akina
うず潮
DONE5/20ロモそくで企画したあきな様(@akina_daidai)とのコラボ折り本『ただいまの贈りもの』の小説部分です。ダイ君を出迎えるレオナ視点のお話。もともとはあきなさんがツイッターにあげたイラストが素敵で文章を書かせていただいたのが始まりでした。
ただいまの贈りもの「あら、ダイ君! おかえりなさ……」
言い終わる前に抱きすくめられた。ぎゅうっと力強く。
「ちょ……ちょっと、どうしたの? ダイ君……」
「…………」
ダイ君は何も言わないであたしを無言で抱きしめたまま。頭に頬を摺り寄せているのがわかる。
なにかあったのね、きっと。
時折ダイ君は、やるせない思いを胸にかかえたまま帰ってくることがある。そんな時はたいてい、こうして無言で抱きしめられる。言葉として発することもまた彼にとって負担になるのだろう。
だからあたしも何も言わない。
あたしの言葉を求めている時は、ダイ君は言葉や眼差しでなにかを伝えようとしてくれるから。
今はきっとこのまま彼の腕の中にいるのが一番。あたしを抱きしめることが、なんらかの癒しになるのなら、それでいい。
838言い終わる前に抱きすくめられた。ぎゅうっと力強く。
「ちょ……ちょっと、どうしたの? ダイ君……」
「…………」
ダイ君は何も言わないであたしを無言で抱きしめたまま。頭に頬を摺り寄せているのがわかる。
なにかあったのね、きっと。
時折ダイ君は、やるせない思いを胸にかかえたまま帰ってくることがある。そんな時はたいてい、こうして無言で抱きしめられる。言葉として発することもまた彼にとって負担になるのだろう。
だからあたしも何も言わない。
あたしの言葉を求めている時は、ダイ君は言葉や眼差しでなにかを伝えようとしてくれるから。
今はきっとこのまま彼の腕の中にいるのが一番。あたしを抱きしめることが、なんらかの癒しになるのなら、それでいい。
うず潮
DONE『ただいまの贈りもの』三部作の第二話。ダイ君サイドからのお話です。あきなさん(@akina_daidai)の素敵イラストを是非思い浮かべながら、どうぞー!
ただいまと言える場所 パプニカの城門の前にルーラで降り立った。
出迎えようと声をかけてくる城兵さんを始めとするお城の人たちへの挨拶もそこそこに、一目散に向かっていく。
この時間なら玉座の間か執務室か、そのあたりにいるはずだ。
玉座の間へと続く回廊に差し掛かった時、声をかけられた。
澄んで凛とした綺麗な声。周りにどれだけ沢山の人がいようとも、おれはこの声だけを聴き分けることができる。
「あら、ダイ君! おかえりなさ……」
きっとその顔は嬉しそうな笑顔で彩られているのだろう。でもおれはそれを確かめる余裕もなく、彼女を抱きしめた。
レオナ───
愛おしくてたまらないこの存在。
なくしたくなくて、守りたくて───誰よりもおれのそばにいてほしい大切な女の子。
1537出迎えようと声をかけてくる城兵さんを始めとするお城の人たちへの挨拶もそこそこに、一目散に向かっていく。
この時間なら玉座の間か執務室か、そのあたりにいるはずだ。
玉座の間へと続く回廊に差し掛かった時、声をかけられた。
澄んで凛とした綺麗な声。周りにどれだけ沢山の人がいようとも、おれはこの声だけを聴き分けることができる。
「あら、ダイ君! おかえりなさ……」
きっとその顔は嬉しそうな笑顔で彩られているのだろう。でもおれはそれを確かめる余裕もなく、彼女を抱きしめた。
レオナ───
愛おしくてたまらないこの存在。
なくしたくなくて、守りたくて───誰よりもおれのそばにいてほしい大切な女の子。