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    dressedhoney

    DOODLEPixivへ既に投稿済みのもの。一応こちらにも。
    円卓の露台で深い眠りに落ちるロジェールを、Dが叩き起こす話。
    Dロジェ。2人は付き合っていないけど、甘くて、暗くて、短い。

    ロジェールは【冷静】の魔術を息するように己にかけていたと思っているのですが、それでも抗えない眠気とあらば、さぞ恐ろしかったでしょうね。
    銀の禅譲、金の簒奪 生きている。
     生きているということは、起きているということだ。
    「……D、おはよう、ございます」
     私が円卓の露台へ根を生やしてから、それなりに経った。まさか比喩表現でもなく、本当に木の根を自分が生やす日が来るなんて、狭間の地を訪れた頃の私は夢にも思わないだろう。
     今は一体、いつだろうか。寝ぼけまなこでDを見つめれば、彼はサッとフェイスプレートを下ろし、感情を読ませない鎧の中へと引っ込んでしまった。
    「あの、D」
     そのまま体も帰ってしまう。すぐ近くの大祝福にとどまっているようだが、私に追いかける術はなかった。
     ――熱い、唇が。私の体の中で確かな燻りを感じるのは、今やそこだけである。
     半屍と称される肉体。下半身は、とうに眠ってしまっていた。上半身もいつ冷めるかといったところで、雪濃い森の冷気に晒されたような古い殻は、常に強い眠気を運んでくる。
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    しゃがんで

    DONE相互さんのネタ(https://t.co/eAJOg5FK0s)借りて書いた小説なので、まずその素敵な投稿を拝見してもらってからの方が読みやすいと思います。なんか不思議な感じーな世界観を楽しみたいなら普通に読んでも面白いかもしれないです
     眠気に滲んだ視界越しに映る横顔は、俺の事なんか気にせずに単語帳をペラペラと捲っているだけだ。顔を覗き込んでも手を前に出しても、何も反応しねえ。強いて言うならちょっと眉間に皺を寄せるだけだ。せっかく俺とのお遊びの時間だってのに、マジメに予習なんかしてやがる。俺の部屋なのに、こいつが主人であるみたいに静寂が纏う。夕日とは全く似つかない蛍光灯の光でキリリと輝かせた金属のピアスが眩しい。そして俺は気付く。それをぶら下げている耳たぶが赤なのか青なのかに見苦しく変色していて、痛そうだなと重さなぞ無い言葉を呟いた。
    「何がだ」
    「耳だよ。耳ぃ」
    「耳がどうしたんだ」
     あ、アンタ気づいてないのォ。形兆は振り返りもせず、単語帳にアルミのシャーペンでマークをつけた。分からない単語とかこいつに存在するんだと思った。こいつは俺と違って、小テストとかほぼ満点ってイメージがある。ほんのりと、こいつのことを人間とは違う何かだと思ってた。全知全能の神様だとか、そっち系。どうやら違うらしいけど。
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