなことはなかった。確かに冷やかしや友チョコの延長のようなチョコが入っているのは、否定できなかった。しかし、中には明らかに手の込んだラッピングの手作りの品や高級ブランドの箱が含まれていたのだ。それらが「丁度いいから」なんて、適当な理由で他人に渡しやしないだろう。まぁそうなんだろうな、と思ってはいたが、実際のその現場を目にすると破壊力がある。そう、僕は去年、兄上が本命チョコをもらう場面に遭遇してしまったのだ。危うく声が出そうになったが、寸で止めた。そのまま立ち去ればよかったものを、思わず覗き込んでしまった。フルフルと震える細い手は見えた。表情は窺いきれず、声は聞こえない。聞こえずとも、出刃が目には違いないのだから、とっとと立ち去るべきだった。なのに、まるで地面に足が縫い付けられているかのように動けなくなってしまった。そもそも、兄弟の恋愛に触れるなって嫌なもんだ。ましてや、年が離れているから兄上の恋愛事情なんて知らない。でも、僕の胸のモヤモヤは、そういうものとは違うような気がした。
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