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    悠久

    ゆっけ

    SPOILER2022年5月4日発行の、🐵と📿中心アンソロジー「悠久行脚集」に寄稿させていただいたお話です。
    
発行ならびに完売本当におめでとうございます。
    
素晴らしい旅路にご一緒させていただき、本当にありがとうございました。
お読みくださった方にも心から感謝申し上げます。

    この物語が大好きです!
    悠久の流れのほとりで「また、一緒に旅を始めましょう」
     封印から解き放たれた悟空に、わたくしは微笑んで手を差し伸べました。

     輪廻の旅は、絶望の果てから始まりました。
     天竺への道のりも後半にさしかかったある山で、わたくしたちはそれまで退けてきたものとは桁違いに強い妖怪と遭遇したのです。
     ひとり、またひとりと仲間が斃れてゆき、最後に残ったのは一番弟子の悟空でした。
     その悟空もわたくしを庇って斃れてしまいました。わたくしにはなす術もなく、鋭い爪に身体を引き裂かれるのを待つばかりと思ったその瞬間、眩い光があたりを包みました。
     あまりの眩さに御姿を見ることは叶わずとも、それは観音様の御力であると瞬時に理解しました。
     曰く、この旅の過程そのものが修行であり、幾度繰り返しても本懐を遂げよとお釈迦様は思し召しでいらっしゃるとのことでした。
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    kashi_futon

    DONE2022.05.21開催オズフィガオンリー「悠久のヘリオスフィア」にて展示している作品①です。心中するオズフィガがどうしても欲しくて書きました。テーマがテーマなので気を付けてください。死ネタを扱っています。パスはお品書きにあります!
    『ゆめみるために、おやすみ』 こんなに緩やかな終わりが待っているだなんて、きっと誰もが想像出来やしなかった。ひとりぼっちで石になると、誰にも知られないままどこかへの行ってしまうようにしか死ぬことが出来ないのだと。そう思っていた。
     例えば、誰にも看取って貰えないのだとすれば。北の魔法使いの矜持を持ったまま、誰かの前に這いつくばって石になる運命があったかもしれない。だって南の魔法使いを名乗っていて、南の国からの賢者の魔法使いとして選ばれていたとしても。結局フィガロの本質には北の気質が含まれざるを得ない。
     だからきっと所詮自分のいのちはただ孤独に石になるだけの運命だと思っていた。愛し、愛されることを夢に見た、でもそれは夢のままだった。フィガロの人生は黒鉛筆を斜めに握った子供が書き殴った線のようにぐちゃぐちゃになってしまっている。何千年と生きてきていて真っ直ぐな人生の線を持っている者の方が逆におかしいとも言えるのだ。気を狂わせてしまうのに十分で、何かを探し求めて生きるのにはあまりにも永きに渡る年月で。その間ならばきっと望むものは全て手に入るのではないかと思っていた、でも事実はそうではない。
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