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    自主規制

    岩藤美流

    MAIKINGタイトル未定 続きが欠けるかわからないので もしかしたら供養になるかもしれないアズイデちゃん

    内容的には恋に無自覚なあずにゃんが自主規制する話 そんなにえっちなものではないです
    そこは恐らく、行ったこともないイデアさんの部屋だ。よくタブレットで撮影したものを見せてくれていた。新しいグッズが手に入ったとか、オルトさんが綺麗に片付けてくれたとか、そういう、僕にとってはどうでもいい報告を重ねていたから、本物は知らなくても密やかな香りまでわかるような気がする。
     イデアさんからはいつも独特の香りがした。香り、というほどのものではないかもしれない、それほど微かなものだ。それは不快なものではなくて、むしろ僕にとっては落ち着くものだ。何の香りなのか、彼自身は香水など使わないだろうし、しかし石鹸の類でも無い。例えるなら、薄暗い蛸壺の中に一人眠る時のような、穏やかで静かな、優しい夜を思い出す、そんな香りだった。
     イデアさんはあのいつだって散らかっているベッドを何故だか整えていて、その上に乗って僕を待っている。僕は、吸い寄せられるように彼に触れた。温かい髪、熱い程に上気した頬。金色の瞳は僅かに濡れ、揺れている。表情は不安げだから、安心させるように彼を抱きしめて、その額にキスをした。
     それは子供にするようなものだったのだけれど。僕はもっと彼に触れたくなった。唇を瞼に、頬に重ね、 4929