浬-かいり-
DOODLEかのみさ勇気がないなら 何度ライブの回数を重ねても、直前の緊張感にはやっぱり慣れることがなくて、いつも心臓がドキドキしてしまう。
こころちゃんやはぐみちゃん、薫さんの三人はそんな緊張感さえも楽しい“ドキドキ”に変わってしまうようで、先程からはしゃいでいる。
私は鏡の前で着替えたステージ衣装の最終チェックを行うと、そっと控室から出て行った。
向かう先は、美咲ちゃんの控室。彼女はもう、ミッシェルに着替えているだろうか。
「美咲ちゃん、準備できた?」
ドアをノックして呼ぶが、返事は無い。
首を傾げてから一言断りを入れて、ゆっくりとドアを開けた。
「失礼します……?」
控室の中に入っても反応はない。けどその理由はすぐに分かった。
2709こころちゃんやはぐみちゃん、薫さんの三人はそんな緊張感さえも楽しい“ドキドキ”に変わってしまうようで、先程からはしゃいでいる。
私は鏡の前で着替えたステージ衣装の最終チェックを行うと、そっと控室から出て行った。
向かう先は、美咲ちゃんの控室。彼女はもう、ミッシェルに着替えているだろうか。
「美咲ちゃん、準備できた?」
ドアをノックして呼ぶが、返事は無い。
首を傾げてから一言断りを入れて、ゆっくりとドアを開けた。
「失礼します……?」
控室の中に入っても反応はない。けどその理由はすぐに分かった。
浬-かいり-
DOODLEかのみさ花弁は愛の証 “それ”に最初に気付いたのは、花音のクラスメイトであり親友でもある白鷺千聖であった。
5限目の体育に備え更衣室で着替えていた彼女は、同じく隣で制服を脱ぐ花音が視界に入った時に、それに気付いてしまった。
それは、花音の首筋にある痕であった。
鬱血痕のようなピンク色のそれは、白い肌の中だとよく目立って見えた。
「花音、首のそれ、」
思わず指摘してから、しまったと千聖は後悔した。
虫刺されにしては時期が早過ぎるそれだったが、なんならいっそ虫刺されと言い張ってくれた方が平和に終わると。それか寧ろ、何を指摘されたのか気付かずにいて欲しいと。自分で聞いておいて、そんな願望めいた思いを花音に向けた。
「……ああ、これ?」
21425限目の体育に備え更衣室で着替えていた彼女は、同じく隣で制服を脱ぐ花音が視界に入った時に、それに気付いてしまった。
それは、花音の首筋にある痕であった。
鬱血痕のようなピンク色のそれは、白い肌の中だとよく目立って見えた。
「花音、首のそれ、」
思わず指摘してから、しまったと千聖は後悔した。
虫刺されにしては時期が早過ぎるそれだったが、なんならいっそ虫刺されと言い張ってくれた方が平和に終わると。それか寧ろ、何を指摘されたのか気付かずにいて欲しいと。自分で聞いておいて、そんな願望めいた思いを花音に向けた。
「……ああ、これ?」
浬-かいり-
DOODLEかのみさ本当はもう終わりにしたい チャペルの中は静まり返っていて、パイプオルガンの音が厳かな雰囲気を作り上げる。
カメラマンが構えるカメラも、スマホを構える参列したゲストも、みんなが入り口の大きな扉に注目していた。
扉が開く。一斉に押されるシャッターの音が鬱陶しい。
一歩、一歩。新婦が歩んでくる。一番通路側の席からは、新婦の顔がよく見えた。
「かのちゃん先輩!みーくん、すっごく綺麗だね」
隣のはぐみちゃんが耳打ちしてくる。
美咲ちゃん。
真っ白なドレスを纏う彼女の顔は緊張していて、恥ずかしそうで、でも幸せそうだった。
慣れないドレスに慎重に歩いてくる美咲ちゃんが、私の目の前の通路にやって来る。
距離にして1メートルにも満たない。手を伸ばせば、その手を掴むのは容易だった。
867カメラマンが構えるカメラも、スマホを構える参列したゲストも、みんなが入り口の大きな扉に注目していた。
扉が開く。一斉に押されるシャッターの音が鬱陶しい。
一歩、一歩。新婦が歩んでくる。一番通路側の席からは、新婦の顔がよく見えた。
「かのちゃん先輩!みーくん、すっごく綺麗だね」
隣のはぐみちゃんが耳打ちしてくる。
美咲ちゃん。
真っ白なドレスを纏う彼女の顔は緊張していて、恥ずかしそうで、でも幸せそうだった。
慣れないドレスに慎重に歩いてくる美咲ちゃんが、私の目の前の通路にやって来る。
距離にして1メートルにも満たない。手を伸ばせば、その手を掴むのは容易だった。