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    もろは

    妖怪ろくろ回し

    MOURNING殺生丸ともろは(妄想)*


    「いーのかよ、こんなんでさ」
     姪を名乗る四半妖の小娘は唇を尖らせた。
     あ、これ食べる? と大きな大きな風呂敷のようなものから彼女が取り出したものはいつか見たことのある食べ物。時折犬夜叉やかごめたちから臭っていた、アレだ。芋と脂と何かの臭いが混じった、とにかく臭いの強いもの。そんな印象しかないが、この世に似つかわしくない見慣れぬ文字が刻まれたそれは『あちら側』から持ち込んだものだということはすぐに分かった。
    「食わぬ」
     それは鼻が曲がる。
    「……そこには返事するのかよ」
     じゃアタシが独り占め。もろはは嬉しそうに袋を破り、薄暗い川辺にあの臭いが漂い始める。
    「……臭い」
    「風下に座るからだって。言っとくけど、アタシは動かねぇからな」
    「……」
     答えない殺生丸のほうをもろははちらりと一瞥し、再び視線を袋の中に戻す。もう残りは少ない、折角ならみんなで分ければよかったかな、とも思ったがすぐにその考えは捨てる。どうせせつなはこの目の前の殺生丸と同じで「臭い」と言って切り捨てるし、とわはあぁ見えてすぐに遠慮する性格だ。いずれにせよ一人で食べることになっただろうし、と容赦なくそれを口 2454