白露
能勢ナツキ
MOURNING一次創作漫画「絲遣い(いとつかい)」の番外編的内容のショート小説です。小説書くのは初めてであまり晒したくはないので限定公開にしています💧
白露一人称視点、銀次&椿との会話です。
(※漫画はweb公開なし同人誌のみですhttps://hihoo.booth.pm/items/784998) 701
まつり🦀
DONE織安の日常に砂糖菓子の太敦、スパイスにたねちょとか、何でも有りな話。織安がちっさい太と過ごしているほのぼの平和時空(by白露さん)にインスパイアされてつい書き殴って送りつけたものを公開OKといわれ調子に乗って晒します。こどもたち可愛く読んで貰えたらいいなあ。
桃の実りの健やかなれど:
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「桃……水蜜桃か?」
食卓の上に盛られた桃を見て、養い子の太宰治を連れて幼稚園から帰宅したばかりの織田作之助は緩く笑みを浮かべた。
仕事が一段落ついた坂口安吾が書斎から顔を出し、ふたりを出迎える。そして同じく笑みを浮かべながら桃を見る。そんなふたりを見上げて、太宰は園帽を脱いだ。
「太宰君、着替えてきなさい。おやつに桃を剥いてあげましょう。織田作さんのいうとおり水蜜桃です。甘い桃ですよ」
「すいみつ、とう?」
「ああ、水蜜桃。うまい桃だぞ。楽しみだなあ太宰」
そういながら織田作は一つ桃を手に取り、太宰に渡す。まだいとけない手のひらに、桃はずしりと重さを主張した。
「もも……だぁ」
その甘くみずみずしい香りを吸い込むと、その味が大人たちが言うように期待できる物であることが太宰にもわかった。思わず溢れ出しそうになる唾液をこらえごくりと喉を鳴らす。そうして白磁にほんのりと紅が色づいたそれをじっと眺めていると、それは太宰の脳裏に不意に何かを思い起こさせた。
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「桃……水蜜桃か?」
食卓の上に盛られた桃を見て、養い子の太宰治を連れて幼稚園から帰宅したばかりの織田作之助は緩く笑みを浮かべた。
仕事が一段落ついた坂口安吾が書斎から顔を出し、ふたりを出迎える。そして同じく笑みを浮かべながら桃を見る。そんなふたりを見上げて、太宰は園帽を脱いだ。
「太宰君、着替えてきなさい。おやつに桃を剥いてあげましょう。織田作さんのいうとおり水蜜桃です。甘い桃ですよ」
「すいみつ、とう?」
「ああ、水蜜桃。うまい桃だぞ。楽しみだなあ太宰」
そういながら織田作は一つ桃を手に取り、太宰に渡す。まだいとけない手のひらに、桃はずしりと重さを主張した。
「もも……だぁ」
その甘くみずみずしい香りを吸い込むと、その味が大人たちが言うように期待できる物であることが太宰にもわかった。思わず溢れ出しそうになる唾液をこらえごくりと喉を鳴らす。そうして白磁にほんのりと紅が色づいたそれをじっと眺めていると、それは太宰の脳裏に不意に何かを思い起こさせた。