ショートショート
たんごのあーる
TRAINING月が出てる間に。ショートショート。ストロベリームーン真夜中にふと目を覚ますと、カーテンの隙間から青い光が差し込んでいた。そういえば、今晩は満月だと誰かに聞いた気がする。
「親友」が同じベッドの上で安らかな眠りに落ちているのを確認し、起こさないよう、光に誘われるようにそっと布団から抜け出した。
薄いカーテンをそっと捲り、窓を開けてベランダに出ると、昼間降った雨のせいか、梅雨独特の湿り気がTシャツ一枚の身体に纏わりつく。見上げると切れ切れの雲の隙間から、月が顔を覗かせていた。
部屋から持ち出した煙草に火を点けふかす。呪霊の味を誤魔化すために始めた煙草だが、今紫煙を燻らすのは、すぐに高揚する心や欲望を落ち着かせるためのおまじないや儀式のようなものでもあった。落ち着かせるついでにと、立ち昇る煙を見ながら、最近測りかねている「親友」との距離について思いを巡らせ始める。
779「親友」が同じベッドの上で安らかな眠りに落ちているのを確認し、起こさないよう、光に誘われるようにそっと布団から抜け出した。
薄いカーテンをそっと捲り、窓を開けてベランダに出ると、昼間降った雨のせいか、梅雨独特の湿り気がTシャツ一枚の身体に纏わりつく。見上げると切れ切れの雲の隙間から、月が顔を覗かせていた。
部屋から持ち出した煙草に火を点けふかす。呪霊の味を誤魔化すために始めた煙草だが、今紫煙を燻らすのは、すぐに高揚する心や欲望を落ち着かせるためのおまじないや儀式のようなものでもあった。落ち着かせるついでにと、立ち昇る煙を見ながら、最近測りかねている「親友」との距離について思いを巡らせ始める。
たんごのあーる
TRAINING16巻の衝撃にうなされるようにしてひとつ。ショートショート。目が覚めたら、まだ真夜中だった。隣で眠っていたはずの傑がいない。悪夢の続きかと思うと、鼓動が不規則に激しくなり、呼吸が乱れる。とりあえずひとつ深呼吸して、周りを見渡す。薄いカーテンの向こうのベランダで、ホタルのように明滅する小さな光を見つけ、慌ててベッドから降りると、引き寄せられるようにその広い背中に縋り付いた。
「悟?どうした?目、覚めちゃた?」
肩口に頭を乗せて、うなじから傑の香りを確かめる。くすぐったいよ、と頭を優しく撫でられると、少し落ち着いた。
「まだ早いよ。どうしたの。」
「…ヤな夢を見た。」
「どんなの?」
「言いたくないくらい、ヤなやつ。」
5月の月のない夜は、虫の声もせず、ひどく静かでなんだか仄暗い。
「そっか。でも、夢でよかったよ。」
そう、傑はポツリと言う。
「なんで?」
「夢は『夢』だからさ。良い夢見たときは、いい夢見られてよかった。悪い夢の時は、夢でよかった。現実じゃなくてよかった、ってこと。」
煙草を消して、携帯灰皿をポケットに仕舞うと、正面から抱きしめられる。Tシャツ越しに伝わる傑の体温が自分より少し低いのに気付いて、なんだか切なくなる。
「身体、冷えて 573
Dochi_Kochi28
DONEアモアキ(亜アキ)ショートショート本編その後 チョット創作入れてます 解釈違いご注意ください アキラさんが博士になってますぼんやりと、天井が明るくなってきたころ。
珍しく、目が覚めた。
その前の夜に言われたことが引っ掛かっていたからだ。
始まりは同じ部屋に住んでいる酔っ払いの一言だった。
「なぁ。君は、あと何年生きるんだ?」
言われた直後は「さぁ、な。」と言葉を濁したが、いつかは向き合わねばならないことだった。
「後、何年、か。」
彼女を起こさないようにベッドを抜け出し、ベランダに出て、ぼんやりと考えを巡らせていた。
人として短くなったであろう寿命をこのまま全うするか。
それとも、実験体になってでも処置を受けて、できるだけ長く彼女と一緒に生きるか…化け物になってでも生きて、そばで支え続けるか。
俺にとってはとても重たいことなのだと思う。
振り返り、まだ目を閉じたまま、さっきまでの酔っ払いぶりはどこに行ったのか、というくらいにおとなしくすやすやと眠りについたままの彼女を見やる。
置いて、行きたくない。
二度も彼女を泣かせたくないな、と思う。
そうか。簡単なことなんだ。
心がすっと軽くなったような気がした。
その朝。
朝食を食べ終えたアキラを正面から抱きしめて、なるべく自分の顔が見えないようにして。
「 1387