ファウスト
かも@ねふぁ
DONE*いていな2展示*ネロとファウストが晩酌中に本についておしゃべりする短いお話。
左右不定、恋愛感情はうっすらある……かも?くらい。うっすらイチャイチャします。
作中に引用した詩はウィリアム・コリンズの「夕べの賦」です。
「ネロ、君はどんな本を読むの?」
(唐突だなあ。さては相当酔ってるな、先生)
「えぇ……?どうしたの先生、急にさ」
「いや、ネロはけっこう本を読むだろう。それでだよ」
小さなダイニングテーブルの向かいに座るファウストは、ほとんど水平に近い角度で頬杖をついてこちらを見つめている。いつもシャキッと伸びた背中は見る影もない。
(嵐に靡く南天の木みてえ。)
今日みたいに深い時間まで晩酌しないとお目にかかれない姿だけど、いまはそんな事よりも気になることがある。
「俺、ファウストにその話したっけ?」
たしかにネロは、時間が空いたときに本を読むのが好きだ。だが、そのことはほとんど誰にも話した記憶はない。
訝しむ気持ちが声に滲み過ぎないように、軽い調子で訊いてみると、ファウストはこともなげに答えた。
5449(唐突だなあ。さては相当酔ってるな、先生)
「えぇ……?どうしたの先生、急にさ」
「いや、ネロはけっこう本を読むだろう。それでだよ」
小さなダイニングテーブルの向かいに座るファウストは、ほとんど水平に近い角度で頬杖をついてこちらを見つめている。いつもシャキッと伸びた背中は見る影もない。
(嵐に靡く南天の木みてえ。)
今日みたいに深い時間まで晩酌しないとお目にかかれない姿だけど、いまはそんな事よりも気になることがある。
「俺、ファウストにその話したっけ?」
たしかにネロは、時間が空いたときに本を読むのが好きだ。だが、そのことはほとんど誰にも話した記憶はない。
訝しむ気持ちが声に滲み過ぎないように、軽い調子で訊いてみると、ファウストはこともなげに答えた。
rotten_Mame
DONE2022/11/05 いていな2展示作品人間の家族ができたネロが、家族の死後にファウストの元を訪れて居候する話。
ネロとファウストの間に恋愛感情はありません。ネロ×モブ人間の描写が中心です。
パスワードはお品書きに記載してあるので、そちらをご参照ください。
長い展示品になってしまいましたが、メッセージボードに書き込みなどしてくださると励みになります。
花が枯れたら会いに来て 洗濯物が溜まった日の朝は早く起きる。そうでなければ昼過ぎに起床して、朝昼兼用の食事を取る。洗濯物があったとしても天気が悪ければやっぱり昼過ぎに起床する。それがファウストの、嵐の谷での生活だった。ここ東の国は、晴れの日が他国と比べて少ない。それに加えて谷での生活は天気に左右されやすいので、晴天の朝を逃すと着るものに困ってしまう。
昨晩、ファウストは寝る前に戸締りをしながら、次の日が快晴になると察した。何百年も生きているからか、はたまた彼が魔法使いだからなのか、その因果関係は不明だけれど、ファウストは150歳を超えたあたりから、次の日の天候を空気中の水分量や風の動き、その土地の精霊のざわめきによって予測できるようになった。同じことを言う魔法使いもいれば、何百年も生きていてもその感覚自体がわからないという者もいる。
41642昨晩、ファウストは寝る前に戸締りをしながら、次の日が快晴になると察した。何百年も生きているからか、はたまた彼が魔法使いだからなのか、その因果関係は不明だけれど、ファウストは150歳を超えたあたりから、次の日の天候を空気中の水分量や風の動き、その土地の精霊のざわめきによって予測できるようになった。同じことを言う魔法使いもいれば、何百年も生きていてもその感覚自体がわからないという者もいる。
はなお
DOODLE【いていな2展示】毒を飲んだファウストに葛藤しながらネロが頑張る話(体調不良表現が含まれます)
続きます!今後R18になります!絶賛書いてます! 最終更新 2/11
追記 6/18
部数アンケhttps://docs.google.com/forms/d/1OQwSoTgl22oYMjAUcSS4kpirHuCECFQMB8pV8VxuQks/edit 11351
てんてんです
DONEファウストがネロの飯屋を成り行きで手伝うことになる話。全年齢です。後編は12月目処でまとめて上げるか本にできたら……できたらいいなぁ
【!注意!】
・キャラの死(ネロ、ファウスト意外)に関する表現があります
【いていな展示】五線譜の上、旅は続く (前編) 長い人生の中でひとつひとつの別れにいちいち心を傾けて擦り減っていては生きていけないことくらい、分かっているつもりだった。
どのみち、あと十年も経たないうちに離れるつもりの場所だった。流れた時間に対して変わらない見た目に不信感を抱かれる前にその土地を一度離れる必要があるのだから。世界の変化には良い風が吹いていたけれど、こんな東の辺境の地で凝り固まった価値観はたったの十数年で変わるものでもない。あと数十年経って、古い考えの人間達がこの世から去ってしまうまでは、悲しいことに。
十数年で離れるつもりの土地だったとはいえ、分かっていた別れと、突然突きつけられる別れではダメージが違う。あれは昨日の出来事で、店を畳むことになった原因は自分の不注意としか言いようがない。夜明け頃、だれもいないだろうと慢心して店の裏口に箒で降り立った時、がしゃんと皿が割れる音がした。裏口に呆然と立っていたのは常連客の、よく一人で店にくる純朴で明るい青年だった。しばらく病気で臥せっている妹のために、ネロの店のミネストローネが好きだからと店に来る度に持ち帰りで頼み、律儀にお礼のメモを付けた皿を夜のうちに返しに来ている子だった。
10771どのみち、あと十年も経たないうちに離れるつもりの場所だった。流れた時間に対して変わらない見た目に不信感を抱かれる前にその土地を一度離れる必要があるのだから。世界の変化には良い風が吹いていたけれど、こんな東の辺境の地で凝り固まった価値観はたったの十数年で変わるものでもない。あと数十年経って、古い考えの人間達がこの世から去ってしまうまでは、悲しいことに。
十数年で離れるつもりの土地だったとはいえ、分かっていた別れと、突然突きつけられる別れではダメージが違う。あれは昨日の出来事で、店を畳むことになった原因は自分の不注意としか言いようがない。夜明け頃、だれもいないだろうと慢心して店の裏口に箒で降り立った時、がしゃんと皿が割れる音がした。裏口に呆然と立っていたのは常連客の、よく一人で店にくる純朴で明るい青年だった。しばらく病気で臥せっている妹のために、ネロの店のミネストローネが好きだからと店に来る度に持ち帰りで頼み、律儀にお礼のメモを付けた皿を夜のうちに返しに来ている子だった。
chacco
DONE11/5いていな2新作展示漫画「雪だけが知っている」CPなし
盗賊時代ネロ+修行中ファウストが出会っていた話。現在の2人は覚えていません。
色々捏造なので目をつぶっていただけたらと思います。 14
くろみつ
DOODLEファウスト&ネロ全関係性内包WEBオンリー「隣にいてもいなくても2」展示作品ねこみみとしっぽ生えたネロとファウストがいちゃいちゃしてる。描きたいシーンだけかいてます。
※人間の耳に猫耳生えてるので耳が4つある状態のなんちゃってけもみみなのでご注意ください
18:40追加しました!1枚目も2枚目も繋がってないです、2枚目は多分この野外で…ネッという願望
※すこしすけべかも 2
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DONEファウスト&ネロ全関係性内包Webオンリー『隣にいてもいなくても2』開催おめでとうございます!!展示のネロ+ファウスト漫画です
パスはイベントページから(ヒント:日付)
ネロファウ: き3 乾眠クマムシ 13
ねむのき
DONE石になったネロと生きてるファウストの話朝、目が覚めた時の、今日は良い日になりそうだ、というくらいのささやかな予感で、生前整理を始めたことは正しかったらしい。
伝えたいことを書き残し、荷物を少しずつ減らし……そうして、もしもの時の後始末について頼む手紙を出したその日の夜、ネロの寿命は尽きたのだった。我ながら完璧なタイミングだと思う。力の強い魔法使いは自分の死期が分かるそうだが、わずかな予感くらいは弱い者にもあるのかもしれない。
それにしても、誤算だったのは石になっても意識が続いていることである。
よく考えれば亡霊に出会ったこともある以上、自分がそうならない保証はどこにもなかったのだ。死んだ後のことは自分には分からないだなんて、ある意味では気楽に考えていたのに、こんなことになるとは。
3222伝えたいことを書き残し、荷物を少しずつ減らし……そうして、もしもの時の後始末について頼む手紙を出したその日の夜、ネロの寿命は尽きたのだった。我ながら完璧なタイミングだと思う。力の強い魔法使いは自分の死期が分かるそうだが、わずかな予感くらいは弱い者にもあるのかもしれない。
それにしても、誤算だったのは石になっても意識が続いていることである。
よく考えれば亡霊に出会ったこともある以上、自分がそうならない保証はどこにもなかったのだ。死んだ後のことは自分には分からないだなんて、ある意味では気楽に考えていたのに、こんなことになるとは。
あいぐさ
TRAINING師弟時代、フィガロの服をこっそり着るファウストまわる 屋外での修行中、不自然な風がフィガロの長いケープを揺らす。
「……フィガロ様?」
淡い紫に発光する魔法で描かれた陣は、ファウストの気が緩んだ隙に寒い空気へ溶けていく。あっ、と困ったような顔をした彼に、フィガロはゆるりと笑った。
「あぁ、ごめんね。全く、いつも急だな……」
フィガロ様は偉大な魔法使い。だから、ときどきこうして思いもよらぬところから呼び出しがかかる。
「いえ、お帰りをお待ちしています」
ファウストが手を差し出すと、フィガロはありがとうと礼を言う。そして、その両手にずっしりと重いケープを置いた。
「夜までには帰ってくるからね」
「分かりました!」
上等な生地に皺がつかないように、長い裾が地面につかないように。ファウストはしっかりと抱き上げ、丁寧に頭を下げる。
1006「……フィガロ様?」
淡い紫に発光する魔法で描かれた陣は、ファウストの気が緩んだ隙に寒い空気へ溶けていく。あっ、と困ったような顔をした彼に、フィガロはゆるりと笑った。
「あぁ、ごめんね。全く、いつも急だな……」
フィガロ様は偉大な魔法使い。だから、ときどきこうして思いもよらぬところから呼び出しがかかる。
「いえ、お帰りをお待ちしています」
ファウストが手を差し出すと、フィガロはありがとうと礼を言う。そして、その両手にずっしりと重いケープを置いた。
「夜までには帰ってくるからね」
「分かりました!」
上等な生地に皺がつかないように、長い裾が地面につかないように。ファウストはしっかりと抱き上げ、丁寧に頭を下げる。
もりやま
DONE①【いていな11/5展示】ひまわりのエチュードの後〜くらいの距離感のネロとファウスト。たまに一緒に飲んだりし始めたくらいのイメージです。
2周年とかみたいに仲良くなる前に、こういう幕間があったかもなあ〜、あったんじゃないかなあ〜
酒と魚・・・
「あ、卵」
自分の前を飛んでいたネロがいきなりそう言って箒のスピードをゆるめたので、ファウストはびゅん、とネロを思いっきり追い越してしまった。
「何?」
一旦止まってネロのほうを振り返ったファウストは大きな声で聞き返す。ネロはふわりとすぐに追いついてきて、眼下の街を指さす。
「悪い、昨日卵切らしちまったんだった」
ぽり、と頭を掻いてネロはファウストの顔を伺った。
「市場寄って帰りたいんだけど……」
彼らが上空を飛んでいる街ではちょうど大きな市が催されていた。ネロは市の様子を見て、魔法舎のキッチンのことを思い出したらしかった。
別にいいけど、とファウストが頷くとネロはにかりと笑う。
「なんか他にも良さそうなもんがあったら買って帰ろうぜ」
5963「あ、卵」
自分の前を飛んでいたネロがいきなりそう言って箒のスピードをゆるめたので、ファウストはびゅん、とネロを思いっきり追い越してしまった。
「何?」
一旦止まってネロのほうを振り返ったファウストは大きな声で聞き返す。ネロはふわりとすぐに追いついてきて、眼下の街を指さす。
「悪い、昨日卵切らしちまったんだった」
ぽり、と頭を掻いてネロはファウストの顔を伺った。
「市場寄って帰りたいんだけど……」
彼らが上空を飛んでいる街ではちょうど大きな市が催されていた。ネロは市の様子を見て、魔法舎のキッチンのことを思い出したらしかった。
別にいいけど、とファウストが頷くとネロはにかりと笑う。
「なんか他にも良さそうなもんがあったら買って帰ろうぜ」
もりやま
DONE②【いていな11/5展示】現パロ大学生ネロとファウストの夏休みの朝。
無糖と間違えて微糖コーヒーを買ってしまうネロと、一緒に朝ごはんを食べるファウスト。
ネロの喫煙あり、2人が偶然同じアパート(部屋は別)に住んでいる設定です。仲良し。
微糖コーヒーと夏休み・・・
大学の夏休みも半ばの朝。
ネロは半分寝ぼけたまま冷蔵庫から1リットルのペットボトルのコーヒーを取り出した。つけっぱなしの古いクーラーの音が静かな部屋に響いているが、もう慣れていて気にならない。シンクの横に出したグラスに半分ほど氷を入れる。未開封のフタを開けてコーヒーを注ぎ、食パンを袋から取り出す。温めておいたトースターに食パンを入れる。オレンジ色のトースターの中をぼんやり眺めながら、シンクにもたれてアイスコーヒーを一口飲む、が。
「え、甘あ……」
部屋に一人なのに思わず声が出た。
ネロはコーヒーにシロップや砂糖は入れない。昨日の夜、バイト帰りにコンビニで買ったのも、ブラックコーヒーのはずだ。けれどネロの口の中には甘すぎるコーヒーの味が広がっている。
3607大学の夏休みも半ばの朝。
ネロは半分寝ぼけたまま冷蔵庫から1リットルのペットボトルのコーヒーを取り出した。つけっぱなしの古いクーラーの音が静かな部屋に響いているが、もう慣れていて気にならない。シンクの横に出したグラスに半分ほど氷を入れる。未開封のフタを開けてコーヒーを注ぎ、食パンを袋から取り出す。温めておいたトースターに食パンを入れる。オレンジ色のトースターの中をぼんやり眺めながら、シンクにもたれてアイスコーヒーを一口飲む、が。
「え、甘あ……」
部屋に一人なのに思わず声が出た。
ネロはコーヒーにシロップや砂糖は入れない。昨日の夜、バイト帰りにコンビニで買ったのも、ブラックコーヒーのはずだ。けれどネロの口の中には甘すぎるコーヒーの味が広がっている。
HATOJIMA_MEMO
DONEファウストを探し始めた頃のレノックスと、一人の魔法使いの出会いから別れのお話(パスワードはお品書きに記載しています)
魔法使いの約束過去WEBオンリー「月下、我らの歩みなり」開催おめでとうございます!
過客 それは、ネロに頼まれた買い出しの最中の事だった。
自分の買い物ついでに誰かの分を買ってくるのはいつもの事だが、ネロの頼むものはひいては魔法舎の皆の食事に直結してくる。結果なかなかのボリュームになったそれは晶一人では物理的に荷が重く、偶々通りがかったレノックスと共に向かう流れになった。
晶だけでは持ちきれなかった荷を抱え、遅れる事なく歩んでくれていたレノックス。そんな彼が、ふと雑踏の中で歩みを止めた。
はっと何かに気付いて、それを探すように周囲を見回す。
「レノックス? どうかしましたか?」
「……いえ、すみません。少し……」
そこで言葉を切って、戻りましょうと続けた彼に「はいそうですか」と頷ける晶ではなかった。少なくとも、僅かに落胆の色が見えた彼を放って買い出しに戻れる程太い神経はしていない。
14239自分の買い物ついでに誰かの分を買ってくるのはいつもの事だが、ネロの頼むものはひいては魔法舎の皆の食事に直結してくる。結果なかなかのボリュームになったそれは晶一人では物理的に荷が重く、偶々通りがかったレノックスと共に向かう流れになった。
晶だけでは持ちきれなかった荷を抱え、遅れる事なく歩んでくれていたレノックス。そんな彼が、ふと雑踏の中で歩みを止めた。
はっと何かに気付いて、それを探すように周囲を見回す。
「レノックス? どうかしましたか?」
「……いえ、すみません。少し……」
そこで言葉を切って、戻りましょうと続けた彼に「はいそうですか」と頷ける晶ではなかった。少なくとも、僅かに落胆の色が見えた彼を放って買い出しに戻れる程太い神経はしていない。
あいぐさ
TRAINING師弟時代、フィガロからあったかいシュガーをもらうファウストの話栄養素 足先がかじかむ冷え切った夜、眠れないファウストは温かなガウンと共に部屋を後にする。フィガロの屋敷にきてしばらく。生活には徐々に慣れてきたものの、薄暗い廊下は夜更けはまた違う景色を見せていた。
手元で明々と光る灯りだけを頼りに、ゆっくりと階段を降っていく。目指す場所はキッチンだ。
「……寒い」
空いた片手を首筋に当てると、刺すような冷たさが広がる。まるで氷を素手で掴んだみたいだ。今は履き物で隠れた足先も、きっと同じぐらい冷え切っているだろう。
今日は、外での訓練だった。フィガロの教えは分かりやすくもあるが、それと比例するぐらいに厳しいことも多い。身体中の穴という穴から体液が出たこともある。あれは、本当に死ぬかと思った。
1481手元で明々と光る灯りだけを頼りに、ゆっくりと階段を降っていく。目指す場所はキッチンだ。
「……寒い」
空いた片手を首筋に当てると、刺すような冷たさが広がる。まるで氷を素手で掴んだみたいだ。今は履き物で隠れた足先も、きっと同じぐらい冷え切っているだろう。
今日は、外での訓練だった。フィガロの教えは分かりやすくもあるが、それと比例するぐらいに厳しいことも多い。身体中の穴という穴から体液が出たこともある。あれは、本当に死ぬかと思った。
mgnk_hoya
REHABILI一緒にご飯を食べて笑ってくれるファウストに対しての独白ネロのネファのようななにかさよならを教えないでそれは遠い、遠い過去の記憶
忘れていた、忘れかけていた、忘れようとした記憶
ぼんやりと曖昧でまどろっこしい記憶
暖かい様な、肌寒い様な、手の届かない、記憶
金色の麦畑の中で微睡むとその記憶が形を帯びて自分の心を包み込んで溶け込んで行く感覚
心地がいいのに飲まれるのが怖い感覚
思い出して認識すると壊れてしまいそうになる感覚
1人を自覚してしまう記憶と感覚
恐ろしくて頭を振って現実に戻る
そうだったのに
その記憶を、母に頭を撫でられて、数少ない手作りの食べ物を一緒に食べた曖昧な優しい記憶を
思い出してしまう程の、神聖な存在
「ネロ」
名前を呼ばれて顔を上げればその神聖な存在に頭を撫でられて抱きしめられる
「泣いてるの?」
頬を伝う雫は悲しいからではなくて
488忘れていた、忘れかけていた、忘れようとした記憶
ぼんやりと曖昧でまどろっこしい記憶
暖かい様な、肌寒い様な、手の届かない、記憶
金色の麦畑の中で微睡むとその記憶が形を帯びて自分の心を包み込んで溶け込んで行く感覚
心地がいいのに飲まれるのが怖い感覚
思い出して認識すると壊れてしまいそうになる感覚
1人を自覚してしまう記憶と感覚
恐ろしくて頭を振って現実に戻る
そうだったのに
その記憶を、母に頭を撫でられて、数少ない手作りの食べ物を一緒に食べた曖昧な優しい記憶を
思い出してしまう程の、神聖な存在
「ネロ」
名前を呼ばれて顔を上げればその神聖な存在に頭を撫でられて抱きしめられる
「泣いてるの?」
頬を伝う雫は悲しいからではなくて
あいぐさ
TRAININGファウストの夢とフィガロと月の光の話月光 夢を見た。いや、もしかしたら昔の記憶かもしれない。でも、きっと夢だと思う。
フィガロと一緒に冬の海に来ていた。ただそこに存在することすら許されないほどの寒さに、ファウストは自分の身をぎゅっと抱きしめる。それでも、まだ震えは止まらない。そんな場所だ。
師匠は、寒さに慣れているからと笑った。笑ったまま、ゆっくりと浜辺を歩いていく。
明らかに海に入ろうとしていた。フィガロ様、と呼び止める己の声はびゅんと吹いた風に掻き消される。
波打ち際で一度振り返ったあの人は、にっこり笑った。優しさでも、憐れみでも、怒りでもない。全てを諦め、ただ口角をぐっと上げただけの笑み。目の前にいる自分など見えていないような、そんな視線にとてつもなく怖くなった。
994フィガロと一緒に冬の海に来ていた。ただそこに存在することすら許されないほどの寒さに、ファウストは自分の身をぎゅっと抱きしめる。それでも、まだ震えは止まらない。そんな場所だ。
師匠は、寒さに慣れているからと笑った。笑ったまま、ゆっくりと浜辺を歩いていく。
明らかに海に入ろうとしていた。フィガロ様、と呼び止める己の声はびゅんと吹いた風に掻き消される。
波打ち際で一度振り返ったあの人は、にっこり笑った。優しさでも、憐れみでも、怒りでもない。全てを諦め、ただ口角をぐっと上げただけの笑み。目の前にいる自分など見えていないような、そんな視線にとてつもなく怖くなった。
史桜ナオ
DONE2022年10月23日開催 羊と猫のワルツanother 展示作品です。「月花妖異譚」のレノックス、ファウストのコスプレ写真です。
ファウスト:ナオ(@aporochoco_non )
レノックス:望月戒(@kai_motizuki )
Studio:スタジオこむや 7
tono_bd
DOODLEある時から女体化の変身魔法を続けているファウストについて、ヒースクリフ視点で語ってもらいました。妊娠・出産の話です。
※ある年の大いなる厄災の襲来で犠牲者が出ている旨の表記有り。誰が死んだとかは明記しておりませんが、死ネタを含んでいます。苦手な方はお気を付け下さい。
※フィガロのフィの字も出ません。
ヒースクリフによる独白 暫く前からファウスト先生が女体をとっている。
普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
3789普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
yutaxxmic
DONEなんちゃってオメガバースもどき。ファウスト(α)×あきら(Ω)
基本はファウスト先生の一人称です。ご都合主義。お時間のあるときにゆっくりお楽しみください。
花の香り この世界は非常に厄介である。
これまで、幾度となく魔法使いの死を目にしてきた。四百年近く嵐の谷に引きこもっていたからといって、引きこもる前は戦乱の世で革命軍を率いていたし、最近では面倒なことに賢者の魔法使いなどに選ばれ再び戦いの場に引き摺り出されることになった。
一瞬にして石になる者もいれば、ゆっくりと変化していく者もいた。穏やかな表情を浮かべて最期を迎える者もいれば、当然苦痛に歪んだ顔で恨み言を吐く瞬間に石になる者も、様々だ。そういった瞬間を目にする度、ふと自分はどう石になるのだろうかと思いを馳せる。若い頃であれば、その瞬間さえも希望に満ちたものを想像していたのだろうが、それはとうに忘れた。なんといっても経過した月日が長すぎる。なにより、今は賢者の魔法使いなのだ。きっと、穏やかではないのだろう。
27930これまで、幾度となく魔法使いの死を目にしてきた。四百年近く嵐の谷に引きこもっていたからといって、引きこもる前は戦乱の世で革命軍を率いていたし、最近では面倒なことに賢者の魔法使いなどに選ばれ再び戦いの場に引き摺り出されることになった。
一瞬にして石になる者もいれば、ゆっくりと変化していく者もいた。穏やかな表情を浮かべて最期を迎える者もいれば、当然苦痛に歪んだ顔で恨み言を吐く瞬間に石になる者も、様々だ。そういった瞬間を目にする度、ふと自分はどう石になるのだろうかと思いを馳せる。若い頃であれば、その瞬間さえも希望に満ちたものを想像していたのだろうが、それはとうに忘れた。なんといっても経過した月日が長すぎる。なにより、今は賢者の魔法使いなのだ。きっと、穏やかではないのだろう。
🌻🐰🌻
DOODLEネファ現パロオンリー「ネオンの現に祝杯のファセット」初出小料理屋を営むネロと大学准教授のファウスト
作業間に合わなかったためプロットに少しの絵がついた作品となっております。
4ページです。ご了承の上お読みください。 4
19汰
DONE10月16日現パロネファオンリーの展示です!フォ学のファウストがファーストフード店に行きたいと言い出す話
読んだよ報告もらえると喜びます!
https://wavebox.me/wave/36z9p80sxeogtcie/ 2
kuten_mm
DONEネロファウ現パロオンリー「現に祝杯」の展示小説高校中退フリーターのネロと定時制高校に通うファウストが青春している話
※初回展示から大幅に加筆訂正しました
change into...ひと気の少ない商店街をネロは何かを惜しむように歩いていた。
昔は賑わっていたであろうその場所は、ほとんどが錆びた灰色のシャッターに身を包んでいる。この店なんか〈こども110番の家〉の張り紙があるものの入り口が不明で、いざというとき駆け込めない。もちろん、何も起こらないことが一番なのだが。
ここは不良がよくうろついている。落書きがあったりゴミが散乱していたりと荒れているわけではないが、過去に不良同士の抗争があった場所だ。そのことを知る近隣住民は、陽が傾きはじめる頃には商店街を訪れるのを避けたがるのだ。
そんな静けさの中で古い電気屋がポツリと営業し、ドアの隙間からテレビの音を漏らしている。
『今日は例年より猛暑となるでしょう。水分をしっかりと補給し、屋外での過度な運動は控えましょう』
17647昔は賑わっていたであろうその場所は、ほとんどが錆びた灰色のシャッターに身を包んでいる。この店なんか〈こども110番の家〉の張り紙があるものの入り口が不明で、いざというとき駆け込めない。もちろん、何も起こらないことが一番なのだが。
ここは不良がよくうろついている。落書きがあったりゴミが散乱していたりと荒れているわけではないが、過去に不良同士の抗争があった場所だ。そのことを知る近隣住民は、陽が傾きはじめる頃には商店街を訪れるのを避けたがるのだ。
そんな静けさの中で古い電気屋がポツリと営業し、ドアの隙間からテレビの音を漏らしている。
『今日は例年より猛暑となるでしょう。水分をしっかりと補給し、屋外での過度な運動は控えましょう』
13_rooms
DONE学生ネロ×作家ファウストで、ネロがファウストに自分の片腕をひと晩貸してあげる話。設定は川端康成の「片腕」のパロディです。------------------------
ネロ×ファウスト現パロwebオンリー「ネオンの現に祝杯のファセット」開催おめでとうございます!遅刻してすみません!
アンディーヴと眠って「先生、眠れないの?なら片腕をひと晩貸してやろうか」
先生、と僕を呼ぶ彼は、右腕を肩からはずして、それを参考書のうえに置いた。僕はおもわずあたりをみわたす。旧い喫茶室は昼間でも薄暗く、煙草の煙で視界がわるい。おまけに狭い店内のあちこちによくわからない置物や観葉植物が置かれているせいで、僕らの席は完全に死角になっているようだった。(もっとも、この店の主人も客も、他人に興味を払うような性質ではないのだけれど)
ネロは残ったほうの手で頬杖をつき、僕のほうをじっとみつめた。都内の私立にかよっているという彼は、大抵学校帰りの制服姿でこの店にやって来る。着崩した指定の上着となにかのロゴがはいったTシャツ、フィラのザック、履きつぶしたコンバース。けれども今日はそのシャツの片袖が、萎れた花みたいにうなだれている。僕はテーブルに置かれたものに眼をやった。どこをどうみても、それはやっぱりネロの右腕だった。中指にできたペンだこはみなれたものだったし、手首につけたリストバンドはいつも彼がしているものだ。だというのに、彼の手を離れたそれは、酷く馴染みのない置物のようにみえた。例えば博物館の硝子ケースに飾られた化石や恐竜の骨みたいに。いや、この場合、文字通り手が、離れたのか。ぼんやりとした頭で、つい、くだらないことを考える。
7525先生、と僕を呼ぶ彼は、右腕を肩からはずして、それを参考書のうえに置いた。僕はおもわずあたりをみわたす。旧い喫茶室は昼間でも薄暗く、煙草の煙で視界がわるい。おまけに狭い店内のあちこちによくわからない置物や観葉植物が置かれているせいで、僕らの席は完全に死角になっているようだった。(もっとも、この店の主人も客も、他人に興味を払うような性質ではないのだけれど)
ネロは残ったほうの手で頬杖をつき、僕のほうをじっとみつめた。都内の私立にかよっているという彼は、大抵学校帰りの制服姿でこの店にやって来る。着崩した指定の上着となにかのロゴがはいったTシャツ、フィラのザック、履きつぶしたコンバース。けれども今日はそのシャツの片袖が、萎れた花みたいにうなだれている。僕はテーブルに置かれたものに眼をやった。どこをどうみても、それはやっぱりネロの右腕だった。中指にできたペンだこはみなれたものだったし、手首につけたリストバンドはいつも彼がしているものだ。だというのに、彼の手を離れたそれは、酷く馴染みのない置物のようにみえた。例えば博物館の硝子ケースに飾られた化石や恐竜の骨みたいに。いや、この場合、文字通り手が、離れたのか。ぼんやりとした頭で、つい、くだらないことを考える。
2nd_getsuyoobi
PROGRESS20221016 現に乾杯 展示12月の賢マナにて発行予定の現パロ本の一部分の下描きです。(前後の話があります)
旅先で出会ったネロとファウストが、数日間を一緒に過ごしたり過ごさなかったりする話です。 11
yryr_shitei
DOODLE☆10/16 ネロファウ現パロwebオンリー展示大学教授のファウスト先生と、講義などのお手伝い院生ネロ。
殺人事件に巻き込まれて先生が解決する……!!お話を書きたかったけどタイムアップです…😂
イラスト数点と、冒頭本文を置いておきます。
冒頭本文→ https://privatter.net/p/9399318
⚠️ネロファウ要素かなり薄めです
⚠️ミステリー好きの趣味が大全開です。 2
mimo_naru
DONE2022/10/16フィガファウWebオンリー「開門‼︎フィガファウフェスティバル」展示写真です。WEBオンリー開催おめでとう&ありがとうございます!
フィガロ @kinokoroad2001
ファウスト @mimo_naru
photo 黒ホッピー 7
亘理湯
DONEネロ×ファウスト現パロwebオンリー「ネオンの現に祝杯のファセット」展示漫画
【 あ ま い あ い ま い 】
ホストのネロを甘やかしてる大学生ファのお話(要約)
軽い酒ハラシーンがあるので苦手な人は注意してください。 32