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    ファウスト

    rotten_Mame

    DONE2022/11/05 いていな2展示作品

    人間の家族ができたネロが、家族の死後にファウストの元を訪れて居候する話。
    ネロとファウストの間に恋愛感情はありません。ネロ×モブ人間の描写が中心です。

    パスワードはお品書きに記載してあるので、そちらをご参照ください。

    長い展示品になってしまいましたが、メッセージボードに書き込みなどしてくださると励みになります。
    花が枯れたら会いに来て 洗濯物が溜まった日の朝は早く起きる。そうでなければ昼過ぎに起床して、朝昼兼用の食事を取る。洗濯物があったとしても天気が悪ければやっぱり昼過ぎに起床する。それがファウストの、嵐の谷での生活だった。ここ東の国は、晴れの日が他国と比べて少ない。それに加えて谷での生活は天気に左右されやすいので、晴天の朝を逃すと着るものに困ってしまう。
     昨晩、ファウストは寝る前に戸締りをしながら、次の日が快晴になると察した。何百年も生きているからか、はたまた彼が魔法使いだからなのか、その因果関係は不明だけれど、ファウストは150歳を超えたあたりから、次の日の天候を空気中の水分量や風の動き、その土地の精霊のざわめきによって予測できるようになった。同じことを言う魔法使いもいれば、何百年も生きていてもその感覚自体がわからないという者もいる。
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    てんてんです

    DONEファウストがネロの飯屋を成り行きで手伝うことになる話。全年齢です。
    後編は12月目処でまとめて上げるか本にできたら……できたらいいなぁ

    【!注意!】
    ・キャラの死(ネロ、ファウスト意外)に関する表現があります
    【いていな展示】五線譜の上、旅は続く (前編) 長い人生の中でひとつひとつの別れにいちいち心を傾けて擦り減っていては生きていけないことくらい、分かっているつもりだった。
     どのみち、あと十年も経たないうちに離れるつもりの場所だった。流れた時間に対して変わらない見た目に不信感を抱かれる前にその土地を一度離れる必要があるのだから。世界の変化には良い風が吹いていたけれど、こんな東の辺境の地で凝り固まった価値観はたったの十数年で変わるものでもない。あと数十年経って、古い考えの人間達がこの世から去ってしまうまでは、悲しいことに。
     十数年で離れるつもりの土地だったとはいえ、分かっていた別れと、突然突きつけられる別れではダメージが違う。あれは昨日の出来事で、店を畳むことになった原因は自分の不注意としか言いようがない。夜明け頃、だれもいないだろうと慢心して店の裏口に箒で降り立った時、がしゃんと皿が割れる音がした。裏口に呆然と立っていたのは常連客の、よく一人で店にくる純朴で明るい青年だった。しばらく病気で臥せっている妹のために、ネロの店のミネストローネが好きだからと店に来る度に持ち帰りで頼み、律儀にお礼のメモを付けた皿を夜のうちに返しに来ている子だった。
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    tono_bd

    DOODLEある時から女体化の変身魔法を続けているファウストについて、ヒースクリフ視点で語ってもらいました。
    妊娠・出産の話です。

    ※ある年の大いなる厄災の襲来で犠牲者が出ている旨の表記有り。誰が死んだとかは明記しておりませんが、死ネタを含んでいます。苦手な方はお気を付け下さい。
    ※フィガロのフィの字も出ません。
    ヒースクリフによる独白 暫く前からファウスト先生が女体をとっている。
     普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
     俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
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    DONE学生ネロ×作家ファウストで、ネロがファウストに自分の片腕をひと晩貸してあげる話。設定は川端康成の「片腕」のパロディです。
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    ネロ×ファウスト現パロwebオンリー「ネオンの現に祝杯のファセット」開催おめでとうございます!遅刻してすみません!
    アンディーヴと眠って「先生、眠れないの?なら片腕をひと晩貸してやろうか」

     先生、と僕を呼ぶ彼は、右腕を肩からはずして、それを参考書のうえに置いた。僕はおもわずあたりをみわたす。旧い喫茶室は昼間でも薄暗く、煙草の煙で視界がわるい。おまけに狭い店内のあちこちによくわからない置物や観葉植物が置かれているせいで、僕らの席は完全に死角になっているようだった。(もっとも、この店の主人も客も、他人に興味を払うような性質ではないのだけれど)
     ネロは残ったほうの手で頬杖をつき、僕のほうをじっとみつめた。都内の私立にかよっているという彼は、大抵学校帰りの制服姿でこの店にやって来る。着崩した指定の上着となにかのロゴがはいったTシャツ、フィラのザック、履きつぶしたコンバース。けれども今日はそのシャツの片袖が、萎れた花みたいにうなだれている。僕はテーブルに置かれたものに眼をやった。どこをどうみても、それはやっぱりネロの右腕だった。中指にできたペンだこはみなれたものだったし、手首につけたリストバンドはいつも彼がしているものだ。だというのに、彼の手を離れたそれは、酷く馴染みのない置物のようにみえた。例えば博物館の硝子ケースに飾られた化石や恐竜の骨みたいに。いや、この場合、文字通り手が、離れたのか。ぼんやりとした頭で、つい、くだらないことを考える。
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