漆黒の鴉トリオ(突発的な)会話文「ヴァローナ様…いい加減キノコを探しに」
「あら、向こうに何か見えるわ。フォルカー見てきてちょうだい。嫌だなんて言わないわよね？」
「フォルカーさん頼んだ」
「いやいやいや何もいねーって！！つーか何しれっとヴァローナ様側にいるんだお前は！！」
「あら、まだ行かないの？全く困った人ね…。ねぇクマちゃんもそう思うわよね？」
「わ、わかったから！見てくるから！だからそのクマを大人しくさせてくれ！！」
「ファイトだフォルカーさん…」←とばっちりを受けないために大人しくなる世話人
「全く…仕方ないわね…」
「じゃあ行ってくるから…イロンデール、ヴァローナ様を頼んだぞ」
「あぁ。だが早めに戻ってきてくれよ」
「いやついでにキノコを探してくる」

『パンはパンでも、』（仮）



　──パンはパンでも食べられないパンはなーんだ？


　答えは、売りきれのパンだ。


　烏丸は、けさ妹から出されたなぞなぞに、頭の中で答えた。

　11月のとある週の日曜日、烏丸はパン屋にいた。烏丸はこの店でよくパンの耳をもらっている。店によっては有料のこともあるが、この店は金をとらない。だからちょくちょく立ち寄っていたのだが、いま彼の瞳には「パン耳０円　ご自由にお持ちください」のポップが一つ、むなしく映るばかりである。

　経験上、早々に品切れした場合は「完売しました」のフダに差しかえられている。この値札がいまここにあるということは、つい先程までパンの耳があったということで──。ポップの文字列を端から読んでは、何もない空間に想いをはせ、レンガの壁紙をみつめる。