kusare_meganeki
DOODLE夜の診療所で踊るナタンポのSSです。ナタンポ「サンポ、君って踊れるのかしら?」
唐突の質問だった。医療器具を整理していたサンポは、思わずその手を止める。なんて?と聞き返せば、ナターシャはそっくりそのまま、同じ言葉を2度言った。
もうみんな寝静まった夜、診療所でのことだった。
「……なぜ急にそんなことを?」
「特に意味はないわ。ただの話題としての質問」
マスク越しにそう言って、ナターシャは同じように医療器具を整理し始める。ゴム手袋越しに掴まれたメスが、明かりに照らされ鈍く光る。
「まぁ……踊れますけど。でもジャンルによりますよ」
「社交ダンスは?」
「あー……。一応はってところです。あまり自信はないですよ」
「そうなの」
最後の一本を置いて、ナターシャはゴム手袋を外した。マスクも取り、ふぅと息を吐いた後で、サンポに右手を差し出す。その意図が理解出来ず、ただ見つめるだけのサンポにほら、と促した。
1895唐突の質問だった。医療器具を整理していたサンポは、思わずその手を止める。なんて?と聞き返せば、ナターシャはそっくりそのまま、同じ言葉を2度言った。
もうみんな寝静まった夜、診療所でのことだった。
「……なぜ急にそんなことを?」
「特に意味はないわ。ただの話題としての質問」
マスク越しにそう言って、ナターシャは同じように医療器具を整理し始める。ゴム手袋越しに掴まれたメスが、明かりに照らされ鈍く光る。
「まぁ……踊れますけど。でもジャンルによりますよ」
「社交ダンスは?」
「あー……。一応はってところです。あまり自信はないですよ」
「そうなの」
最後の一本を置いて、ナターシャはゴム手袋を外した。マスクも取り、ふぅと息を吐いた後で、サンポに右手を差し出す。その意図が理解出来ず、ただ見つめるだけのサンポにほら、と促した。
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DOODLE嘔吐ネタです。苦手な方は読まないでね。ナタンポサンポが青い顔をしながら、診療所を訪れたのは今まさに鍵を閉めようというタイミングだった。苦しそうな呼吸を繰り返しながら、しかし目元を腫らしている。その状況だけでは何が起きたか分からず、とりあえずナターシャは表からではなく、裏口から入るようにサンポに言った。
「いやその……なんというか、上手く吐けなくて」
裏口から続く、診療所奥の部屋。ぐったりと地面に座るサンポは、しどろもどろに言葉を並べた末、その結論を作り出した。冷や汗が首元に浮かんでいる。目元が赤いのは、吐こうとする際に滲む涙を拭いたからだと理解した。
「何か、無理やり吐かないといけないことでも?」
「ちょっと、胃の中にあんま良くないもの入っちゃったんで…」
1808「いやその……なんというか、上手く吐けなくて」
裏口から続く、診療所奥の部屋。ぐったりと地面に座るサンポは、しどろもどろに言葉を並べた末、その結論を作り出した。冷や汗が首元に浮かんでいる。目元が赤いのは、吐こうとする際に滲む涙を拭いたからだと理解した。
「何か、無理やり吐かないといけないことでも?」
「ちょっと、胃の中にあんま良くないもの入っちゃったんで…」
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DOODLEナタとの約束を守るンポの話ナタンポ───約束、と言っても君が守るかは知らないけど。約束しましょう、サンポ。怪我をしたり、病気になったら必ずここに来ること。借りは全部ツケにしてあげるから、いいわね?
ナターシャの言葉を、なぜ今思い出したのかサンポにもよく分からない。ただ、ぼうっとする頭でフラフラと歩いた先にあったのは診療所だった。
深夜だ、喧騒に塗れたボルダータウンも今は眠りについている。それは診療所も例外ではなく、扉には鍵が掛かっていた。ズルズルと、壁にもたれこんで座る。確か、彼女と初めて出会った時も同じような状態だった。死にかけていたサンポは下層部に逃げ込み、診療所の前で行き倒れていた。今思えば、なかなかに刺激的な出会い方だったろう。
2488ナターシャの言葉を、なぜ今思い出したのかサンポにもよく分からない。ただ、ぼうっとする頭でフラフラと歩いた先にあったのは診療所だった。
深夜だ、喧騒に塗れたボルダータウンも今は眠りについている。それは診療所も例外ではなく、扉には鍵が掛かっていた。ズルズルと、壁にもたれこんで座る。確か、彼女と初めて出会った時も同じような状態だった。死にかけていたサンポは下層部に逃げ込み、診療所の前で行き倒れていた。今思えば、なかなかに刺激的な出会い方だったろう。
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DOODLEナタとンポと子供とクズの浮浪者のまじ短いSSナタンポナターシャの診療所まで来て、扉前で聞こえてきたのは怒声だった。ナターシャのものでは無い、男のものだ。耳を澄ませば、中で言い争っている様だった。
扉を少し開け、中を覗き見る。男二人が、誰かに詰め寄っている。恐らくはナターシャだろう。子供たちが不安そうにその様子を眺めており、そのうち1人の少女と目があった。人差し指を口に当て、ジェスチャーすると彼女は何度も頷く。
(浮浪者達か……全く、おバカさんなことで)
治療費の踏み倒しか、もしくは薬を寄越せと詰め寄っているのか───どちらにせよ、やはりバカだと思わざるを得ない。
「……ああっと!!」
置いていた箱を持ち上げ、わざと扉にぶつかる振りをしてそれらを診療所内にぶちまける。中身は割れる心配のないものだ。男たちの視線が一気にサンポに向いて、その奥でナターシャが目を丸くしている。
2588扉を少し開け、中を覗き見る。男二人が、誰かに詰め寄っている。恐らくはナターシャだろう。子供たちが不安そうにその様子を眺めており、そのうち1人の少女と目があった。人差し指を口に当て、ジェスチャーすると彼女は何度も頷く。
(浮浪者達か……全く、おバカさんなことで)
治療費の踏み倒しか、もしくは薬を寄越せと詰め寄っているのか───どちらにせよ、やはりバカだと思わざるを得ない。
「……ああっと!!」
置いていた箱を持ち上げ、わざと扉にぶつかる振りをしてそれらを診療所内にぶちまける。中身は割れる心配のないものだ。男たちの視線が一気にサンポに向いて、その奥でナターシャが目を丸くしている。
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DOODLE座薬の話とかしてるナタンポ「はぁい、今日の納品分です」
「お疲れ様、ありがとう」
置かれた木箱。サンポは大きく伸びをして、息を吐き肩を回す。それを横目に、ナターシャは早速検品を始めた。
診療所内は、珍しく人がいない。みんな出払っているようだった。
「……あの後はよく眠れてる?」
「まぁ、夢は見なくなりました。いつも通りね」
そう言って納品書を机の上に置いて、サンポは壁に背をつけた。ナターシャの検品が終わるのを大人しく待っている。
「怪我もしてませんし、いい子でしょ」
「それが普通なのよ。医者に頼らない生活が1番だわ。……嘘つきは、いい子では無いけどね。サンポ?」
「あははぁ、なんのことでしょう?」
「そこに座って、服を脱いで。背中を見せなさい」
2783「お疲れ様、ありがとう」
置かれた木箱。サンポは大きく伸びをして、息を吐き肩を回す。それを横目に、ナターシャは早速検品を始めた。
診療所内は、珍しく人がいない。みんな出払っているようだった。
「……あの後はよく眠れてる?」
「まぁ、夢は見なくなりました。いつも通りね」
そう言って納品書を机の上に置いて、サンポは壁に背をつけた。ナターシャの検品が終わるのを大人しく待っている。
「怪我もしてませんし、いい子でしょ」
「それが普通なのよ。医者に頼らない生活が1番だわ。……嘘つきは、いい子では無いけどね。サンポ?」
「あははぁ、なんのことでしょう?」
「そこに座って、服を脱いで。背中を見せなさい」
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DOODLE以前キャプチャで上げたナタンポ没ネタをある程度形にしたものです悪夢ネタのナタンポ珍しく、サンポが眠そうにしていた。いつもぱっちりと開いた瞼は、どこか重そうで、ゆらゆらと視線をさ迷わせている。
治療中なら、いつも喧しい口も今日ばかりは静かだった。時折、欠伸を噛み締めている。
「眠れなかったの?」
傷口に消毒液を塗り込みながら、ナターシャはサンポに問いかけた。それを聞いた彼は、質問を理解するのに数秒使い、ようやく返答を口にする。
「いえ……なんというか、そうですね。寝てません」
「言い淀んだわね。理由があるのね、サンポ?」
「……まぁ」
「今更あなたが何をしてようが驚かないわ、言ってみて」
まさか、背丈が高く体格もいいというのに、女装で複数の男を誑かし、ベロブルグの経済を傾かせただけではなく、カツラ禁止令という聞いたこともない法律すら作らせた男だ。言葉通り、今更何をしていようが驚かない。
4556治療中なら、いつも喧しい口も今日ばかりは静かだった。時折、欠伸を噛み締めている。
「眠れなかったの?」
傷口に消毒液を塗り込みながら、ナターシャはサンポに問いかけた。それを聞いた彼は、質問を理解するのに数秒使い、ようやく返答を口にする。
「いえ……なんというか、そうですね。寝てません」
「言い淀んだわね。理由があるのね、サンポ?」
「……まぁ」
「今更あなたが何をしてようが驚かないわ、言ってみて」
まさか、背丈が高く体格もいいというのに、女装で複数の男を誑かし、ベロブルグの経済を傾かせただけではなく、カツラ禁止令という聞いたこともない法律すら作らせた男だ。言葉通り、今更何をしていようが驚かない。