狭山くん
TRAINING2022-08-14/空閑汐♂デイリー3日ぶりの更新です!こんな感じの話が多分2週間弱続きます……2週間後には楽しい話になれば……いいよね……(決意)空閑汐♂デイリー【Memories】14「なぁ、ヒロ……じゃない、な」
テキストから顔を上げながら溢された汐見の声に、フォスターは呆れたように息を吐く。航宙士学院の五年生として軌道ステーションにある国際航空宇宙学院のサテライトキャンパスで勉学に励むフォスターは、自習室で隣に座る汐見へ掛ける言葉に迷っていた。
「なぁ汐見」
フォスターの声に視線だけを向ける汐見の瞳は冷め切っていて、その事実に苦々しい気分になる。数ヶ月前までは、その瞳には自信だとか熱だとかそういった感情があった筈なのに。視線だけでフォスターの呼びかけに反応する汐見に、少しだけ逡巡するように言葉を探しながらも空気を震わせていく。
「もう、三ヶ月経つんだ。気晴らしでもした方が、いいんじゃないだろうか」
1090テキストから顔を上げながら溢された汐見の声に、フォスターは呆れたように息を吐く。航宙士学院の五年生として軌道ステーションにある国際航空宇宙学院のサテライトキャンパスで勉学に励むフォスターは、自習室で隣に座る汐見へ掛ける言葉に迷っていた。
「なぁ汐見」
フォスターの声に視線だけを向ける汐見の瞳は冷め切っていて、その事実に苦々しい気分になる。数ヶ月前までは、その瞳には自信だとか熱だとかそういった感情があった筈なのに。視線だけでフォスターの呼びかけに反応する汐見に、少しだけ逡巡するように言葉を探しながらも空気を震わせていく。
「もう、三ヶ月経つんだ。気晴らしでもした方が、いいんじゃないだろうか」
狭山くん
TRAINING2022-08-11/3本連続更新の3本目です!狭山くんは明日から14日の夜明けまでエゾロッカーになるので次の更新は14日になります┏( .-. ┏ ) ┓空閑汐♂デイリー【Memories】13「アマネ、別れよっか」
普段と変わらない柔らかな笑みを浮かべ、柔らかな声で紡がれた彼の言葉は、汐見を打ちのめすには充分すぎるものであった。
軌道ステーションで起こった過激派テロリストによる占拠未遂事件は、空閑と汐見の手によって破綻したが、その代償はあまりにも大きかった。
テロリストの手に握られた拳銃から放たれた銃弾は、空閑の身体を貫き左肩を破壊して。あの日、空閑の傷口を押さえていた手に感じた彼の血潮の熱さと、ぬらりとした感触、そしてむせ返るほどの鉄の匂いは汐見の記憶にこびり付いて離れない。
数日間眠り続けた空閑の隣でこのまま目覚めないのではという不安すら、今こうして言葉を交わす事ができるようになったというのに全く離れることはなくて。
1391普段と変わらない柔らかな笑みを浮かべ、柔らかな声で紡がれた彼の言葉は、汐見を打ちのめすには充分すぎるものであった。
軌道ステーションで起こった過激派テロリストによる占拠未遂事件は、空閑と汐見の手によって破綻したが、その代償はあまりにも大きかった。
テロリストの手に握られた拳銃から放たれた銃弾は、空閑の身体を貫き左肩を破壊して。あの日、空閑の傷口を押さえていた手に感じた彼の血潮の熱さと、ぬらりとした感触、そしてむせ返るほどの鉄の匂いは汐見の記憶にこびり付いて離れない。
数日間眠り続けた空閑の隣でこのまま目覚めないのではという不安すら、今こうして言葉を交わす事ができるようになったというのに全く離れることはなくて。
狭山くん
TRAINING2022-08-11/3本連続更新2本目!2本目!ってテンションの話ではない。空閑汐♂デイリー【Memories】12 安静を命じられたベッドの上で、嫌な考えだけが巡る。医者が言うには後数週間はこの軌道ステーションで過ごし、そこから先は地球の病院で本格的な治療をするらしい。大した娯楽もない医療センターのベッドで日がな一日天井を見つめ続ける空閑は、何度目かもわからないため息を吐き出した。
学院は勝手に退学させられて、それだけはどうしても許せなかった空閑は一方的に家族との縁を切った。地球に帰っても、帰る場所すらない。
「……あれは悪手だったなぁ」
普段の空閑であれば、話半分に聞き流して当面の寝床を確保するくらいはしていただろう。けれど、幼い頃からの夢に手が届く直前で勝手に終止符を打たれてしまった事だけは、どうしても笑って流す事はできなかったのだ。
1974学院は勝手に退学させられて、それだけはどうしても許せなかった空閑は一方的に家族との縁を切った。地球に帰っても、帰る場所すらない。
「……あれは悪手だったなぁ」
普段の空閑であれば、話半分に聞き流して当面の寝床を確保するくらいはしていただろう。けれど、幼い頃からの夢に手が届く直前で勝手に終止符を打たれてしまった事だけは、どうしても笑って流す事はできなかったのだ。
狭山くん
TRAINING2022-08-11/13日まで夜バタバタしてるので今日は3本更新です、の、その1。空閑汐♂デイリー【Memories】11「だから、言ったでしょう。危ないことなんてやめてって!」
絶対安静。軌道ステーションに用意された医務室のベッドから動くなと医者に厳命された空閑は、辟易しながら眉を寄せた。空閑の浮かべた表情に、ベッドの横に立つ女は更に声高に自身の主張だけを叫んで。
軌道ステーションの占拠を目論んだテロリストと一戦やらかし――その結果こうしてベッドから動く事すら許されない身分になってしまった空閑は、その生命だけはこの世に取り留める事に成功していた。
事件があったのは一週間前、空閑の意識が回復したのは四日前、そして眠り続ける空閑の隣に付き添い続けていたという汐見を訓練場へ行くように言い聞かせたのが三日前だった。
不幸な事故だった――けれど、汐見がこうならなくて良かったとも思う。あの場所に行こうと誘ったのは、空閑だったから。
1754絶対安静。軌道ステーションに用意された医務室のベッドから動くなと医者に厳命された空閑は、辟易しながら眉を寄せた。空閑の浮かべた表情に、ベッドの横に立つ女は更に声高に自身の主張だけを叫んで。
軌道ステーションの占拠を目論んだテロリストと一戦やらかし――その結果こうしてベッドから動く事すら許されない身分になってしまった空閑は、その生命だけはこの世に取り留める事に成功していた。
事件があったのは一週間前、空閑の意識が回復したのは四日前、そして眠り続ける空閑の隣に付き添い続けていたという汐見を訓練場へ行くように言い聞かせたのが三日前だった。
不幸な事故だった――けれど、汐見がこうならなくて良かったとも思う。あの場所に行こうと誘ったのは、空閑だったから。
狭山くん
TRAINING2022-08-10/空閑汐♂デイリー、5年目冒頭からして不穏。ここから2週間位はだいたいこんな感じです。空閑汐♂デイリー【Memories】10 どちらが叫んだのか、それともどちらともが叫んだのか。吠えるような男の叫び声が空気を震わせ、盾になろうとした身体は跳ね飛ばされていた。肩には衝撃が走る。
「――ッヒロミ!!」
何発かの銃声が響き、隔壁が閉じる金属音やサイレンが反響していた。その中でも、吠えるように叫ぶ男の声だけは、不思議とクリアに空閑の耳まで届く。
「ヒロミ、大丈夫だ。急所は逸れてる、大丈夫だから」
言葉の間に隙さえあれば大丈夫だと、何度も繰り返し口にしている男の声に彼の体重が掛けられていない方の腕を上げる。利き腕は無事だ。切れ長の瞳からポロリと溢れる雫が、綺麗だなんて。多分今彼に伝えたら怒られてしまうだろう。
けれど、とても綺麗だと思ったんだ。
995「――ッヒロミ!!」
何発かの銃声が響き、隔壁が閉じる金属音やサイレンが反響していた。その中でも、吠えるように叫ぶ男の声だけは、不思議とクリアに空閑の耳まで届く。
「ヒロミ、大丈夫だ。急所は逸れてる、大丈夫だから」
言葉の間に隙さえあれば大丈夫だと、何度も繰り返し口にしている男の声に彼の体重が掛けられていない方の腕を上げる。利き腕は無事だ。切れ長の瞳からポロリと溢れる雫が、綺麗だなんて。多分今彼に伝えたら怒られてしまうだろう。
けれど、とても綺麗だと思ったんだ。
狭山くん
TRAINING2022-08-09/今日のデイリーはヴィンと篠原(と高師くん)卒業おめでとう回!汐見♂と空閑は5年制なのであと1年!空閑汐♂デイリー【Memories】09 掲げられるグラスの数は四。高師だけが居ないその席でフェルマーは上機嫌だった。
「兎にも角にも、卒業おめでとう」
「ありがと! アマネとヒロミはあと一年だね」
カルアミルクをちびりと飲みながら上機嫌で頷くフェルマーを空閑は不思議そうに見つめて。
「ヴィン、高師と別の会社に行くっていうのに、寂しがらないんだね」
空閑の疑問は尤もだとフェルマーは頷いて「寂しいは寂しいし、今日来なかったのも意地っ張りだなぁって思うけど、ボクらは結局同じ場所を目指してるからね。すぐにまた逢えるでしょう?」と笑う。
高師と篠原はフェルマーが採用された企業の同業他社への入社を決めていた。それでも、同じ業界でこれからも暮らす事が分かっていれば、そこまで寂しさはない。
955「兎にも角にも、卒業おめでとう」
「ありがと! アマネとヒロミはあと一年だね」
カルアミルクをちびりと飲みながら上機嫌で頷くフェルマーを空閑は不思議そうに見つめて。
「ヴィン、高師と別の会社に行くっていうのに、寂しがらないんだね」
空閑の疑問は尤もだとフェルマーは頷いて「寂しいは寂しいし、今日来なかったのも意地っ張りだなぁって思うけど、ボクらは結局同じ場所を目指してるからね。すぐにまた逢えるでしょう?」と笑う。
高師と篠原はフェルマーが採用された企業の同業他社への入社を決めていた。それでも、同じ業界でこれからも暮らす事が分かっていれば、そこまで寂しさはない。
狭山くん
TRAINING2022-08-08/今日の空閑汐♂デイリーは空閑とフォスター。フォスターは良い奴だよな……私は君の事がだいぶ好きだよ……空閑汐♂デイリー【Memories】08 エンジンが空気を震わせていた。バリバリと空気を引き裂くエンジン音を轟かせ、その機体は空へと舞い上がる。
「お、今日もやってるな」
「やってるねぇ」
教室で座学の復習をしていた空閑とフォスターは窓の外へと視線を向ける。雲を描き空を自在に舞うのは汐見が操縦するジェット練習機で。眩しげに目を細めて見つめる空閑に、フォスターは呆れたようにため息をひとつ零していた。
「それにしてもあいつ、課外で取れるライセンス全部取り終わってるのにまだ乗ってるのか」
五年目の大気圏外実地訓練に進む為に必要なライセンスは授業中の訓練で取れるようなカリキュラムを組んであり、希望者の中から実技成績順に選抜される課外訓練ではその他にもこの場所で取れるライセンスの取得が出来るシステムで。一年次から成績上位をキープし続けている汐見はその課外訓練の全てに参加していたのだ。
1230「お、今日もやってるな」
「やってるねぇ」
教室で座学の復習をしていた空閑とフォスターは窓の外へと視線を向ける。雲を描き空を自在に舞うのは汐見が操縦するジェット練習機で。眩しげに目を細めて見つめる空閑に、フォスターは呆れたようにため息をひとつ零していた。
「それにしてもあいつ、課外で取れるライセンス全部取り終わってるのにまだ乗ってるのか」
五年目の大気圏外実地訓練に進む為に必要なライセンスは授業中の訓練で取れるようなカリキュラムを組んであり、希望者の中から実技成績順に選抜される課外訓練ではその他にもこの場所で取れるライセンスの取得が出来るシステムで。一年次から成績上位をキープし続けている汐見はその課外訓練の全てに参加していたのだ。
狭山くん
TRAINING2022-08-07/これが一昔前の夢小説だったら最後に(確かなものなど、何も無いというのに)ってグラデーション大文字が入る(最悪の演出)空閑汐♂デイリー【Memories】07 長期休みを終えた秋の空は高い。
「天高く馬肥ゆる秋、正に秋高気爽だな」
そう口にして笑う汐見の隣で空閑も釣られて笑みを浮かべていた。三年次を修了し、ようやくこの学院でも四年目の授業が始まる。
「それにしても、この休みも楽しかったね」
「だな」
空閑と汐見は揃って日本には帰らず、同じく帰省をしなかった篠原と共にフェルマーの家で世話になっていた。ドイツ国内だけではなく隣国まで足を伸ばし観光に勤しんだ日々を思い返した空閑は小さく笑う。
「途中で高師が合流したのには笑ったよな」
「意外と付き合いいいんだよね」
空閑達は後二年あるが、フェルマーを含めた他の三人は今年が最終学年だ。就職や卒論等で忙しくなる前に思い出作りをしようというのが今回の観光三昧となった理由の最たるもので。それを知ってか知らずか、丁度旅程の最後に入れていたオクトーバーフェスには早めに帰省を切り上げた高師も合流していたのだ。
1193「天高く馬肥ゆる秋、正に秋高気爽だな」
そう口にして笑う汐見の隣で空閑も釣られて笑みを浮かべていた。三年次を修了し、ようやくこの学院でも四年目の授業が始まる。
「それにしても、この休みも楽しかったね」
「だな」
空閑と汐見は揃って日本には帰らず、同じく帰省をしなかった篠原と共にフェルマーの家で世話になっていた。ドイツ国内だけではなく隣国まで足を伸ばし観光に勤しんだ日々を思い返した空閑は小さく笑う。
「途中で高師が合流したのには笑ったよな」
「意外と付き合いいいんだよね」
空閑達は後二年あるが、フェルマーを含めた他の三人は今年が最終学年だ。就職や卒論等で忙しくなる前に思い出作りをしようというのが今回の観光三昧となった理由の最たるもので。それを知ってか知らずか、丁度旅程の最後に入れていたオクトーバーフェスには早めに帰省を切り上げた高師も合流していたのだ。
はるもん🌸
MOURNINGイタズラ癖が一生治らない魏嬰。どこまで本気なのか「あついあつい」とパタパタと手で顔をあおぐ。
「魏嬰、整えなさい」
少しでも風通しがよくなるように胸をはだけさせていた。
それを藍忘機が咎める。ヘーイと魏無羨は適当に返事をした。
服を整えたのを確認し、藍忘機は本の続きに目を落とす。
涼しそうな彼がうらめしく、ちょっとイタズラしてやろうと魏無羨は考えた。
「あー喉がかわいたなぁ」
「水でいいか」
パタンと読んでいた本を閉じ、藍忘機は立ち上がる。
魏無羨も同じように立ち上がった。
「いや、水じゃだめだな。もっとこう…濃いやつがいい」
「果汁を持ってこよう」
「いーや駄目だ」
「何が良いんだ」
「これが…いいカナ」
魏無羨は膝立ちになり、ちょうど前にある藍忘機のソレを指でつついた。ようやく揶揄われている事に気づき、藍忘機は「君!」と声を上げる。
544「魏嬰、整えなさい」
少しでも風通しがよくなるように胸をはだけさせていた。
それを藍忘機が咎める。ヘーイと魏無羨は適当に返事をした。
服を整えたのを確認し、藍忘機は本の続きに目を落とす。
涼しそうな彼がうらめしく、ちょっとイタズラしてやろうと魏無羨は考えた。
「あー喉がかわいたなぁ」
「水でいいか」
パタンと読んでいた本を閉じ、藍忘機は立ち上がる。
魏無羨も同じように立ち上がった。
「いや、水じゃだめだな。もっとこう…濃いやつがいい」
「果汁を持ってこよう」
「いーや駄目だ」
「何が良いんだ」
「これが…いいカナ」
魏無羨は膝立ちになり、ちょうど前にある藍忘機のソレを指でつついた。ようやく揶揄われている事に気づき、藍忘機は「君!」と声を上げる。
はるもん🌸
MOURNING忘羨がセ・・・ッしてます。大人の方だけどうぞご覧くださいませ。実況魏嬰午前から、しとしとと雨が静かに降りだしていた。
濃厚な空気をはらんだ雲深不知処には多数の弟子がいるが、天気の機嫌が思わしくない時は人の通りは少なくなる。
そんな事で、きっと誰もこの近くを通らないと見越した魏無羨は彼を誘惑した。思惑は成功し、今まさに上を向き、立派に反りあがったソレを魏無羨は受け入れようとしていたところである。
「こんなところで、そんなところを固くさせちゃうなんて、お前もなかなかやるなぁ?」
「君のせい」
まさにそうなのだ。しばらく藍忘機は魏無羨が肌を露出させ、遊び始めた間出来うるだけ見ないよう努めて己を律していた。そうしていると、アンアンと一人であらぬところに指を入れ遊び始めてしまった。これを放置する事など、できなかったのである。
2284濃厚な空気をはらんだ雲深不知処には多数の弟子がいるが、天気の機嫌が思わしくない時は人の通りは少なくなる。
そんな事で、きっと誰もこの近くを通らないと見越した魏無羨は彼を誘惑した。思惑は成功し、今まさに上を向き、立派に反りあがったソレを魏無羨は受け入れようとしていたところである。
「こんなところで、そんなところを固くさせちゃうなんて、お前もなかなかやるなぁ?」
「君のせい」
まさにそうなのだ。しばらく藍忘機は魏無羨が肌を露出させ、遊び始めた間出来うるだけ見ないよう努めて己を律していた。そうしていると、アンアンと一人であらぬところに指を入れ遊び始めてしまった。これを放置する事など、できなかったのである。
狭山くん
TRAINING2022-08-06/空閑汐♂とフォスターで酒を飲む話。多分他の同期も近くでワイワイやってるんだろうけども。空閑汐♂デイリー【Memories】06「そういえば、お前らっていつから付き合ってんだ?」
「今更それ聞くのか」
すっかり常連になってしまった敷地内で営業をしているダイニングバーで、そう口火を切ったのはフォスターであった。生真面目な性質がどこか高師を思わせる――しかし意外とウィットに富んだところもあるフォスターの言葉に、汐見は呆れたような声色で首を傾げていた。
そんな汐見の隣でジンジャーエールを喉に流していた――同期達からビールを奪われ禁酒を発令されてしまった空閑は「高校の頃からだよ、二年の時だっけ?」と口にする。
「じゃぁ、もう五年の付き合いになるのか」
指折り数えて頷くフォスターに「そもそもヒロミとは一年の時から寮も同室だし、ここ入学するまで半年インターバルあったからな。実質七年くらい一緒にいるぞ」と汐見は注釈のように言葉を紡いだ。
1597「今更それ聞くのか」
すっかり常連になってしまった敷地内で営業をしているダイニングバーで、そう口火を切ったのはフォスターであった。生真面目な性質がどこか高師を思わせる――しかし意外とウィットに富んだところもあるフォスターの言葉に、汐見は呆れたような声色で首を傾げていた。
そんな汐見の隣でジンジャーエールを喉に流していた――同期達からビールを奪われ禁酒を発令されてしまった空閑は「高校の頃からだよ、二年の時だっけ?」と口にする。
「じゃぁ、もう五年の付き合いになるのか」
指折り数えて頷くフォスターに「そもそもヒロミとは一年の時から寮も同室だし、ここ入学するまで半年インターバルあったからな。実質七年くらい一緒にいるぞ」と汐見は注釈のように言葉を紡いだ。
狭山くん
TRAINING2022-08-04/そうだ!ドイツは飲酒可能年齢早いんだった!!!!!って突如気付いてやっと酒飲み話が解禁されました!酒タバコが手癖すぎる。空閑汐♂デイリー【Memories】04 カチンと軽い音を立ててガラスが触れ合う。そうして各々が己のグラスの中身を呷れば、そういえば。とフェルマーが声を上げた。
「五人でお酒飲むってはじめてじゃない?」
「そういやそうだな、俺らは同期と飲みに行く事もあるけど五人揃うのは初めてか」
ジョッキに満たされたビールを一息に半分飲み干した汐見が、フェルマーの言葉に同意する。
「ていうか、汐見お前相変わらず強いのな」
一気に半分に減らされたビールを見ながらちびりとジョッキに口を付ける篠原に指摘され「そうか?」と首を傾げれば、篠原は「俺のジョッキとの差を自覚しろ」と揶揄う調子で言葉を重ねた。
「あれっ? 浩介はアマネと飲んだことあるの?」
「あぁ、ホラ、ドイツはビールだと十六で解禁だろ。一年の冬季休暇でヴィンの所に泊まった時に三人でな」
1151「五人でお酒飲むってはじめてじゃない?」
「そういやそうだな、俺らは同期と飲みに行く事もあるけど五人揃うのは初めてか」
ジョッキに満たされたビールを一息に半分飲み干した汐見が、フェルマーの言葉に同意する。
「ていうか、汐見お前相変わらず強いのな」
一気に半分に減らされたビールを見ながらちびりとジョッキに口を付ける篠原に指摘され「そうか?」と首を傾げれば、篠原は「俺のジョッキとの差を自覚しろ」と揶揄う調子で言葉を重ねた。
「あれっ? 浩介はアマネと飲んだことあるの?」
「あぁ、ホラ、ドイツはビールだと十六で解禁だろ。一年の冬季休暇でヴィンの所に泊まった時に三人でな」
狭山くん
TRAINING2022-08-03/空閑汐♂デイリー8月分3本目!!学院2年目の空閑汐♂、以前書いたハッピーエンド空閑汐♂+シェルツちゃんネタを入れとかねばならぬと思った。
空閑汐♂デイリー【Memories】03「アマネ! この間女の子に熱烈な告白されたんだって?」
久々にご飯でも、と顔を合わせた瞬間に楽しそうにそう口にするのはフェルマーで。そんなフェルマーの第一声に汐見は肩を竦める。
「よく知ってるな、女の子って言っても本当に小さな子供だったからな。すぐに忘れるだろ」
「あれは本気の目だったよ、俺あの後ヴィンに泣きついたもん」
汐見の肩口から不満げに声を上げるのは空閑で。ズシリと体重を掛けられた汐見は、その重量には文句を言わず「出所はお前かよ」と呆れたように深いため息を一つ零した。
「空閑は相変わらずだな、クラスでもこんな感じなの?」
「入学したての頃にヒロミが牽制しまくったせいで、同期達から生暖かく見守られるようになった」
1079久々にご飯でも、と顔を合わせた瞬間に楽しそうにそう口にするのはフェルマーで。そんなフェルマーの第一声に汐見は肩を竦める。
「よく知ってるな、女の子って言っても本当に小さな子供だったからな。すぐに忘れるだろ」
「あれは本気の目だったよ、俺あの後ヴィンに泣きついたもん」
汐見の肩口から不満げに声を上げるのは空閑で。ズシリと体重を掛けられた汐見は、その重量には文句を言わず「出所はお前かよ」と呆れたように深いため息を一つ零した。
「空閑は相変わらずだな、クラスでもこんな感じなの?」
「入学したての頃にヒロミが牽制しまくったせいで、同期達から生暖かく見守られるようになった」
狭山くん
TRAINING2022-08-02/今日の空閑汐♂も和気あいあい。多分今日出てる4人が学院内メインでつるんでいくんだと思います(感想文)空閑汐♂デイリー【Memories】02 冬入学と呼ばれる秋口から始められた授業も、ようやく一年目の折り返しと共に春が訪れる。二十人しか居ない同期達の中にも連帯感が生まれ始めた頃、学生達の端末に配信された順位表に声を上げたのはリュカ・シャルパンティエで。
「うわ、シオお前また実技一位かよ」
げぇ、というわざとらしい声と共に投げられた言葉に「上位にならないと課外の飛行訓練参加できないだろ」と汐見は眉を寄せる。
「課外飛行したいってだけで上位掻っ攫ってくのヤバいだろ」
「アマネだからねぇ」
汐見とシャルパンティエのやりとりにのんびりと口を挟むのは空閑、そんな空閑に続くようにフォスターも頷いた。
「大胆かつ繊細な操縦はいつ見ても惚れ惚れするぞ、そろそろジェット練習機に移行するんじゃないか? 教官が扱き甲斐があると言っていたな」
938「うわ、シオお前また実技一位かよ」
げぇ、というわざとらしい声と共に投げられた言葉に「上位にならないと課外の飛行訓練参加できないだろ」と汐見は眉を寄せる。
「課外飛行したいってだけで上位掻っ攫ってくのヤバいだろ」
「アマネだからねぇ」
汐見とシャルパンティエのやりとりにのんびりと口を挟むのは空閑、そんな空閑に続くようにフォスターも頷いた。
「大胆かつ繊細な操縦はいつ見ても惚れ惚れするぞ、そろそろジェット練習機に移行するんじゃないか? 教官が扱き甲斐があると言っていたな」
狭山くん
TRAINING2022-08-01/空閑汐♂デイリーも3ヶ月目に突入!ここからは怒涛のハッピーエンドまで駆け足です。ハッピーエンドになる筈なんだ。空閑汐♂デイリー【Memories】01 視界に現れたスラリとした細い体躯を持つ青年に、エリアス・フォスターは眉を寄せる。線が細いアジア人と思しき青年は、彼よりも体格の良い青年と連れ立ってこの場所にやってきた。
航宙士学院の入学生に指定されたこの教室に居るという事は、厳しい選抜を潜り抜けたフォスターの同期である筈だ。しかしフォスターから見た細身の青年の姿は、とてもではないがストレートで入学していたフォスターと同い年かそれよりも年上だとは思えなかった。
「なぁ君……たち? 高等部と間違えてないか?」
隣接する本校に設置された高等部への留学生が迷ってしまったのだろうか、そして彼らは英語を聞き取れるのだろうかと思いながらも恐る恐る声を掛けたフォスターに細身の青年は呆れたように眉を寄せ、その隣の青年は面白そうにカラカラと笑う。
1320航宙士学院の入学生に指定されたこの教室に居るという事は、厳しい選抜を潜り抜けたフォスターの同期である筈だ。しかしフォスターから見た細身の青年の姿は、とてもではないがストレートで入学していたフォスターと同い年かそれよりも年上だとは思えなかった。
「なぁ君……たち? 高等部と間違えてないか?」
隣接する本校に設置された高等部への留学生が迷ってしまったのだろうか、そして彼らは英語を聞き取れるのだろうかと思いながらも恐る恐る声を掛けたフォスターに細身の青年は呆れたように眉を寄せ、その隣の青年は面白そうにカラカラと笑う。
狭山くん
TRAINING2022-07-31/空閑汐♂夏祭りは最終日!明日からは空閑汐♂デイリーは大学から40代までの空閑汐♂切り抜きダイジェストです!8月のデイリーもよろしくお願いします〜⸜(๑'ᵕ'๑)⸝文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day31 年に数度あるかどうかといった混雑に眉を寄せる汐見に、空閑は困ったように笑いながら「校舎からも見れるけど戻る?」と問いかける。
「良い、折角良い場所取れたんだから此処で見る」
「そ? まぁ、人混みに押し合いへし合いして見れずに帰るってのも本末転倒か」
「だろ?」
彼らが三年間と数ヶ月を過ごした学び舎に隣接する北部国際宇宙港。その屋上に作られた展望デッキのの柵にもたれながら、汐見は辟易とした表情を浮かべそんな彼を見つめる空閑は苦笑を隠さない。
この宇宙港で年に一度行われる夏祭り、一年の頃に一度来てその混雑っぷりにもみくちゃにされてから二年目と三年目は足を向けてはいなかった。
空閑はどちらでも良かったのだが、汐見が人混みを厭ったのだ。汐見が行かないのであれば、空閑も一人で行こうとは思えないと毎年果敢に宇宙港へと足を向けるフェルマー達を寮のロビーで送り出していた。
1115「良い、折角良い場所取れたんだから此処で見る」
「そ? まぁ、人混みに押し合いへし合いして見れずに帰るってのも本末転倒か」
「だろ?」
彼らが三年間と数ヶ月を過ごした学び舎に隣接する北部国際宇宙港。その屋上に作られた展望デッキのの柵にもたれながら、汐見は辟易とした表情を浮かべそんな彼を見つめる空閑は苦笑を隠さない。
この宇宙港で年に一度行われる夏祭り、一年の頃に一度来てその混雑っぷりにもみくちゃにされてから二年目と三年目は足を向けてはいなかった。
空閑はどちらでも良かったのだが、汐見が人混みを厭ったのだ。汐見が行かないのであれば、空閑も一人で行こうとは思えないと毎年果敢に宇宙港へと足を向けるフェルマー達を寮のロビーで送り出していた。
Stilet
PROGRESS闇勇者ボカロインスピレーションシリーズの進捗ですから腐向け(コルチカム/初代ダーク←デルフィニウム/神トラダーク)/学パロ/現パロ/死ネタ注意ですから
[2022/08/02]進捗を加筆しましたから 11903
狭山くん
TRAINING2022-07-30/夏の空閑汐♂祭りもあと2日となりました!そろそろ日本校ともお別れの時期ですね。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day30 掲示板に貼り出された知らせをまじまじと見つめていた汐見は、隣に立つ空閑へと視線を向ける。
「どうする」
「どうせならヴィン達と合わせたいよねぇ」
空閑の答えに頷いて、再び掲示板へと視線を向けた汐見は貼り出された用紙に指を滑らせた。そこに書かれていたのは、ドイツ本校の新入生受け入れ日程と直行便のスケジュールで。
「新学期は十月からでも、早めに行って生活に慣れておきたいよな」
「あと言葉ね、俺もアマネも英語は行けるけどドイツ語は微妙だし」
「ちゃんと学内に希望者向けの語学スクールあるし、それに向けて行く感じか」
手厚いな。感心したように笑う汐見に空閑も口元に弧を描き頷いて。そんな二人に明るく声を投げたのはフェルマーだった。
915「どうする」
「どうせならヴィン達と合わせたいよねぇ」
空閑の答えに頷いて、再び掲示板へと視線を向けた汐見は貼り出された用紙に指を滑らせた。そこに書かれていたのは、ドイツ本校の新入生受け入れ日程と直行便のスケジュールで。
「新学期は十月からでも、早めに行って生活に慣れておきたいよな」
「あと言葉ね、俺もアマネも英語は行けるけどドイツ語は微妙だし」
「ちゃんと学内に希望者向けの語学スクールあるし、それに向けて行く感じか」
手厚いな。感心したように笑う汐見に空閑も口元に弧を描き頷いて。そんな二人に明るく声を投げたのはフェルマーだった。
P_ika
MOURNING〜ネタバレ注意〜シャレードマニアクス真相ルートのネタバレあります
シャレマニ、メイちゃんとぎょぶそのBLが見たいけど、気持ちはヒロインに向いててほしいと友達と盛り上がった結果、BLドラマに出てもらいました。
隔離ルートです。
乙女ゲーなのにBLってことで、堂々とあげるわけにもいかず、ここで供養。
「お前だから」と言いたいのは『配信ステータス:三分後ドラマ開始
配信内容:「お前だから」第一話
ジャンル:恋愛ドラマ
キャスト:
サツキ・陀宰 メイ
ヒナタ・凝部 ソウタ』
アラート音に反応して、廃墟に集まった面々が一斉にバングルの方を見る。
「あれ?恋愛ドラマなのに、瀬名お姉ちゃんがいないよ?」
「あ、ほんとだ。女の子を取り合う話なのかな?」
タイトルとキャストしか見えていない廃寺と瀬名は、首を傾げた。
「いや、待て……うわ、まじか……」
「メイちゃん、なんでそんな嫌そうな……うげぇ……」
一方、当のキャストたちは台本を見て顔をしかめている。どんな台本なの、と瀬名が口を開きかけたところで二人の姿は消えてしまった。
「お兄ちゃんたち、頑張って〜」
2821配信内容:「お前だから」第一話
ジャンル:恋愛ドラマ
キャスト:
サツキ・陀宰 メイ
ヒナタ・凝部 ソウタ』
アラート音に反応して、廃墟に集まった面々が一斉にバングルの方を見る。
「あれ?恋愛ドラマなのに、瀬名お姉ちゃんがいないよ?」
「あ、ほんとだ。女の子を取り合う話なのかな?」
タイトルとキャストしか見えていない廃寺と瀬名は、首を傾げた。
「いや、待て……うわ、まじか……」
「メイちゃん、なんでそんな嫌そうな……うげぇ……」
一方、当のキャストたちは台本を見て顔をしかめている。どんな台本なの、と瀬名が口を開きかけたところで二人の姿は消えてしまった。
「お兄ちゃんたち、頑張って〜」
狭山くん
TRAINING2022-07-29/夏の空閑汐♂祭りもあと3日になりました!わぁん!揃えるというかお揃いというか揃えたという感じ。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day29 汐見の指先でくるりと回された白銀に声を上げたのはフェルマーだった。
「ねぇねぇ、それってさ。ヒロミとお揃い?」
くるくると回る白銀に輝くボールペンを指の中に納め、汐見は笑う。
「流石ヴィン、目敏いな」
旧式の練習機が収められた第三格納庫、その場に居るのはフェルマーと汐見だけで。日によって空閑や篠原、高師も足を踏み入れ今は飛び立つ事すら叶わない練習機の手入れをしている彼らは今日、それぞれに頼まれた仕事によって散り散りになっている。「そろそろ渡航するってのに、人遣い荒いよね」とは空閑の談だ。
フェルマーによる乱雑な文字に補足するように流麗な汐見の文字が書き足されたチェックシートをペン先でこつりと叩きながら「ヒロミの誕生日プレゼントに買ったんだけどな。俺も欲しかったから同じやつもう一本一緒に買ったんだ」
1079「ねぇねぇ、それってさ。ヒロミとお揃い?」
くるくると回る白銀に輝くボールペンを指の中に納め、汐見は笑う。
「流石ヴィン、目敏いな」
旧式の練習機が収められた第三格納庫、その場に居るのはフェルマーと汐見だけで。日によって空閑や篠原、高師も足を踏み入れ今は飛び立つ事すら叶わない練習機の手入れをしている彼らは今日、それぞれに頼まれた仕事によって散り散りになっている。「そろそろ渡航するってのに、人遣い荒いよね」とは空閑の談だ。
フェルマーによる乱雑な文字に補足するように流麗な汐見の文字が書き足されたチェックシートをペン先でこつりと叩きながら「ヒロミの誕生日プレゼントに買ったんだけどな。俺も欲しかったから同じやつもう一本一緒に買ったんだ」
狭山くん
TRAINING2022-07-28/夏の空閑汐♂祭りもそろそろ終盤!雪どけサイダーは普通に美味いです。何なら炭酸苦手な狭山くんが唯一気に入ってるサイダーでもある。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day28 冷え切ったガラス瓶には水滴が流れ、アルミ製のスクリューを回せば金属が離れるパキリという音と共に炭酸が空気へと溶ける爽やかな音が小さく響いた。
「雪どけサイダー?」
寮から職員宿舎に居を移してからは、広い部屋を充てがわれた空閑と汐見が暮らす部屋に集まることが多くなっていた。リビングとして使っている部屋でダイニングテーブルを囲みながら瓶を手にしたまま不思議そうに首を傾げた汐見に、篠原が頷く。「あぁ。俺この間ちょっと帰省したろ、その土産」と重ねられた篠原の言葉にふぅん、と汐見は頷いて。
「栂池って言ったら長野だよね。浩介って長野出身だったんだ?」
「お、よく知ってんな空閑。北アルプスのお膝元、ここに負けず劣らずの田舎だよ。しかも特別豪雪地帯」
1645「雪どけサイダー?」
寮から職員宿舎に居を移してからは、広い部屋を充てがわれた空閑と汐見が暮らす部屋に集まることが多くなっていた。リビングとして使っている部屋でダイニングテーブルを囲みながら瓶を手にしたまま不思議そうに首を傾げた汐見に、篠原が頷く。「あぁ。俺この間ちょっと帰省したろ、その土産」と重ねられた篠原の言葉にふぅん、と汐見は頷いて。
「栂池って言ったら長野だよね。浩介って長野出身だったんだ?」
「お、よく知ってんな空閑。北アルプスのお膝元、ここに負けず劣らずの田舎だよ。しかも特別豪雪地帯」
狭山くん
TRAINING2022-07-27/空閑汐♂夏祭りももう27日目ですって!水鉄砲でわいわいするハイティーンとか青春真っ盛りって感じですよね。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day27 赤い色水が真っ白なシャツを染める。赤色の飛沫模様を付けられた男が眉を寄せ銃口を相手へと向け――飛び出した青色の色水は飛び退いた男にかかる事なく、コンクリートを染めていった。
「くっそ!」
悔しげに声を漏らした篠原に、狙われた汐見はカラカラと楽しそうに笑う。互いの手に握られていたのは色水を入れた水鉄砲で、高校時代に使っていたジャージと体操着に身を包んだ五人の男たちは寮の中庭で水遊びを繰り広げていた。
審判は高師、空閑と篠原のペアと汐見とフェルマーのペアに別れたチーム戦。この組み分けはひとえに空閑と汐見が組めば篠原達が瞬殺されるだけ、といった予感によって決められた。
「アマネ最高!」
チームメイトとなったフェルマーの賞賛に得意げな笑みを浮かべて再び敵側へと水鉄砲の銃口を向けた汐見は、二発目の色水を篠原へと放つ。それにたたらを踏みながらもやっとの事で避けた篠原は、フェルマーへと青色のペイントを施した。
1547「くっそ!」
悔しげに声を漏らした篠原に、狙われた汐見はカラカラと楽しそうに笑う。互いの手に握られていたのは色水を入れた水鉄砲で、高校時代に使っていたジャージと体操着に身を包んだ五人の男たちは寮の中庭で水遊びを繰り広げていた。
審判は高師、空閑と篠原のペアと汐見とフェルマーのペアに別れたチーム戦。この組み分けはひとえに空閑と汐見が組めば篠原達が瞬殺されるだけ、といった予感によって決められた。
「アマネ最高!」
チームメイトとなったフェルマーの賞賛に得意げな笑みを浮かべて再び敵側へと水鉄砲の銃口を向けた汐見は、二発目の色水を篠原へと放つ。それにたたらを踏みながらもやっとの事で避けた篠原は、フェルマーへと青色のペイントを施した。
狭山くん
TRAINING2022-07-26/空閑汐♂の夏26日目!T-38格好いいよね……っていう私情しか入ってない話。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day26 眼前に現れたのは、白く艶やかな塗装が施された古いジェット機だった。外見だけは美しいその機体は、空を飛ぶ事ができない。尾翼には、アメリカ航空宇宙局のロゴがしっかりと描かれていた。
「綺麗……」
ほう、と感嘆のため息と共に呟くのはフェルマーで。その言葉に吉嗣は楽しげに「だろ?」と笑う。
「この学校が開校されたのと同時に寄贈されてな。宇宙飛行士も使ってたやつだぞ」
「ヴィンを連れて来たって事は、飛ばせるようにしたいって話すか」
「話が早くて助かる」
汐見の問いに大きく頷いた吉嗣に、フェルマーは小さく笑う。
「ボク、ロケットエンジンが専門なんですけど?」
「お前なら航空機のエンジンも頭に入ってるだろ」
艶やかな機体を撫でながら呆れたように笑うフェルマーへ、吉嗣はカラカラと笑いながら言葉を返して。
1087「綺麗……」
ほう、と感嘆のため息と共に呟くのはフェルマーで。その言葉に吉嗣は楽しげに「だろ?」と笑う。
「この学校が開校されたのと同時に寄贈されてな。宇宙飛行士も使ってたやつだぞ」
「ヴィンを連れて来たって事は、飛ばせるようにしたいって話すか」
「話が早くて助かる」
汐見の問いに大きく頷いた吉嗣に、フェルマーは小さく笑う。
「ボク、ロケットエンジンが専門なんですけど?」
「お前なら航空機のエンジンも頭に入ってるだろ」
艶やかな機体を撫でながら呆れたように笑うフェルマーへ、吉嗣はカラカラと笑いながら言葉を返して。
狭山くん
TRAINING2022-07-25/空閑汐♂の夏も25日目!狭山くんは小学生の頃に行った天文台で聞いた光が人によって見え方が違うって話を20年以上引きずって生きてます。エモエモのエモじゃん……って思うですよね。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day25 夜の滑走路は誘導灯が灯され、そこを目指してスペースプレーンが優雅に降り立っていく。全ての光が消えれば闇の中に沈むその場所は、煌々としたライトによって幻想的な光景が作り出されていた。
太陽の熱が落ち着いて、少し冷たい風が肌を撫でるような時刻。それでも昼間の暑さに辟易としていた汐見にとっては心地よい時間で。彼の隣に立つ空閑は薄手の長袖シャツを羽織っていたが、汐見は半袖のティーシャツのままだった。
「寒くないの?」
「これで丁度いいくらいだぞ。お前が寒がりなんだろ」
この場所で迎える夏も三回目になると言うのに、空閑は相変わらずだと汐見は笑う。よく冬を越せてたな、という感想と共に。
「アマネは暑がりだよね、昼間部屋にいる時パンイチなのはやめてほしい」
1099太陽の熱が落ち着いて、少し冷たい風が肌を撫でるような時刻。それでも昼間の暑さに辟易としていた汐見にとっては心地よい時間で。彼の隣に立つ空閑は薄手の長袖シャツを羽織っていたが、汐見は半袖のティーシャツのままだった。
「寒くないの?」
「これで丁度いいくらいだぞ。お前が寒がりなんだろ」
この場所で迎える夏も三回目になると言うのに、空閑は相変わらずだと汐見は笑う。よく冬を越せてたな、という感想と共に。
「アマネは暑がりだよね、昼間部屋にいる時パンイチなのはやめてほしい」
はるもん🌸
MOURNING藍湛も好きな子の前では普通の男の子なんだなって弟子が思ったとある日。藍湛の照れ「含光君はやっぱり凄いです!」
「私もいつか含光君のように!」
「無駄のない身のこなし、尊敬します!」
藍忘機はこのような賞賛を十代の頃から当たり前のように耳にしていた。今更誰に賞賛されようとも眉一つ動く事は無い。
今宵の教鞭は藍忘機が指導する事になった。
霊獣に襲われた時の基本的な対処を藍忘機から学び、明日魏無羨の霊獣退治指導の際にどう応用すべきかを実践で学ぶ予定となっている。御剣してこちらに向かってくる藍忘機に魏無羨が声を上げた。
「良い見本だったぞ含光君。あの剣の突きの鋭さと言ったらもう!しびれて立てなくなりそうだった!」
「言いすぎだ」
宙に浮いていた藍忘機は魏無羨の隣に降り立ち、避塵を鞘に納めた。
1105「私もいつか含光君のように!」
「無駄のない身のこなし、尊敬します!」
藍忘機はこのような賞賛を十代の頃から当たり前のように耳にしていた。今更誰に賞賛されようとも眉一つ動く事は無い。
今宵の教鞭は藍忘機が指導する事になった。
霊獣に襲われた時の基本的な対処を藍忘機から学び、明日魏無羨の霊獣退治指導の際にどう応用すべきかを実践で学ぶ予定となっている。御剣してこちらに向かってくる藍忘機に魏無羨が声を上げた。
「良い見本だったぞ含光君。あの剣の突きの鋭さと言ったらもう!しびれて立てなくなりそうだった!」
「言いすぎだ」
宙に浮いていた藍忘機は魏無羨の隣に降り立ち、避塵を鞘に納めた。
狭山くん
TRAINING2022-07-24/空閑汐♂夏祭りホラー回(???)汐見♂が叫ぶのって多分よっぽどの事が起きた時か怒ってるかベッドの中だけですよ……それはそれとして私はファースト・マンが割と好きです。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day24 照明を落とした部屋に設置されたスクリーンには映像が流れる。そして、部屋中に轟くような男の悲鳴が響いた。
「無駄な腹筋を使うな!」
「だって……!」
大声を放った男――空閑の頭を叩いた汐見は苛立たしげな声を上げる。そんな汐見の言葉に言い訳するように情けない声を出す空閑は汐見の腕にしがみ付いていて。
「ていうか、ヒロミってホラーダメだったんだ?」
「みたいだな」
「映画って言うからアクション系とかかと思ったのに……」
カラカラと笑うフェルマーの言葉に汐見が頷き空閑は項垂れる。汐見の腕にがっしりと巻き付けられた空閑の腕はギチリと力を増し、汐見は眉を寄せたがそのままにさせていた。
寮のシアタールームが借りれたから映画を見ようと言い出したのはフェルマーの誘いに乗ったのはいつもの顔ぶれで、シアタールームで機械を操作しながら「やっぱり夏にはジャパニーズホラーだよね!」と鼻歌混じりに口に出していたのに空閑が肩を震わせていたのは篠原も知っていた。しかしこれ程とは。
1180「無駄な腹筋を使うな!」
「だって……!」
大声を放った男――空閑の頭を叩いた汐見は苛立たしげな声を上げる。そんな汐見の言葉に言い訳するように情けない声を出す空閑は汐見の腕にしがみ付いていて。
「ていうか、ヒロミってホラーダメだったんだ?」
「みたいだな」
「映画って言うからアクション系とかかと思ったのに……」
カラカラと笑うフェルマーの言葉に汐見が頷き空閑は項垂れる。汐見の腕にがっしりと巻き付けられた空閑の腕はギチリと力を増し、汐見は眉を寄せたがそのままにさせていた。
寮のシアタールームが借りれたから映画を見ようと言い出したのはフェルマーの誘いに乗ったのはいつもの顔ぶれで、シアタールームで機械を操作しながら「やっぱり夏にはジャパニーズホラーだよね!」と鼻歌混じりに口に出していたのに空閑が肩を震わせていたのは篠原も知っていた。しかしこれ程とは。
狭山くん
TRAINING2022-07-23/空閑汐♂夏祭り23日目!空港に隣接するひまわり畑は実在するんですけど、私が行きたい。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day23「お、来た!」
「圧巻だな、三時間半かけた甲斐がある」
定刻通りに離陸する旅客機のランディングが迫る。三脚で固定したカメラのシャッターを幾度も切り続ける空閑を見ながら、汐見もコンパクトカメラでパシャリと一度シャッターを切った。頭上をボーイングが飛び去っていく。
ひまわり畑の向こうに離着陸するボーイングという、他ではあまり見られない光景を見に行こうと空閑に誘われるまま朝早くからバイクを走らせて三時間半。飛行機は勿論好きだが、汐見が暮らす場所では早い時間で朝六時から――夜だって十二時近くまでジェット機だけと言わずに訓練用のレシプロ機だって、何ならスペースプレーンまで飛び交っている。
その環境で飛行機を見に行こうと誘われればすぐそこにある宇宙港に行くと誰だって思うだろう、空閑の口から出てきたのは女満別空港という言葉であった。
1043「圧巻だな、三時間半かけた甲斐がある」
定刻通りに離陸する旅客機のランディングが迫る。三脚で固定したカメラのシャッターを幾度も切り続ける空閑を見ながら、汐見もコンパクトカメラでパシャリと一度シャッターを切った。頭上をボーイングが飛び去っていく。
ひまわり畑の向こうに離着陸するボーイングという、他ではあまり見られない光景を見に行こうと空閑に誘われるまま朝早くからバイクを走らせて三時間半。飛行機は勿論好きだが、汐見が暮らす場所では早い時間で朝六時から――夜だって十二時近くまでジェット機だけと言わずに訓練用のレシプロ機だって、何ならスペースプレーンまで飛び交っている。
その環境で飛行機を見に行こうと誘われればすぐそこにある宇宙港に行くと誰だって思うだろう、空閑の口から出てきたのは女満別空港という言葉であった。
にょ。
DONEレオ司レオがフィレンツェに行って戻ってくるまでの日常のお話し。ほのぼの系。
遠距離「つかさ。」
名前を呼ばれて振り返ると、ぎゅっと力強く愛しい人に抱きしめられた。
「レオさん?」
「おれ、明日からしばらくフィレンツェで仕事になったんだ。」
そう言った声は少し申し訳なさそうで、顔を覗き込む。
「随分と急ですね?次は半年後って言ってませんでしたっけ?」
「その予定だったんだけど、相手側がその時期忙しいみたいなんだよ。たぶん向こうに行ったら一月はいることになるだろうし…。」
初めから分かっていたことだが、こうして度々訪れる遠距離に寂しさが隠せない。
「そうなんですね…。」
「そんなに悲しい顔しないで?すぐに戻ってくるから。」
「わかっています…仕事ですし。でも、少し寂しいと思ってしまって。」
胸に顔を埋めると、優しく頭を撫でてくれる。これでは余計に寂しくなってしまうというのに、どうしても離れ難くて、撫でる手の心地良さに身を委ねてしまいそうになる。
2836名前を呼ばれて振り返ると、ぎゅっと力強く愛しい人に抱きしめられた。
「レオさん?」
「おれ、明日からしばらくフィレンツェで仕事になったんだ。」
そう言った声は少し申し訳なさそうで、顔を覗き込む。
「随分と急ですね?次は半年後って言ってませんでしたっけ?」
「その予定だったんだけど、相手側がその時期忙しいみたいなんだよ。たぶん向こうに行ったら一月はいることになるだろうし…。」
初めから分かっていたことだが、こうして度々訪れる遠距離に寂しさが隠せない。
「そうなんですね…。」
「そんなに悲しい顔しないで?すぐに戻ってくるから。」
「わかっています…仕事ですし。でも、少し寂しいと思ってしまって。」
胸に顔を埋めると、優しく頭を撫でてくれる。これでは余計に寂しくなってしまうというのに、どうしても離れ難くて、撫でる手の心地良さに身を委ねてしまいそうになる。
狭山くん
TRAINING2022-07-22/四六時中一緒にいるからメッセージのやり取りが新鮮なのっていいよね。SETIの話書きたかったけど上手くいかなかった結果。文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day22 大学部に併設された図書館にひっそりと存在する閲覧室。自習室とは違い1人掛けのソファと申し訳程度のようなテーブルが並べられたその部屋は、いつ来ても人影も疎で穴場のような場所だった。
汐見以外の誰も居ないその部屋を独り占めしながら、手元にあるタブレットをするりと撫でる。そこに表示されているのは一世紀半前、まだ人類が地球の周りを回る事しかしていなかった時代のエッセイを電子化したもので。オールドシャトル計画に参加した日本人の配偶者が記した軽快な筆致のエッセイは、とうの昔に紙の本としては絶版になっていて――古典ライブラリとして無料公開されている中から汐見が見つけ出したものだった。
自身の携帯端末にダウンロードしても良いのだが、シンプルなものを好む汐見の持つ端末は画面も小さいもので。メールのやり取り程度であれば苦ではない程度の大きさではあるが、長文を読むのであればタブレットの方が読みやすい。
1135汐見以外の誰も居ないその部屋を独り占めしながら、手元にあるタブレットをするりと撫でる。そこに表示されているのは一世紀半前、まだ人類が地球の周りを回る事しかしていなかった時代のエッセイを電子化したもので。オールドシャトル計画に参加した日本人の配偶者が記した軽快な筆致のエッセイは、とうの昔に紙の本としては絶版になっていて――古典ライブラリとして無料公開されている中から汐見が見つけ出したものだった。
自身の携帯端末にダウンロードしても良いのだが、シンプルなものを好む汐見の持つ端末は画面も小さいもので。メールのやり取り程度であれば苦ではない程度の大きさではあるが、長文を読むのであればタブレットの方が読みやすい。