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    Tofu_funya2

    DONE愛を伝える術は言葉だけに非ず。
    面倒なことから逃げることをやめた杉下が、桜に対してどのような考えを巡らせているのか。
    愛を言葉にしたいけれどできない、桜の方へ一歩踏み出したいのに尻込みしてしまう。そんな杉下の笑えてしまうほどに不器用な恋模様を見届けてやってください。
    言葉足らず、分かち愛 杉下京太郎は悩んでいた。
     梅宮さんの畑の苗が上手く育たないこと?違う。小テストの結果が見るも無残で、どう祖父母に言い訳をするかということ?違う。
     悩みというのはそう、桜遥との関係性に悩んでいた。
     桜とは少し前に想いを通じ合った仲……要はお付き合いをしている状態ではあるが、如何せん二人とも恋愛初心者なので何も発展がない。いつも通り言い合いをして、小突き合いなんかもして周りに宥められての繰り返し。何も変わらない、付き合う前と変わらぬ日常を過ごしている。これで良いのだろうか?と思うのだが、従来の口下手が邪魔をして何を伝えられる訳でもない。愛の言葉なんて以ての外だ。逆も然りで、桜から何か囁かれるわけでもない。もちろん、喧嘩以外で触れ合うこともない。そんな状態で時間だけが無情にも流れるのだ。そうして今日もただこうして、桜が周りの友人らと楽しげにしている様子を一人離れて眺めていることしかできない。
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    deathpia

    DOODLE3月のテーマ「卒業」! 恋愛シミュレーションゲームの主人公である獣殿のパロディです~~いろんな意味で寛大な気持ちで読んでください
    失恋旅行制服を着て友達と二人きりで観覧車に乗りたい。 高校卒業を間近に控えたラインハルトとしては、そんな青春映画のヒロインのような願望を抱いているわけでもないのに、今日の一日の終わりはこの姿で締めくくられることをずっと知っていたような気がした。 たぶん、即興で通学路を外れてバスの切符を切った後、バス停で偶然会った友人と並んで座り、行き先候補の中からこの遊園地を候補に挙げるずっと前からだ。
    派手に観覧車は回り、ふと見た窓の外から地面が徐々に遠ざかっていく。 出発時にラインハルトの隣に座り、熱狂的な熱狂者のように戯言を連発していた友人は、今や向かいの椅子にずれて座っていた。 そっとラインハルトを追う視線はいつものように意図を隠しているが、密かに笑う口から繰り出される妙な戯言に比べれば、むしろわかりやすい。 明らかに目の前にいるにも関わらず一歩引いて隅の影に溶け込もうとするような、たとえ二人が向かい合って座り、長い足が絡み合い、膝をぶつけたとしても今と大差なかったであろう友人の距離感は、時折、彼を引き寄せようとする卑劣な挑戦精神をラインハルトの中に呼び起こした。
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