未だ遠い恋の唄　どこか遠くでポロンときれいな音がこぼれ落ちた。辿々しく始まったその音は、いつしか和音を奏でると高く駆け上がり、初冬の校舎に響きはじめる。
　モニカは先月分の報告書を捲りながら、無意識に耳を澄ませた。

　初冬の晴れた日の午後。生徒会室の大きなガラス窓は表面積いっぱいに陽射しを取り込み、舞い上がった埃をキラキラと輝かせた。
　暖炉に火を入れなくとも室内は暖かく、蝋燭を用意せずとも手元は眩しいほどに明るい。
　生徒会の面々は今は部屋に居ない。職員室に赴いたフェリクスとシリルはもう少しかかるだろう。今日は職員への報告以外にこれと言った用事がなく、会長と副会長以外は各々の細かい仕事に出掛けていた。
　そんな中、モニカだけは今月の会計報告書のために生徒会室に居座り先月の書類の見直しを行なっている。

【普隱普】最後一個離開的是佩特，大怪盜整整帽子，手杖隨意一點，便消失在原地，只留下一句漫不經心的祝好運——尾音慵懶拖長。

先是腰脊，然後肩頸，隱月很慢很慢地舒展僵硬的身體，最後緩緩向後靠在牆上，滑坐下來，壁爐裡將熄的柴火升起煙，很慢很慢繞住他，星子很慢很慢落下。
　　
「大家都各自回到歡迎他們的地方去了吧。」
　　
哪怕是這樣空曠的故居，他仍習慣性曲起腿，蜷縮起來，將臉埋進雙臂間，只留下一點點隨意擱著的視線。
　　
就像很久很久以前一樣。
　　
乾而冷的空氣，圓到極致的月，太安靜的呼吸，很慢很慢的時間。

破了大洞的屋頂，龍紋旗幟，裂相框，舊桌椅。碎散的瓷器，空窗櫺，木樓梯。時間，時間，時間。他不是很願意去看這一切。
　　
月光照亮一半的他，隱月有點兒想挪去更陰暗的地方，卻只僵著全身蜷在原地。一點點濕氣自下而上攀住他，像菌絲，或者別的什麼能絞住人的東西，以致於他有著錯覺，好像現在哪怕動上極細極微的一點神經，都能被這種濕冷勒斃。