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    ナツ

    exchira_oxchira

    DONE律ちゃま、お誕生日おめでとうございます。あなたが生まれてきたこの世界を、憂うことはのなつが担当します。せめて、今日だけは、今夜だけは。
    愛されて、愛して生きているあなたを愛おしみます。これは、羨みかもしれません。のなつの夏に律ちゃまのお誕生日は来ないかもしれないけれど、のなつの夏に律ちゃまはいないのかもしれないけれど、いないかもしれないからこそ、のなつは律ちゃまを消費します。待ってて、君の夏で。
    あくるひその日は茹だるような暑さで、朝に撒いた水は30分もしないうちに干上がって地面から色すら消えてしまって、もう面影もなかった。昨日の夕方に降った大粒で大量な雨の恩恵すらも消え失せて、草花木果は喘ぐことも出来ず項垂れている。夏仕様に花など生けてある暖炉はけれど、この国の花では似合わないな、とは、この季節に入ってから毎日ぼんやり感じていた。そんなこと気にも留めないように、彼女は桃のカプレーゼを退屈してつつく私を見ている。満足そうに、夕日色のおめめを弧にして。私は本当なら、カプレーゼを食べるなら白ワインがいい。こんな夏には、着たいワンピースがあるし、実家に帰らない、と、…それってどこのことだっけ。誰がいるからそうしなきゃいけないんだっけ、ワンピースがしまってあるのはどこで、…ああまたこれだ。彼女といるようになってから、この屋敷に来てから?全部が曖昧模糊して、いやだ。ぜんぶ、ぜんぶ希薄になろうとしている。外との繋がり、他者との繋がり、…おかしいな、目の前の彼女だって、他者なのに、どうして今、一瞬含めないでいいと思ったんだろう。でも、こういう無駄なこと考えようとしちゃうのは、昔からだよね。ねえ。
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    mitulove_uno

    DONE展示小説②
    どーなつ組のうるふうっど先生の続きです。
    ウルフウッドがだいぶ愉快なことになりました。
    牧台が基本で葬台も少し出てきます。
    どーなつ組のうるふうっど先生〜ハッピー恋の進展編〜 園庭では子ども達が元気に駆け回り、笑い声が響いていた。ウルフウッドは子ども達と遊ぶ合間に、子どもの人数の把握と、危ない事をしている子がいないか確認する為にぐるりと園庭を見渡した。
    「ん?」
     途中で気になるものを見つけて視線が止まる。園庭の隅にしゃがみ込んで何かをしている子がいたのだ。子どもが静かにしている時は何かをやらかしている事が多い。ましてや普段元気いっぱいに走り回っているような子ならなおさらだ。
    「なにしとるん?」
     しゃがみ込む背中に近づき、ウルフウッドは声を掛けた。
    「あ、兄ちゃん」
    「兄ちゃんやない。先生やろ」
    「だってせんせぃ、ワイとそっくりやから」
     そう言って笑ったのはどーなつ組の園児ニコラスくんである。ニコラスくんが言った通り、ウルフウッドとニコラスくんはよく似ているが赤の他人である。もしかしたら遠い遠い親戚で血が繋がっているかもしれないが、今のところ血縁関係は無いというのがウルフウッドが知っている事実である。
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