マジカメグラマーケイトくん！2話◇◇◇ミゲルの場合






　順風満帆に生きてきた。あのネージュ・リュバンシェやヴィル・シェーンハイトと並ぶ天才子役だと持て囃され、数多の広告、映画、ドラマに引っ張りだこ、将来を約束された存在。−−−そのはずだった。
　最初はほんの少しの違和感。思うように声が出せなくなって、自分の出せる音、聞こえている音、届けることができている音が分からなくなった。ただの声変わりだとさっさと気づいて、そこで少し休んで落ち着くまで待っていればよかったものを、焦った俺はいままで以上に仕事を入れて身体を酷使し続けた。
　その結果どうなったかって。仕事をするたびに積み重なる悪評、現場でもネットでも止まらない陰口、それを弾き飛ばせるだけの胆力も自分を肯定する自信もその頃にはなくなっていて、周囲の人間に促されるまま表舞台から姿を消した。それが僕。それでも時間が経つと元の野心とパワフルさを取り戻してまた返り咲くことを考えるようになった。だけど芸能界はそんなに甘いところじゃない。