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    ひいらぎ

    DOODLE学パロライカブ
    閲覧ありがとうございます。
    ライオスくん高等部2年、カブルーくん中等部1年です。
    高等部2年にとって中等部1年ってなかなかそういう対象にはならないよなーと思いました。
    結ぶまでいくのはきっとはやくてもカブルーくんが高等部卒業してからでしょうね。
    育ち育み結ぶもの「おはようございます、ライオス先輩」
     春休み明け、登校第一日目。いつもの待ち合わせ場所に彼は立っていた。桜の花びらが舞い散る中嬉しそうに笑う彼は、少し驚くほどに人目を引いた。けれど、俺はそんなことよりもずっと違和感が強くて、いつもなら立ち止まることなく連れ立って歩き出していたはずの足を止めた。
    「なんだい、それ」
    「どれですか?」
    「その言葉遣いだよ」
    「ああ……」
     彼は得心したようにそう声を漏らすと、両腕を開いて見せた。
    「俺も今日から中等部なので、『ライオスくん』は卒業しようかと思いまして」
     得意げな笑顔を浮かべて、そんなことを告げる彼の手は大半が袖に隠れている。制服の採寸から帰ってきた彼が、『ライオスくんと同じくらい大きくなるから大きめを注文した』と語っていたのを思い出す。俺も四年前は大きめの制服に着られていたよなあ、ということも。それから、そんな俺を見て、『ライオスくん、かっこいい!』と目をキラキラさせていた彼のことも。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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