takana10gohan
DONE1年ほど前のフロデュWebオンリーにてWebアンソロへ寄稿した作品です。テーマは『アイドル』。再録していなかったのでアップします。夢の続き、或いは始まり『アイドルになろう』
別にデュースは最初からそう思っていたわけではない。プライマリースクールの頃、母と街で買い物をしていた時にプロダクションから声を掛けられたのが始まりだ。キッズモデルの勧誘だった。
大手のプロダクションだったが親心としては不安しかない。ただ、母子家庭で生活があまり楽ではないことをデュースは知っていた。母との生活が少しでも楽になれば、とデュースは自分でその道に入ることを決めた。
とはいえプロダクションに入ればすぐに仕事が来るわけではい。幼いながらもデュースは整った顔立ちをしていたが、我が強くなければすぐ埋もれてしまう。運良くとあるブランドの専属キッズモデルとして契約をとることができたのは、実力というよりは運だった。
6009別にデュースは最初からそう思っていたわけではない。プライマリースクールの頃、母と街で買い物をしていた時にプロダクションから声を掛けられたのが始まりだ。キッズモデルの勧誘だった。
大手のプロダクションだったが親心としては不安しかない。ただ、母子家庭で生活があまり楽ではないことをデュースは知っていた。母との生活が少しでも楽になれば、とデュースは自分でその道に入ることを決めた。
とはいえプロダクションに入ればすぐに仕事が来るわけではい。幼いながらもデュースは整った顔立ちをしていたが、我が強くなければすぐ埋もれてしまう。運良くとあるブランドの専属キッズモデルとして契約をとることができたのは、実力というよりは運だった。
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DONE3年ほど前のフロデュWebオンリーにてWebアンソロへ寄稿した作品です。担当テーマは『夏』。再録していなかったのでアップします。ひまわり畑でつかまえてカラリとした熱い風と、照りつける太陽の陽射し。背の高いフロイドの視界を遮るように揺れているのは、一面のヒマワリ畑だ。
「ねぇねぇ、サバちゃんは夏っていったら何が思い浮かぶ?」
スマホを弄りながら言うフロイドに、デュースは課題から顔を上げる。今日は二人とも部活もなく、フロイドもラウンジの仕事がなかったので、デュースはフロイドの部屋で課題をこなしていた。状況でお察しであるが二人は恋人同士である。フロイドの熱烈なアプローチの結果だ。
「夏……夏ですか。うーん…夏、アイスとか海とか、そんなんですかね」
「ふーん」
「いや、ふーん、て。一体何ですか急に」
「アズールがさぁ、そろそろ夏に向けた期間限定メニュー始めたいから案出せって言うんだけど、陸の夏ってよく分かんねーじゃん?」
6492「ねぇねぇ、サバちゃんは夏っていったら何が思い浮かぶ?」
スマホを弄りながら言うフロイドに、デュースは課題から顔を上げる。今日は二人とも部活もなく、フロイドもラウンジの仕事がなかったので、デュースはフロイドの部屋で課題をこなしていた。状況でお察しであるが二人は恋人同士である。フロイドの熱烈なアプローチの結果だ。
「夏……夏ですか。うーん…夏、アイスとか海とか、そんなんですかね」
「ふーん」
「いや、ふーん、て。一体何ですか急に」
「アズールがさぁ、そろそろ夏に向けた期間限定メニュー始めたいから案出せって言うんだけど、陸の夏ってよく分かんねーじゃん?」
takana10gohan
DONE3年ほど前のフロデュWebオンリーにてWebアンロソ寄稿した作品です。テーマは『両片想い』。再録していなかったのでアップします。それは淡く揺らめく陽炎のように無謀な恋だな、というのは自覚があった。
デュースは自分の人生を振り返ってみても、明確にここまで『好きだ』と思える相手に出会ったことがなかった。デュースが恋した相手は同性な上、更に種族が違っていた。いや同性間の恋愛はどこの国でも一般的に認められているので問題ではない。
その相手と言うのは、デュースとは違う寮で、学年は一つ上で、あまり良い噂が無くて、デュースよりも背が一回りも高い人物で。とんでもない気分屋という事以外は、正直デュースは知らなかった。
オクタヴィネル寮のフロイド・リーチ。ウツボの人魚で、デュースがひっそりと想いを寄せている相手だ。
初めて彼を見た時の事をデュースはよく覚えていない。ハッキリと一個人として認識したのは、エースと色変え魔法の練習をしていた時だ。自分の失敗した魔法を、フロイドが無邪気に楽しそうに笑うものだから、デュースはそれがひどく印象に残ったのだ。
9403デュースは自分の人生を振り返ってみても、明確にここまで『好きだ』と思える相手に出会ったことがなかった。デュースが恋した相手は同性な上、更に種族が違っていた。いや同性間の恋愛はどこの国でも一般的に認められているので問題ではない。
その相手と言うのは、デュースとは違う寮で、学年は一つ上で、あまり良い噂が無くて、デュースよりも背が一回りも高い人物で。とんでもない気分屋という事以外は、正直デュースは知らなかった。
オクタヴィネル寮のフロイド・リーチ。ウツボの人魚で、デュースがひっそりと想いを寄せている相手だ。
初めて彼を見た時の事をデュースはよく覚えていない。ハッキリと一個人として認識したのは、エースと色変え魔法の練習をしていた時だ。自分の失敗した魔法を、フロイドが無邪気に楽しそうに笑うものだから、デュースはそれがひどく印象に残ったのだ。
takana10gohan
DONEとある夢の国へと遊びに行くフロデュ〜その手はどこでも繋いだままでピピピ、ピピピ、と聴き慣れた電子音にデュースのぼんやりとした意識が浮上していく。今日は部活だっけ、それともフラミンゴやハリネズミ達の当番の日だっけ。
(寝起きは良い方なのに今日はダルいなぁ…)
そんなことを考えながらデュースはベッドのシーツから腕を伸ばし、手探りで枕元のスマホを探る。シーツが重い。
ピピピ、ピッ。とアラームは途中で途切れ、デュースはあれ? と思う。デュースの手はまだスマホへと届いておらず、シーツの表面をパタパタと滑っていた。
「サバちゃん寝ぼけてんの?」
「ふあ…⁉ リ、リーチ先輩…ッ⁉」
頭上から降ってきた声にデュースは思わず飛び起きた。別の寮生である声の主がデュースのベッドまで来ることなどないからだ。ガバリと起き上がったものの、腰に走った鈍い痛みに思わず小さなうめき声が出る。
15608(寝起きは良い方なのに今日はダルいなぁ…)
そんなことを考えながらデュースはベッドのシーツから腕を伸ばし、手探りで枕元のスマホを探る。シーツが重い。
ピピピ、ピッ。とアラームは途中で途切れ、デュースはあれ? と思う。デュースの手はまだスマホへと届いておらず、シーツの表面をパタパタと滑っていた。
「サバちゃん寝ぼけてんの?」
「ふあ…⁉ リ、リーチ先輩…ッ⁉」
頭上から降ってきた声にデュースは思わず飛び起きた。別の寮生である声の主がデュースのベッドまで来ることなどないからだ。ガバリと起き上がったものの、腰に走った鈍い痛みに思わず小さなうめき声が出る。