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    ショートショート

    たんごのあーる

    TRAINING16巻の衝撃にうなされるようにしてひとつ。ショートショート。目が覚めたら、まだ真夜中だった。隣で眠っていたはずの傑がいない。悪夢の続きかと思うと、鼓動が不規則に激しくなり、呼吸が乱れる。
    とりあえずひとつ深呼吸して、周りを見渡す。薄いカーテンの向こうのベランダで、ホタルのように明滅する小さな光を見つけ、慌ててベッドから降りると、引き寄せられるようにその広い背中に縋り付いた。
    「悟?どうした?目、覚めちゃた?」
    肩口に頭を乗せて、うなじから傑の香りを確かめる。くすぐったいよ、と頭を優しく撫でられると、少し落ち着いた。
    「まだ早いよ。どうしたの。」
    「…ヤな夢を見た。」
    「どんなの?」
    「言いたくないくらい、ヤなやつ。」
    5月の月のない夜は、虫の声もせず、ひどく静かでなんだか仄暗い。
    「そっか。でも、夢でよかったよ。」
    そう、傑はポツリと言う。
    「なんで?」
    「夢は『夢』だからさ。良い夢見たときは、いい夢見られてよかった。悪い夢の時は、夢でよかった。現実じゃなくてよかった、ってこと。」
    煙草を消して、携帯灰皿をポケットに仕舞うと、正面から抱きしめられる。Tシャツ越しに伝わる傑の体温が自分より少し低いのに気付いて、なんだか切なくなる。
    「身体、冷えて 573

    Dochi_Kochi28

    DONEアモアキ(亜アキ)ショートショート
    本編その後 チョット創作入れてます 解釈違いご注意ください アキラさんが博士になってます
    ぼんやりと、天井が明るくなってきたころ。
    珍しく、目が覚めた。
    その前の夜に言われたことが引っ掛かっていたからだ。

    始まりは同じ部屋に住んでいる酔っ払いの一言だった。
    「なぁ。君は、あと何年生きるんだ?」
    言われた直後は「さぁ、な。」と言葉を濁したが、いつかは向き合わねばならないことだった。
    「後、何年、か。」
    彼女を起こさないようにベッドを抜け出し、ベランダに出て、ぼんやりと考えを巡らせていた。
    人として短くなったであろう寿命をこのまま全うするか。
    それとも、実験体になってでも処置を受けて、できるだけ長く彼女と一緒に生きるか…化け物になってでも生きて、そばで支え続けるか。
    俺にとってはとても重たいことなのだと思う。

    振り返り、まだ目を閉じたまま、さっきまでの酔っ払いぶりはどこに行ったのか、というくらいにおとなしくすやすやと眠りについたままの彼女を見やる。
    置いて、行きたくない。
    二度も彼女を泣かせたくないな、と思う。
    そうか。簡単なことなんだ。
    心がすっと軽くなったような気がした。

    その朝。
    朝食を食べ終えたアキラを正面から抱きしめて、なるべく自分の顔が見えないようにして。
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