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    牡丹

    m__oji_

    MAIKING名夏のパラレルの続き

    これで話的には半分くらいまで来たかなくらい。六万字近く書いたのに更に六万書くってコト……?
    塔子さんがくれた着物は箱崎のカラーの!です!と思ってるんだけどあの花は椿と牡丹で合ってるのかやや不安

    2023/9/18
    遺失物取扱所-4(名夏) 隣で敷布にしっかりくるまった夏目がよく眠っている。
     着物の裾はしっかり掴まれたままだ。動くに動けず、触れないのだから振り解くこともできずに名取はただじっとしているだけだ。
     数日前から夏目は名取を掴んで昼寝をするようになって、掴んで来る手の近さにもすっかり慣れた。今も特に動じることもなく夏目の隣で借り物の書物を手にしている。
     とは言っても本の中身は頭に入らなくて、隣で眠る子供が吐き出す呼吸音を名取はじっと聞いていた。
     ずっと掴まれたままの裾からじわりと体温が移っている。人の幼子のように高い温度がすぐ近くに在った。触れることはないのに、今にも触れそうなほどひどく近い距離にいる。
     夏目との距離がひどく近くなっているように思う。名取にとっては分不相応にも思える距離が、それが正しいことなのかわからない。誰も見ていない二人だけの暮らしの中で、どんどん麻痺する感覚が間違っていないか何度も考えてしまう。
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