勇気がないなら 何度ライブの回数を重ねても、直前の緊張感にはやっぱり慣れることがなくて、いつも心臓がドキドキしてしまう。
こころちゃんやはぐみちゃん、薫さんの三人はそんな緊張感さえも楽しい“ドキドキ”に変わってしまうようで、先程からはしゃいでいる。
私は鏡の前で着替えたステージ衣装の最終チェックを行うと、そっと控室から出て行った。
向かう先は、美咲ちゃんの控室。彼女はもう、ミッシェルに着替えているだろうか。
「美咲ちゃん、準備できた?」
ドアをノックして呼ぶが、返事は無い。
首を傾げてから一言断りを入れて、ゆっくりとドアを開けた。
「失礼します……?」
控室の中に入っても反応はない。けどその理由はすぐに分かった。
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