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    しんした

    PROGRESS8月東京の七灰原稿進捗③です。
    灰原くんを亡くしたあとの七海が、灰原くんが残した言葉を読み返すなかで灰原くんへの想いと向き合うお話。ほぼ七海の独白・回想ですがハピエンです。

    七海の独白ターン最終話の半分くらいを抜粋しました。
    次の章で再会するので早くいちゃいちゃさせたいです。

    ※推敲はしていないのでおかしな部分はスルーしていただけると助かります。
    8月七灰原稿進捗③四.拝啓



    二つ折りにした便箋を名前しか書いていない封筒へ入れる。
    きっちりと糊付けで封をしたら、同じ封筒だけが入った引き出しへと仕舞う。
    机の浅い引き出しの中には、出す宛てのない手紙が増えていくばかりだ。
    それでも。
    私は、筆を執ってしまうのだ。





    帳が上がると、七海の頭上に青空が広がった。
    砂埃を払うように呪具を軽く振る。そこそこの呪霊だったが、想定していたよりも早く祓えたようだ。古びた雑居ビルの階段を降りると補助監督は少し驚いた表情で出迎えてくれたが、七海は「お待たせしました」といつも通りに声をかけた。
    呪術師へ出戻って一年。
    あのパン屋を出て五条へ連絡を取ってからの日々はとにかく慌ただしかった。卒業ぶりに顔を合わせた五条に「いつかこうなると思ってたよ」と笑われながら、呪術師へ復帰する手続きを済ませた。勤め先へ退職届を出した時は上司から随分と引き留められたが、もう決めたことなのでと押し通した。(入ったばかりの新人には悪いとは思ったが、かなり細かく引き継ぎをしておいたので大目に見てもらいたい)
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    merinowool133

    PROGRESS9月の新刊の冒頭部分。成人後の転セバ(闇祓い転×ホグワーツ教授セバ)で、二人が怪事件に巻き込まれたり、再びバディを組んだりする連作の予定です。
    ⚠️ほぼモブパートです。暴力、殺人、遺体の損壊、公序良俗に反する表現や描写を含みます。
    進捗 何重にも黒を編んだような、深い深い闇の中。それは唐突に目を醒ました。
     此処はどこだ。
     低く呻く。しかし声にはならない。それは唇や声帯、喉を震わせる器官を持っていなかった。沈む闇は底が無く、天地すら覚束ない。広いのか、狭いのか。それすらも分からぬ箱に、有象無象がみっちりと詰まっている。無数のざわめき、数多の囁きがごうごうと打ち寄せては遠のいていく。ただ延々と蠢いている。
     なんと不自由なことか。
     かつての己を手酷く罵ると、それは手足の無い身体を大きくねじった。何度か繰り返す内に、異物と認識されたらしい。それは有象無象の中心から、外界へと弾き出された。
     少々高い場所から落ちたが痛みはない。別れを惜しむほどの感慨も無く、土塊の転がる地面を腹這いに進んだ。細い風の音が聞こえる。これを辿れば外に出られるだろう。音を頼りに石壁に張り付き、隙間に身を滑り込ませた。
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