葬
chumo_c_cire
DOODLE鍵の方で書いていた話 台葬葬に誰も殺さないでほしい台と、台に好かれるために不殺を目指すことにした葬が食い違って大変になる話
久しぶりに文字を書いたのでふわふわしてます
under the table…こっそりと、わいろ、うらきん的な意味らしいです 11040
Tonfer
PASTヴィエラ葬送合同誌 Vieras tale-葬送-に寄稿した小説です解禁となったため掲載
夜明け 夜明け
Tonfer
「みて! レト! この黒曜虫!」
「あぁ、知ってる。食えるやつ」
「うん、うん! って、違う違う! 確かにそうだけどさぁ! それだけじゃないんだよ!」
太陽が沈み、天で星々が瞬きだした頃。焚いた炎の揺らめきに照らされながら、アルは自身の大きい手からもあふれる程に大きく、黒々とした黒曜虫と呼んだ甲虫を、レトと呼ばれた青年の眼前にぐいと押し付けるかのように見せびらかした。レトが冷めた表情で淡々と答えた通り、その黒曜虫は森で取れる豊かな食料の一つだった。
しかし、レトの答えに乗りつつも否定したように、アルが教えたかったのはそこではない。
「見てほしいのはこの子の羽の模様! 普段はむしって食べないこの羽! ほら、光が当たるとキラキラしてるでしょ!」
4058Tonfer
「みて! レト! この黒曜虫!」
「あぁ、知ってる。食えるやつ」
「うん、うん! って、違う違う! 確かにそうだけどさぁ! それだけじゃないんだよ!」
太陽が沈み、天で星々が瞬きだした頃。焚いた炎の揺らめきに照らされながら、アルは自身の大きい手からもあふれる程に大きく、黒々とした黒曜虫と呼んだ甲虫を、レトと呼ばれた青年の眼前にぐいと押し付けるかのように見せびらかした。レトが冷めた表情で淡々と答えた通り、その黒曜虫は森で取れる豊かな食料の一つだった。
しかし、レトの答えに乗りつつも否定したように、アルが教えたかったのはそこではない。
「見てほしいのはこの子の羽の模様! 普段はむしって食べないこの羽! ほら、光が当たるとキラキラしてるでしょ!」
泡沫 珊瑚
DOODLE頭割り5にて頒布された、ヴィエラ葬式合同誌「Vieras Tale 葬送」にて寄稿した文章となっております。作品公開許可が下りましたので掲載させていただきます。
森が謡うメメント・モリその日は里にある小高な丘にて葬儀を執り行おうとしていた。
話を聞くところによると、守護者が外の諍いにて弟子を庇って命を落としたらしい。
明るくも厳しく、優しいという里の人間にしては少々腑抜けだろうと言われていた人物だが、それによって救われた人は少なくない。
そんな人が喪った、と知った事実は里の人間の心を悲しく響かせた。中には泣く者、中には森と共になったと強く瞼を閉じては手を強く握りしめる者がいたが、自身が目についたのはその遺体を前にして何も言わず座り込み、暗く濁ったような…そんな瞳でぼぅっと眺めるやや小柄なヴィエラの男性だ。
その人物を見ていると、後ろで葬儀の支度をしていた自身の友が声を掛けてくる。
「あの子が気になるのか」
2703話を聞くところによると、守護者が外の諍いにて弟子を庇って命を落としたらしい。
明るくも厳しく、優しいという里の人間にしては少々腑抜けだろうと言われていた人物だが、それによって救われた人は少なくない。
そんな人が喪った、と知った事実は里の人間の心を悲しく響かせた。中には泣く者、中には森と共になったと強く瞼を閉じては手を強く握りしめる者がいたが、自身が目についたのはその遺体を前にして何も言わず座り込み、暗く濁ったような…そんな瞳でぼぅっと眺めるやや小柄なヴィエラの男性だ。
その人物を見ていると、後ろで葬儀の支度をしていた自身の友が声を掛けてくる。
「あの子が気になるのか」
shizusato_xxx
DOODLE煙草をもらう葬煙草をもらう葬の話 先ほどから代わり映えしない風景をウルフウッドは車窓から眺めていた。
果てしなく続く砂漠には、時折崩れかけた大岩がぽつりぽつりと立つぐらいで、生物はおろか植物の気配もない。
ジャケットの内ポケットに手を差し入れて、ぺしゃんこになった煙草のパッケージを取り出した。ほとんど惰性で吸っているようなもので、煙草を吸いたいと言うよりは時間を潰すために、吸っては揉み消しを繰り返している。
買い込んでいた煙草もあっという間に底を尽きて手にしている、空色の箱も空になってしまっていた。
これが最後のひと箱だと分かっていたが、それほど焦りを感じていない。無いのなら貰えばいい。
「なぁ、おっちゃん。一本わけてや」
運転席の隣、助手席に向かってウルフウッドは手を伸ばした。今までそう言って、ウルフウッドはロベルトから何本も煙草をくすねている。
6829果てしなく続く砂漠には、時折崩れかけた大岩がぽつりぽつりと立つぐらいで、生物はおろか植物の気配もない。
ジャケットの内ポケットに手を差し入れて、ぺしゃんこになった煙草のパッケージを取り出した。ほとんど惰性で吸っているようなもので、煙草を吸いたいと言うよりは時間を潰すために、吸っては揉み消しを繰り返している。
買い込んでいた煙草もあっという間に底を尽きて手にしている、空色の箱も空になってしまっていた。
これが最後のひと箱だと分かっていたが、それほど焦りを感じていない。無いのなら貰えばいい。
「なぁ、おっちゃん。一本わけてや」
運転席の隣、助手席に向かってウルフウッドは手を伸ばした。今までそう言って、ウルフウッドはロベルトから何本も煙草をくすねている。