梨
@nashikundesu
INFO梨くんの初恋の物語ぃ🍐初恋◇
「………なんで俺に構うの?」
「え?家族でしょ?」
「……家族って、そんなに大切なものじゃないでしょ」
「………君はそうかもしれないね……でも、僕にとっては大切だから……」
「めんどくさいと思うようになるよ。そのうち」
「思わないよ。絶対に思わない」
「………お母さんもそうやって俺に嘘をついたんだ」
『愛していると、家族だと言ったのに』
綾鷹くんが家に来た時に弱々しく言った言葉がずっと胸に引っかかっている。
◇
彼の部屋の隅で本を読みながら、ちらりと綾鷹くんを見ると、彼も隣で本を読んでいて、お互い何も喋らないけれど、その空間が酷く心地よかった。
そしてそれは綾鷹くんも同じだった。
「梨くん、すごい本読むんですね」
「昔、習い事とかサボってて、よくおじいちゃんの書斎で本を読んで時間を潰してて、それから結構読むようになったんだ……」
1971「………なんで俺に構うの?」
「え?家族でしょ?」
「……家族って、そんなに大切なものじゃないでしょ」
「………君はそうかもしれないね……でも、僕にとっては大切だから……」
「めんどくさいと思うようになるよ。そのうち」
「思わないよ。絶対に思わない」
「………お母さんもそうやって俺に嘘をついたんだ」
『愛していると、家族だと言ったのに』
綾鷹くんが家に来た時に弱々しく言った言葉がずっと胸に引っかかっている。
◇
彼の部屋の隅で本を読みながら、ちらりと綾鷹くんを見ると、彼も隣で本を読んでいて、お互い何も喋らないけれど、その空間が酷く心地よかった。
そしてそれは綾鷹くんも同じだった。
「梨くん、すごい本読むんですね」
「昔、習い事とかサボってて、よくおじいちゃんの書斎で本を読んで時間を潰してて、それから結構読むようになったんだ……」
ポンです
DONE10月24日開催ほしとんでWEBオンリー「流星群」展示まんがです。十隼です。・鳳梨(8P)
・映画(2P)
ネットプリント(セブンイレブン)予約番号→32HBUQZ2
10/30まで印刷できます。
12p白黒冊子印刷120円/印刷版は簡単な表紙が付きます。 10
sns6280
DOODLE庭師ネタバレ注意。絵本にレシピついてるのめちゃくちゃ好きなので、そんな雰囲気にしたくてちょっと高梨視点でお話書いてみたってやつです。気恥ずかしいからパスワードつけます。パスワードは高梨の誕生日 1205ナツメ
PAST遙か2エンド後のアクラム×花梨
カリンの花言葉から
唯一の恋彼は私の名前を呼ばない。
私が空からかえったときでさえ、呼ばなかった。
だからどんなときも、たとえ死ぬときも、呼ばないのだと思う。それはもちろん、彼が私の名前を呼ばなくてもいい近さにいるからだ。繋いだ手を離すことはない。もし離れてしまっても、ほとんど自動的に、私の足は彼のそばに向かう。それは私の意思というより、彼が引き寄せている、そうとしか思えない。
「お前はおかしなことを言う」
「だってアクラム、私の名前を呼ばないじゃない」
「……はて、なんという名だったか」
きっと彼に必要だったのは龍神の神子だったから、“高倉花梨”個人ではなかった。彼にとって私は“白龍の神子”。それだけでよかったし、それ以外は必要なかった。でもいまは違う。
588私が空からかえったときでさえ、呼ばなかった。
だからどんなときも、たとえ死ぬときも、呼ばないのだと思う。それはもちろん、彼が私の名前を呼ばなくてもいい近さにいるからだ。繋いだ手を離すことはない。もし離れてしまっても、ほとんど自動的に、私の足は彼のそばに向かう。それは私の意思というより、彼が引き寄せている、そうとしか思えない。
「お前はおかしなことを言う」
「だってアクラム、私の名前を呼ばないじゃない」
「……はて、なんという名だったか」
きっと彼に必要だったのは龍神の神子だったから、“高倉花梨”個人ではなかった。彼にとって私は“白龍の神子”。それだけでよかったし、それ以外は必要なかった。でもいまは違う。
🐱🐰♡🐧🐧
MEMO☑︎テンプレお借りしました!ネタバレ要素あるよ
メインサブと言う考え方ではなくそれぞれに彼女がいます
慶くんには梨宮🐱🐰橙碁さんには葵音🐧🐧
うちカプ強火思考なのでこの時点で嫌な予感した方は閲覧注意⚠️
# 2分で分かるうちCP
# うちの子紹介テンプレート
# ふたりのCP創作
# CPイメージソングテンプレ 6
ナツメ
PAST遙か2現代(または京ではないところに住んでいる京)エンド後の泰継×花梨
そろえるということ「泰継さん?」
自分は他のものと速さが違う。泰継が自覚したのは、少女を北山で拾うより数十年より前のことだ。
まず、他のものより、時の流れが遅い。この世に、かりそめの生を受けて百年近い時を過ごそうと、姿はそう変わっていない。しかし、皆がすぐに理解することは、かなり後になってから理解する(なんなら理解できないことも多々、ある)。だが陰陽術の覚えははやく、兄弟子たちをあっさり追い越してしまって、反感や畏怖を買った。近頃は、そんなことを思い出すことが増えた。というか、あれが「反感を買った」という状態だったのだと気付き、理解した。もう数十年前のことなのに、目の前がにわかに暗くなるのは、心のかけらを取り戻したからか。もともと持ち得ぬものだったのに。
1863自分は他のものと速さが違う。泰継が自覚したのは、少女を北山で拾うより数十年より前のことだ。
まず、他のものより、時の流れが遅い。この世に、かりそめの生を受けて百年近い時を過ごそうと、姿はそう変わっていない。しかし、皆がすぐに理解することは、かなり後になってから理解する(なんなら理解できないことも多々、ある)。だが陰陽術の覚えははやく、兄弟子たちをあっさり追い越してしまって、反感や畏怖を買った。近頃は、そんなことを思い出すことが増えた。というか、あれが「反感を買った」という状態だったのだと気付き、理解した。もう数十年前のことなのに、目の前がにわかに暗くなるのは、心のかけらを取り戻したからか。もともと持ち得ぬものだったのに。
ナツメ
CAN’T MAKE遙か2現代エンド後の泉水×花梨の水族館デート
たとえ時空を越えても 鳥羽離宮は好きだったが、海の中に入ろうと思ったことはない。まして、海には魚のほかに獣がいるなどと、京にいたら知ることはなかっただろう。アクリル板の向こうでうたた寝している海獣を見て、泉水は思わず息を詰めた。
「かわいいですね、アザラシ」
「ええ、最初はとても驚きましたが」
花梨が声をかけてくれて、詰めた息をほうと吐き出す。言われてみれば、たぬきのようで可愛い……ような気がする。
海獣だけではない。色とりどりの熱帯魚も、海亀や鱶も、蟹や海老も、どれも泉水にはおぞましく、また新鮮だった。
それらはスーパーマーケットで売られている見慣れた魚と並んで展示されており、だがひとならぬものを幼い頃から見ていた泉水には、むしろ馴染みがあるような気もしてきて──大きな水槽を眺めているうちに、もともと水辺を好んでいたこともあり、段々と気持ちも穏やかになった。
1029「かわいいですね、アザラシ」
「ええ、最初はとても驚きましたが」
花梨が声をかけてくれて、詰めた息をほうと吐き出す。言われてみれば、たぬきのようで可愛い……ような気がする。
海獣だけではない。色とりどりの熱帯魚も、海亀や鱶も、蟹や海老も、どれも泉水にはおぞましく、また新鮮だった。
それらはスーパーマーケットで売られている見慣れた魚と並んで展示されており、だがひとならぬものを幼い頃から見ていた泉水には、むしろ馴染みがあるような気もしてきて──大きな水槽を眺めているうちに、もともと水辺を好んでいたこともあり、段々と気持ちも穏やかになった。
ナツメ
PAST遙か2現代エンド後の翡翠×花梨
夜の海夜の海へ行きませんか。そう誘ったのは花梨のほうだった。京の暗闇を恐れていた彼女はしかし、こちらの世界の夜の明るさには恐怖を感じてはいないようだった。久方ぶりに潮風を浴びながら、翡翠は思う。
翡翠はといえば、こちらの世界にやってきてすぐ、夜が夏のように短く、どこも明るいこの世界に辟易した。昔どこかの別当が、夜の間も灯りをともしつづけたらどうか、とことあるごとに提案していたが、翡翠はやはり、首を横に降り続けるだろう。夜の間も灯りをともしつづけたら、眠りが浅くなるだけではないか。眠りとはすなわち、休息である。昼も夜も、京では考えられないほど──否、京の貴族には考えられないほど──こちらの世界の民は働いている。夜釣りに勤しむ漁船もそうだ。そんなに働いては寿命が縮む、と思いたいところだが、食べるものがよいのか、こちらの世界の寿命はあちらの世界の三倍はある。まったくどうなっているのやら。
578翡翠はといえば、こちらの世界にやってきてすぐ、夜が夏のように短く、どこも明るいこの世界に辟易した。昔どこかの別当が、夜の間も灯りをともしつづけたらどうか、とことあるごとに提案していたが、翡翠はやはり、首を横に降り続けるだろう。夜の間も灯りをともしつづけたら、眠りが浅くなるだけではないか。眠りとはすなわち、休息である。昼も夜も、京では考えられないほど──否、京の貴族には考えられないほど──こちらの世界の民は働いている。夜釣りに勤しむ漁船もそうだ。そんなに働いては寿命が縮む、と思いたいところだが、食べるものがよいのか、こちらの世界の寿命はあちらの世界の三倍はある。まったくどうなっているのやら。
ナツメ
PAST遙か2現代エンド後、幸鷹の誕生日を祝う幸鷹×花梨
幸福帰ってきて一番気になったのは、時計の音だった。不快というほどではないが、やたらと耳につく。見えない何かに追いたてられるようで、理由もなく、焦った。
あの世界はほとんど無音と言ってもいいくらい、静かで、シンプルで、必要なものが少ない、おおらかだがミニマムな場所だった。だからだろうか。
「幸鷹さん、お誕生日おめでとうございます」
「ああ、ありがとうございます。開けてもよいでしょうか」
彼女と手を繋いでこちらの世界に渡ってきて、最初に思い出したのは自分の誕生日だった。それから当時の住所や電話番号、家族のこと、それまでは必要ではなかったものを思い出した。砂時計が落ちていくように、とめどなく、一定の速度で。
「……時計、ですか」
651あの世界はほとんど無音と言ってもいいくらい、静かで、シンプルで、必要なものが少ない、おおらかだがミニマムな場所だった。だからだろうか。
「幸鷹さん、お誕生日おめでとうございます」
「ああ、ありがとうございます。開けてもよいでしょうか」
彼女と手を繋いでこちらの世界に渡ってきて、最初に思い出したのは自分の誕生日だった。それから当時の住所や電話番号、家族のこと、それまでは必要ではなかったものを思い出した。砂時計が落ちていくように、とめどなく、一定の速度で。
「……時計、ですか」
ナツメ
CAN’T MAKE遙か2現代エンド後、花梨と喧嘩しちゃったイサト
はんぶんこ 花梨と喧嘩した。
理由は、些細なことの積み重ねで、これといった理由はない。ちょっと疲れが溜まってたとか、いつもなら気にならないことが気になったとか、そんな感じだ。
かっとなって出た言葉で、無闇に傷つけたりしないように──泣かせたりするのはごめんだ──頭を冷やそうと、ちょっと涼しくなった街に、ひとりで出る。なんか、変な感じだ。いつもは花梨といるから。
あてもなく街をぶらついて、夜も走ってようか、なんて思う。京にいた頃はそんなことできなかった。こっちの夜はやたらと明るい。だけど、24時間営業の店が無くなったら、とは考えられない。オレもすっかりこっちの人間だな、と思う。
そんなことを考えながら、目についたコンビニに入る。別に欲しいものがあるわけでもないし、なにか買うならスーパーのほうが安い。そんなことも覚えたが、オレは結構コンビニが好きだ。初めてアイスを食べたのが、コンビニの前だったからだ。
842理由は、些細なことの積み重ねで、これといった理由はない。ちょっと疲れが溜まってたとか、いつもなら気にならないことが気になったとか、そんな感じだ。
かっとなって出た言葉で、無闇に傷つけたりしないように──泣かせたりするのはごめんだ──頭を冷やそうと、ちょっと涼しくなった街に、ひとりで出る。なんか、変な感じだ。いつもは花梨といるから。
あてもなく街をぶらついて、夜も走ってようか、なんて思う。京にいた頃はそんなことできなかった。こっちの夜はやたらと明るい。だけど、24時間営業の店が無くなったら、とは考えられない。オレもすっかりこっちの人間だな、と思う。
そんなことを考えながら、目についたコンビニに入る。別に欲しいものがあるわけでもないし、なにか買うならスーパーのほうが安い。そんなことも覚えたが、オレは結構コンビニが好きだ。初めてアイスを食べたのが、コンビニの前だったからだ。
ナツメ
CAN’T MAKE遙か2勝真現代エンド後の勝真×花梨
いつか いつか京を出て、どこかに行けたらいい。あの頃はぼんやりと、そんなことを考えていた。単調で代り映えのない毎日に、いいようのない閉塞感から「末法の世だ」と世を儚んだり、他人に八つ当たりしてしまったり、なんてことは日常茶飯事だった。
それは京を出てからもそうで、「いつかは」なんて嘯いて、なにも変えようとしなかったのは他ならない自分だと気付いた。となりで、笑っている花梨に出会って。
その日は行楽日和だった。まだ日射しには夏の名残を感じはしたが、秋めいた風が、出会った頃よりすこし伸びた花梨の髪をなびかせていた。いつまでも紅葉が降る京で、揺れていた彼女の前髪を思い出す。
「……あそこか?」
「はい、あそこです!」
989それは京を出てからもそうで、「いつかは」なんて嘯いて、なにも変えようとしなかったのは他ならない自分だと気付いた。となりで、笑っている花梨に出会って。
その日は行楽日和だった。まだ日射しには夏の名残を感じはしたが、秋めいた風が、出会った頃よりすこし伸びた花梨の髪をなびかせていた。いつまでも紅葉が降る京で、揺れていた彼女の前髪を思い出す。
「……あそこか?」
「はい、あそこです!」