mtk1600
PROGRESS5月ミラフェスサンプル「春風を君に」A5/38ページ/全年齢/400円(会場価格)
みのりさんと恭二が出会ってアイドルになるまで。付き合うまでの2人、前編。カップリング要素は薄いですが、みの恭と同じ生産ラインで作られていますので、敏感な方はお気をつけください。
※完成稿とちょっとトーンの感じ違います。 19
komaki_etc
DOODLEみの恭、リクエスト蝶よ花よ「憧れで蝶が殺せるかって話だよ」
驚いて隣を見ると、きらきらとした瞳はそのままに、みのりさんは微笑んだ。
「他人だからいいんだよ。アイドルって」
俺はまた彼の知らない一面を見てしまい、なんと表現したらいいのかわからない動揺を飲み込んで、机の上のコーラを見る。グラスが汗をかいている。パーティだもんね、これはパーティだよ、と言いながら注いだ彼は口をつけていない。
ピエールを見送って、そのままいつものようにコンビニに行き、いつものように俺の家に来たみのりさんは、今日はいいものがあるんだよとライブBlu-rayを取り出した。俺は作詞作業の続きをするもんだと思ってたからノートを取り出していたけれど、大人しく引き下がることにする。みのりさんがいなければ、こういう勉強は自分から出来ない。「ここだけでいいから」という部分まで慣れた手つきで飛ばされ、「ここだけ見て」と強調してきたその画面の向こうのアイドルはたおやかに笑っていて、アイドルが「偶像」に振られるルビだということを思い出す。作り上げられた神のようだ、と思った。
2318驚いて隣を見ると、きらきらとした瞳はそのままに、みのりさんは微笑んだ。
「他人だからいいんだよ。アイドルって」
俺はまた彼の知らない一面を見てしまい、なんと表現したらいいのかわからない動揺を飲み込んで、机の上のコーラを見る。グラスが汗をかいている。パーティだもんね、これはパーティだよ、と言いながら注いだ彼は口をつけていない。
ピエールを見送って、そのままいつものようにコンビニに行き、いつものように俺の家に来たみのりさんは、今日はいいものがあるんだよとライブBlu-rayを取り出した。俺は作詞作業の続きをするもんだと思ってたからノートを取り出していたけれど、大人しく引き下がることにする。みのりさんがいなければ、こういう勉強は自分から出来ない。「ここだけでいいから」という部分まで慣れた手つきで飛ばされ、「ここだけ見て」と強調してきたその画面の向こうのアイドルはたおやかに笑っていて、アイドルが「偶像」に振られるルビだということを思い出す。作り上げられた神のようだ、と思った。
kuttenete326
DONEみの恭がくっつく前のはなしキューピットは目の前にいる「恭二、みのり、好き?」
事務所のソファで新作家電のパンフレットを眺めていると、向かい側に座ったピエールが無邪気な笑顔で聞いてきた。みのりは、単独の仕事でここにはいない。二つ返事で返すには、その言葉はちょっと重いと恭二は思う。
「ん?あぁ、好きだよ」
「ボクもみのり、好き!」
少し間が空いてしまったが、ピエールは満足気ににこにことしているし、違和感のない返しだったはずだ。きっとピエールが聞いている「好き」は、仲間として、友達としての「好き」だと思う。けれど、そうではない「好き」を抱えている恭二には気軽に口に出せる言葉ではなかった。
「みのり、恭二、好き?」
事務所で恭二の合流待ちをしていたみのりとピエールは、ソファに隣合って座っていた。ピエールの無邪気な質問にみのりは微笑ましいなと思いながら「好きだよ」と笑顔で返した。この気持ちに偽りはない。友人として、仲間として、みのりは恭二を好意的に見ている。
1590事務所のソファで新作家電のパンフレットを眺めていると、向かい側に座ったピエールが無邪気な笑顔で聞いてきた。みのりは、単独の仕事でここにはいない。二つ返事で返すには、その言葉はちょっと重いと恭二は思う。
「ん?あぁ、好きだよ」
「ボクもみのり、好き!」
少し間が空いてしまったが、ピエールは満足気ににこにことしているし、違和感のない返しだったはずだ。きっとピエールが聞いている「好き」は、仲間として、友達としての「好き」だと思う。けれど、そうではない「好き」を抱えている恭二には気軽に口に出せる言葉ではなかった。
「みのり、恭二、好き?」
事務所で恭二の合流待ちをしていたみのりとピエールは、ソファに隣合って座っていた。ピエールの無邪気な質問にみのりは微笑ましいなと思いながら「好きだよ」と笑顔で返した。この気持ちに偽りはない。友人として、仲間として、みのりは恭二を好意的に見ている。
kuttenete326
DONE風邪ひいたみの恭のはなし手を繋ぐ 風邪をひいたので来るなと言われた。熱を出して寝込んでいる俺の恋人は、病院帰りに買い込んだし、一人暮らしも長いから慣れてる。それに俺にうつしてしまったらその後の仕事に迷惑になると反論の余地もなく、来てはいけないと締めくくった。仕事のことを言われたら何も言い返せなかった。
事務所のソファでスマホの画面を見ながら恭二は、むぅと唇を尖らせる。わかってはいるけど、もう少し頼りにしてほしいと常々思うが、年の離れた恋人に隙はなかったのだ。
「きょーーじ!」
突然降ってきた声に驚いて顔を上げる。立ったまま少しかがんで恭二の顔を覗き込む咲の姿があった。
「水嶋か」
「浮かない顔してどうしたの?」
咲は手にしていた箱をテーブルに置くと恭二の隣に座って様子を伺っている。恭二は、ため息をついてからみのりが寝込んでいることと見舞いに来るなと言われたことを伝えると大袈裟なくらいに声を上げた。
2026事務所のソファでスマホの画面を見ながら恭二は、むぅと唇を尖らせる。わかってはいるけど、もう少し頼りにしてほしいと常々思うが、年の離れた恋人に隙はなかったのだ。
「きょーーじ!」
突然降ってきた声に驚いて顔を上げる。立ったまま少しかがんで恭二の顔を覗き込む咲の姿があった。
「水嶋か」
「浮かない顔してどうしたの?」
咲は手にしていた箱をテーブルに置くと恭二の隣に座って様子を伺っている。恭二は、ため息をついてからみのりが寝込んでいることと見舞いに来るなと言われたことを伝えると大袈裟なくらいに声を上げた。