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    例の顔

    nbsk_pk

    DOODLE岳博、いちゃいちゃギャグ。寒い日に一緒に寝る姿勢の話。岳さんが拗ねてるのは半分本気で半分はやりとりを楽しんでいる。恋に浮かれている長命種かわいいね!うちの博さんは岳さんの例の顔に弱い。
    「貴公もまた……」
     などと重岳に例の表情で言われて動揺しない人間はまずいないだろう。たとえそれが、冬になって寒くなってきたから寝ているときに尻尾を抱きしめてくれないと拗ねているだけであったとしても。


     彼と私が寝台をともにし始めてから季節が三つほど巡った。彼と初めて枕を交わしたのはまだ春の雷光が尾を引く暗い夜のことで、翌朝いつものように鍛錬に向かおうとする背中に赤い跡を見つけ慌てたことをまだおぼえている。それからほどなくして私の部屋には彼のための夜着がまず置かれ、タオルに歯ブラシにひとつまたひとつと互いの部屋に私物が増えていき、そして重ねる肌にじっとりと汗がにじむような暑さをおぼえる頃には、私たちはすっかりとひとかたまりになって眠るようになったのだった。彼の鱗に覆われた尾にまだ情欲の残る肌を押し当てるとひんやりと優しく熱を奪ってくれて、それがたいそう心地よかったものだからついついあの大きな尾を抱き寄せて眠る癖がついてしまった。ロドスの居住区画は空調完備ではあるが、荒野の暑さ寒さというのは容易にこの陸上艦の鋼鉄の壁を貫通してくる。ようやく一の月が眠そうに頭をもたげ、月見に程よい高さにのぼるようになってきた頃、私は名残惜しくもあのすばらしいひんやりと涼しげな尾を手放して使い古した毛布を手繰り寄せることにしたのだった。だが。
    2030

    はるみや

    DONE『この顔はお見せできません』
    泥酔モさんと絡まれるチェくんと巻き込まれるアロ。チェズモク。
    トんでしまいそうな例の顔を意図的にやってるか知らんが、ガチ照れしてる顔のほうが見せるの抵抗あるとかだと可愛いなって思いました。
     極東の宝石箱と謳われる島は夜が更けても尚活気づいており、得てして時間感覚を曖昧にさせるが、携帯端末の画面に刻まれた時刻は確りと丑三つ時を刻んでいる。
     しかしながらアーロンの表情を濁らせていたのは、現時刻でも、その時間まで長引いた仕事に対する疲弊や、それに付随する苛立ちでも無い。受話器のアイコンと共に表示される、煌々と光る“クソ詐欺師”の文字だった。
     “クソ詐欺師”とは、現在行動を共にしている仲間の内の1人であるチェズレイ ニコルズを指す。彼の名が表示されることは、アーロンにとっては煩わしい知らせであることと同義だ。スクリーンを睨めつけるも、コールが途切れることはない。携帯端末を投げ捨ててしまいたい衝動に駆られたが、どうにか堪えた。どうせ着信を拒否したところで何かしらの手段を用いて強引に連絡を取りつけるか、後々顔を合わせた際に散々嫌味を言われるかのどちらかであるのを知ってるからだ。
     舌打ちをし、アーロンは渋々受話器のアイコンをタップした。
    『怪盗殿』
    「ンだよ、こんな夜中に。切るぞ」
    『怪盗殿、お待ちを』
     アーロンは眉を顰めた。
     電話越しに聞こえるのは確かにチェズレイの声だ。 5893