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    浬-かいり-

    @Kairi_HLSY

    ガルパ⇒ハロハピの愛され末っ子な奥沢が好き。奥沢右固定。主食はかおみさ。
    プロセカ⇒今のところみずえなだけの予定。

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    浬-かいり-

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    かのみさ

    #ガルパ
    galpa
    #かのみさ
    emperor
    #みさかのん

    本当はもう終わりにしたい  チャペルの中は静まり返っていて、パイプオルガンの音が厳かな雰囲気を作り上げる。
     カメラマンが構えるカメラも、スマホを構える参列したゲストも、みんなが入り口の大きな扉に注目していた。

     扉が開く。一斉に押されるシャッターの音が鬱陶しい。
     一歩、一歩。新婦が歩んでくる。一番通路側の席からは、新婦の顔がよく見えた。


    「かのちゃん先輩!みーくん、すっごく綺麗だね」


     隣のはぐみちゃんが耳打ちしてくる。


     美咲ちゃん。
     真っ白なドレスを纏う彼女の顔は緊張していて、恥ずかしそうで、でも幸せそうだった。
     慣れないドレスに慎重に歩いてくる美咲ちゃんが、私の目の前の通路にやって来る。
     距離にして1メートルにも満たない。手を伸ばせば、その手を掴むのは容易だった。


    (掴んだら、どんな顔をするかな)


     驚くかな。それとも幻滅するかな。
     それでもそうしなかったのは、目が合った美咲ちゃんが、気恥ずかしそうに微笑んだから。
     隣のはぐみちゃん、更に奥に居たこころちゃんと薫さんが嬉しそうに手を振る。

     私も手を振ったけれど、上手く笑えていただろうか。




     通路の先で待つ真っ白なタキシードを着た男性の顔は、何故か私にはちゃんと見えない。紹介もしてもらった筈なのに、ちゃんと思い出せない。

     高校の時から彼女のことが好きだった。
     けれど同性ということから勇気が出せないで、結局私の気持ちを伝えることは無かった。でもこの想いは募っていくばかりで、消えてなんかくれなくて。


     どうして隣にいるのが私じゃないの。
     これから美咲ちゃんの隣で、私よりたくさんの時間を過ごして、私じゃ知り得ない美咲ちゃんを見れる彼が嫉ましくて仕方なくて。


    (ごめんね美咲ちゃん、だいすきだよ)


     こんなこと思う資格、私にはないのに。
     それでも私は、貴女のことが好きで好きで、欲しくて堪らない。



     新郎が新婦のヴェールを外す。肩に手を添える。
     二人のキスが見たくなくて、私は誰にもバレないようにそっと目を伏せた。
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