パラサウロロフス
MEMO前「なぜ、そうも私をお厭いになる」
忍術学園の天井からぬっと顔を付き出したタソガレドキ忍軍組頭の雑渡昆奈門が、一年は組の実技担当山田伝蔵にそう言った。
なぜ、と聞かれても明白であろう。逆さまの昆奈門の顔に気圧された伝蔵が一歩後退ってため息をついた。昆奈門が伝蔵に手合わせを願いに来るのはこれが初めてではない。半助が無事戻ってきてから、暇を見つけてはこうやって忍術学園に忍んでくるのである。今まですべて断ってきたが、その理由は学園外の勢力に自分の能力をさらす理由も忍の指南をつけてやる義務もなにもないからである。
「私が、ご子息二人のお命を狙ったからでしょうか」
悲しそうな顔をつくって、昆奈門が尋ねる。昆奈門は、しかし、と言葉を続けて伝蔵の前に音もなく天井から降り立つと、
1461忍術学園の天井からぬっと顔を付き出したタソガレドキ忍軍組頭の雑渡昆奈門が、一年は組の実技担当山田伝蔵にそう言った。
なぜ、と聞かれても明白であろう。逆さまの昆奈門の顔に気圧された伝蔵が一歩後退ってため息をついた。昆奈門が伝蔵に手合わせを願いに来るのはこれが初めてではない。半助が無事戻ってきてから、暇を見つけてはこうやって忍術学園に忍んでくるのである。今まですべて断ってきたが、その理由は学園外の勢力に自分の能力をさらす理由も忍の指南をつけてやる義務もなにもないからである。
「私が、ご子息二人のお命を狙ったからでしょうか」
悲しそうな顔をつくって、昆奈門が尋ねる。昆奈門は、しかし、と言葉を続けて伝蔵の前に音もなく天井から降り立つと、
パラサウロロフス
MAIKING 雑渡昆奈門は失礼する、と低く告げて、文机に向かう山田伝蔵の膝に頭を滑り込ませた。
「始まりましたかな?」
「ええ」
諸泉尊昆奈門と土井半助の果し合いは、あの一件があってから、タソガレドキ忍軍の立ち会いのもと忍術学園で行われることになった。立ち会いには誰が行っても良かったが、任務の具合を考えると、自然と昆奈門がついて行く事になるのであった。
最初は昆奈門も戦忍びであった伝蔵に手合わせを申し込んでいたが、最近はそれも諦めた。伝蔵と話すだけでも楽しかったからである。果し合いをする半助の代わりに伝蔵が追試の答案の丸付けをしたり、補習授業のプリントを作成しているので、それを邪魔すれば半助が仕事を理由に尊奈門の果し合いを受けてくれなくなるだろう。いつしか伝蔵との逢瀬を心地よいものに感じていた昆奈門は、そう考えて手合わせを申し込むのをやめたのである。
1578「始まりましたかな?」
「ええ」
諸泉尊昆奈門と土井半助の果し合いは、あの一件があってから、タソガレドキ忍軍の立ち会いのもと忍術学園で行われることになった。立ち会いには誰が行っても良かったが、任務の具合を考えると、自然と昆奈門がついて行く事になるのであった。
最初は昆奈門も戦忍びであった伝蔵に手合わせを申し込んでいたが、最近はそれも諦めた。伝蔵と話すだけでも楽しかったからである。果し合いをする半助の代わりに伝蔵が追試の答案の丸付けをしたり、補習授業のプリントを作成しているので、それを邪魔すれば半助が仕事を理由に尊奈門の果し合いを受けてくれなくなるだろう。いつしか伝蔵との逢瀬を心地よいものに感じていた昆奈門は、そう考えて手合わせを申し込むのをやめたのである。