ヤマダカナ
DONE2019年10月に書いた独二の別れ話のその後!【独二】約束のない待ち合わせ「俺、ちゃんと普通に出来てたかな」
肌寒い秋風が彼の少し震えた言葉を運んできてくれたのは、もう三年も前になる。
傍に居るのが当たり前で、どんなに忙しくても、どんなに疲れていても、彼の笑顔ひとつでどこまでも頑張れるような気がしていたあの頃。
年齢だって一回りも違う。趣味も、交友関係も、好きな音楽も好きなテレビ番組も、何もかもが違っていた俺たちだけど、その間には確かに存在していた。恥ずかしいけれど、それは愛とか、そういう類いのものだ。
俺は彼が好きだった。三年前のあの日も、きっと心の奥底では「離れたくない」と声にならない声で叫んでいたはずだ。
しかし、俺たちが別れたのはお互いに話し合って納得して決めた別れだった。喧嘩したとか、どちらかに好きな人が出来てしまっただとか、そういう感じではなく、これ以上一緒に居ても何にもならない、と分かってしまったからだった。
5309肌寒い秋風が彼の少し震えた言葉を運んできてくれたのは、もう三年も前になる。
傍に居るのが当たり前で、どんなに忙しくても、どんなに疲れていても、彼の笑顔ひとつでどこまでも頑張れるような気がしていたあの頃。
年齢だって一回りも違う。趣味も、交友関係も、好きな音楽も好きなテレビ番組も、何もかもが違っていた俺たちだけど、その間には確かに存在していた。恥ずかしいけれど、それは愛とか、そういう類いのものだ。
俺は彼が好きだった。三年前のあの日も、きっと心の奥底では「離れたくない」と声にならない声で叫んでいたはずだ。
しかし、俺たちが別れたのはお互いに話し合って納得して決めた別れだった。喧嘩したとか、どちらかに好きな人が出来てしまっただとか、そういう感じではなく、これ以上一緒に居ても何にもならない、と分かってしまったからだった。
ヤマダカナ
DONE8/22夏インテにて頒布予定だった独二夏の短編集(コピ本)よりその2!
【独二】線香花火が終わる前に 見て、買ってきた。
そう言って差し出されたのはどこか懐かしさの残る線香花火だった。
花火セットの中には必ずと言っていいほど入っていて、どちらかというと最後まで残る、いわゆる不人気なのが線香花火だ。
勢いよく火花が噴き出すタイプの手持ち花火とは違って、控えめにパチパチと火花が飛び散る線香花火は花火の締めに「先に落とした方が負け」などと罰ゲーム要素を加えて消費したりしていた。
「線香花火だけ買ってきたのか?」
「だってベランダで爆竹やったら怒るだろ」
「怒るというか普通に通報されるだろうけど」
「だから線香花火。これならいいだろ?」
にっこり笑ったあとに、ベランダに置いてあったバケツに水を入れてテキパキと準備を始め、一二三が育てているプチトマトなどを安全な場所へ避難させた。
1553そう言って差し出されたのはどこか懐かしさの残る線香花火だった。
花火セットの中には必ずと言っていいほど入っていて、どちらかというと最後まで残る、いわゆる不人気なのが線香花火だ。
勢いよく火花が噴き出すタイプの手持ち花火とは違って、控えめにパチパチと火花が飛び散る線香花火は花火の締めに「先に落とした方が負け」などと罰ゲーム要素を加えて消費したりしていた。
「線香花火だけ買ってきたのか?」
「だってベランダで爆竹やったら怒るだろ」
「怒るというか普通に通報されるだろうけど」
「だから線香花火。これならいいだろ?」
にっこり笑ったあとに、ベランダに置いてあったバケツに水を入れてテキパキと準備を始め、一二三が育てているプチトマトなどを安全な場所へ避難させた。
1ion92286689
PROGRESS私は、13RTされたら「魔法少女が捕まった」をお題にした幻太郎のえっちなお話を書きます!こちらの書き出しです。13RTはされていませんが、面白そうなので少し描いてみました。
魔法処女ファントム 第一話 小生のバカ! 世の小説家は、締め切りとどのように向き合っているか皆さんはご存知だろうか?小生はは締め切りの前の締め切りなるものを作っております。
出版社と相談して決めた締め切りの前に自分の締め切りを作っておくと本当の締め切りの前になんとか書き上げることができるのです!というのは、嘘です。そんな事をしても間に合わない時は間に合いません。
泣こうが喚こうがシメキリはやってっくる。しかし、明けない締め切りはないもので、今日も小生はギリギリで小説を書き上げ、最後の送信を終えるEnterを人差し指でポチッと押し、もう2度と画面など見たくないとパソコンの上に目を閉じて倒れ込みました。
「もっしーもーし!小説家のオニーサン!」
2700出版社と相談して決めた締め切りの前に自分の締め切りを作っておくと本当の締め切りの前になんとか書き上げることができるのです!というのは、嘘です。そんな事をしても間に合わない時は間に合いません。
泣こうが喚こうがシメキリはやってっくる。しかし、明けない締め切りはないもので、今日も小生はギリギリで小説を書き上げ、最後の送信を終えるEnterを人差し指でポチッと押し、もう2度と画面など見たくないとパソコンの上に目を閉じて倒れ込みました。
「もっしーもーし!小説家のオニーサン!」
ヤマダカナ
DONE8/22夏インテにて頒布予定だった独二夏の短編集(コピ本)より繋がっていない短編集で、関係性は徐々に近くなる予定でした。
全6本の短編中、4本だけ書き終わっていましたのでアップいたします。
楽しんでいただけると嬉しいです。
途中で終わってしまいごめんなさい。
【独二】ぜんぶ夏のせいにして 蝉の鳴き声がいつからか生活音の一部になり、気にもならなくなったころ。拭っても拭っても湧き水のように溢れ出る汗をハンカチに吸い込ませてゆく。
営業成績が特別良いわけでもなく、かと言って全然ダメというわけでもないと自負している平凡な営業社員に営業車など与えてもらえるはずもなく、こうして汗を流しながら外回りをしている。
「……少し休んでも良いんだぞ」
嫌になるほど照りつけてくる太陽に向かって何となく呟いてみるけれど、こんなちっぽけな声が届くはずもなく、肌をじりじりと焦がす。
次のアポまで少し時間があったので耐えきれずコンビニに駆け込むとアイスコーナーの前で見覚えのある後ろ姿を見つけた。
暑くて一刻も早く冷たいものを摂取したかった俺は、知り合いに構っている余裕などなかったので、気付かないふりをしてアイスコーナーの一番端にあった良心的な価格のソーダのアイスを手に取った。
1384営業成績が特別良いわけでもなく、かと言って全然ダメというわけでもないと自負している平凡な営業社員に営業車など与えてもらえるはずもなく、こうして汗を流しながら外回りをしている。
「……少し休んでも良いんだぞ」
嫌になるほど照りつけてくる太陽に向かって何となく呟いてみるけれど、こんなちっぽけな声が届くはずもなく、肌をじりじりと焦がす。
次のアポまで少し時間があったので耐えきれずコンビニに駆け込むとアイスコーナーの前で見覚えのある後ろ姿を見つけた。
暑くて一刻も早く冷たいものを摂取したかった俺は、知り合いに構っている余裕などなかったので、気付かないふりをしてアイスコーナーの一番端にあった良心的な価格のソーダのアイスを手に取った。