Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    29

    Maohnmeow

    PAST線香花火をする太刀二の話です。季節外れですが……
    2022.09.18の吾が手に引き金を29で発行した短編集「杪夏」からweb再録しています。
    通販も一応残っておりますので、ご入用の方はどうぞ。
    https://maohnmeow.booth.pm/items/4176835
    白露 ひゅるる~、ドーン。ぱらぱら。花火が打ち上げられては散っていく音が聞こえる。ベランダから少し顔を出すと夜空に大輪の花が咲くところがよく見える。華々しいそれらは夏のふーぶつし、ってヤツだ。漢字でどう書くのか思い出せない。
    「なぁ二宮、見るのもいいけどこれやろうぜ」
     言いながら俺は線香花火を取り出した。普通の手持ち花火をやるにはこのベランダじゃちょっと狭いけれど、線香花火くらいならできるからと持ってきてみた。見るのが嫌なわけじゃないけど、なにもしないのも暇だし。二宮はゆっくりと瞬きをして、笑って答えた。笑ったと言っても口の端がすこーし上がったかなっていう程度。
    「仕方ないな」
    「よっしゃ、やろうぜ」
     許可が下りたのでいそいそと準備を進める。ベランダにろうそくを立ててライターで火をつけた。袋のテープを剥がして、線香花火の本体を取り出す。ひらひらしたピンク色の部分を持って、二宮に手渡した。
    1528

    haredamaya

    INFO3/29の【MP46 命の祝祭3】に参加します。
    サークルスペースは【命20 晴玉屋】です。

    死ぬことが出来ないラーマと転生を繰り返すビームの話です。
    ※転生ものなので必然的に死ネタを含みますが、最後はハッピーエンドです。

    R18/24P/200円
    永遠を生きるラーマと転生を繰り返すビームの話銃声が鳴り響く。
    身体に衝撃が走り、ラーマは地面に倒れた。どくどくと血液が流れ、自分の周りに血溜まりを作っていく。
    ー私はもうだめかもしれない。
    血液が流れ出る速度が速い。撃たれた部位はきっと急所なんだろう。ラーマが自分の最期を感じていた時、ビームの叫ぶ声が聞こえた。
    「兄貴!」
    駆け寄って来たビームが身体を抱き起こすのがわかり目を開けると、涙の粒を溢れさせた顔が視界いっぱいに広がった。口を動かして安心させたいが上手くできない。
    「死ぬな!俺を置いて行くな!」
    ー大地女神よ、兄貴を連れて行かないでくれ!
    ビームの叫び声が遠くで聞こえる。残された力で目を開けると満点の星空の中流れる星が見えた。
     
     
    次にラーマが目を覚ましたのは、前回の闘争から二か月ほど経った時だった。目を開けると相変わらずビームの心配した顔で視界がいっぱいになり、吹き出す。笑われたことに怒りもせず、良かったと抱きしめてくれるビームの身体は温かく、自分も生きてて良かったと思えた。
    2020