ミヤシロ
DONE77話予告から思いつきました。時系列的には「一歩ずつ前に」の後のお話です。今まで書いた中でいちばんBL要素を含みます。クロムの匂いってどんな匂いなんだ…!?
※高層マンションの描写は私的設定です。
今週金曜エクスとクロムが再会しますね。どんな展開になるのか楽しみです!
木漏れ日に顔を埋めて クロムはシエルを自宅に上げた直後、強く抱きしめた。
青年の腕に成長途中の少年の体が包まれる。抱擁し少年の髪に顔を埋め数秒、クロムは腕の力はそのままに“はっ”と我に返った。
目を瞬かせ状況を鑑みれば腕の中でシエルが固まっている。緊張のあまり体を強張らせる少年は、密着した青年の胸に自身の速い鼓動を伝えていた。
「あの……、クロムさん……」
蚊の鳴くような声で名を呼ぶ少年にクロムは目を見開く。
(オレは……何をしてるんだ?)
彼は何故己が少年を抱いているのか、自分でもわからず頭を真っ白にする。この場面に至るまでの記憶が一瞬飛んだ、その事実に気づいた彼はシエルと同様、全身を硬直させた。
話は数時間前に遡る。龍宮クロムは午前の仕事を終え、昼食を買いに駒刃寿司に立ち寄った。
9600青年の腕に成長途中の少年の体が包まれる。抱擁し少年の髪に顔を埋め数秒、クロムは腕の力はそのままに“はっ”と我に返った。
目を瞬かせ状況を鑑みれば腕の中でシエルが固まっている。緊張のあまり体を強張らせる少年は、密着した青年の胸に自身の速い鼓動を伝えていた。
「あの……、クロムさん……」
蚊の鳴くような声で名を呼ぶ少年にクロムは目を見開く。
(オレは……何をしてるんだ?)
彼は何故己が少年を抱いているのか、自分でもわからず頭を真っ白にする。この場面に至るまでの記憶が一瞬飛んだ、その事実に気づいた彼はシエルと同様、全身を硬直させた。
話は数時間前に遡る。龍宮クロムは午前の仕事を終え、昼食を買いに駒刃寿司に立ち寄った。
ミヤシロ
DONE頂上決戦から一ヶ月後、クロムがペンドラゴンに居る世界のお話です。アニメでも髪飾りを再びつけましたので、こちらでも髪飾りにまつわるお話を書きました。
※作中にある「ペンホルダーの石の色は五種類」という記述は私的設定です。
新たなペンドラゴンが平和であってほしいです(切実)
一歩ずつ前に 龍宮クロムの復帰後第一戦となるタイトルマッチは、彼の圧勝をもって終わった。
頂上決戦でのバトルから一ヶ月後、彼は無事ペンドラゴンに復帰した。卒倒の際体を強打した彼は幸い後遺症もなく、休養を経てコンディションを元に戻す。彼が空白期間を置くきっかけたる決戦での振る舞いは放送事故とも呼べるものだったが、人の記憶はあっという間に薄れるもので一ヶ月後には誰も問題にしなかった。彼はチャンピオンチームのリーダーとして多忙な毎日を送っている。もっともマネージャーも専務も少しはあの日を気にしていて、スケジューリングには細心の注意を払っていた。
――クロム選手、チームクリタシアズに三連勝! 流石チャンピオン、圧倒的な実力を見せつけた!
10985頂上決戦でのバトルから一ヶ月後、彼は無事ペンドラゴンに復帰した。卒倒の際体を強打した彼は幸い後遺症もなく、休養を経てコンディションを元に戻す。彼が空白期間を置くきっかけたる決戦での振る舞いは放送事故とも呼べるものだったが、人の記憶はあっという間に薄れるもので一ヶ月後には誰も問題にしなかった。彼はチャンピオンチームのリーダーとして多忙な毎日を送っている。もっともマネージャーも専務も少しはあの日を気にしていて、スケジューリングには細心の注意を払っていた。
――クロム選手、チームクリタシアズに三連勝! 流石チャンピオン、圧倒的な実力を見せつけた!
ミヤシロ
DONE72話がしんどいので幸せなシエルを書きました。私の精神を救うためにSSをアップ。桜ネタのクロシエです。
桜の下の約束 満開の桜の並木道に、突如強風が吹き荒れた。
「クロムさん!」
通行人が二人以外誰も居ない早朝、クロムとシエルが二人並んで歩いている中での出来事だ。薄っすらと蒼い空の下を薄紅の桜が咲き誇る満開の下、突風は勢いよくクロムを包み込んだ。桜の花びらの渦が青年の姿を、まるで掻き消すように覆い隠す。シエルは眼前の光景に目を見開き、弾かれたように身を乗り出した。
嫌だ。
行かないで。
居なくならないで。
胸を高速でよぎった衝動に従い、シエルはクロムの腕を掴む。桜吹雪に囚われた想い人を捉え、彼はクロムを渦の中から引っ張りだした。勢い余ってつんのめったクロムの胸板にシエルの額が衝突する。青年の鍛え上げられた胸筋は硬く、正面からぶつかればそれ相応の威力があった。
1666「クロムさん!」
通行人が二人以外誰も居ない早朝、クロムとシエルが二人並んで歩いている中での出来事だ。薄っすらと蒼い空の下を薄紅の桜が咲き誇る満開の下、突風は勢いよくクロムを包み込んだ。桜の花びらの渦が青年の姿を、まるで掻き消すように覆い隠す。シエルは眼前の光景に目を見開き、弾かれたように身を乗り出した。
嫌だ。
行かないで。
居なくならないで。
胸を高速でよぎった衝動に従い、シエルはクロムの腕を掴む。桜吹雪に囚われた想い人を捉え、彼はクロムを渦の中から引っ張りだした。勢い余ってつんのめったクロムの胸板にシエルの額が衝突する。青年の鍛え上げられた胸筋は硬く、正面からぶつかればそれ相応の威力があった。
ミヤシロ
DONEクロシエでホワイトデーSS。今日は72話の放送日。シエルがどうなるかわかりませんが、せめて二次創作の世界だけでも二人が穏やかに過ごしてほしいものです。
ずっと一緒に バレンタインデーのお返しがどちらも同じ菓子と判明して、クロムとシエルは同時に愕然とした。
((かぶった……))
この日は3月14日、ホワイトデーだ。一ヶ月前のバレンタインデーのお礼として菓子を渡す習慣は、やはり日本の商業主義によって世間に浸透した。チョコレートが定番の先月と違いホワイトデーで購入する菓子は多種多様だ。キャンディだったりマカロンだったり。二人は菓子を差し出し直後絶句する。シエルがクロム宅を訪問し眩い笑顔と共に見せたのは、クロムが大切な人の訪れに合わせて示したのは――どちらもバームクーヘンだった。
誰もが知る有名なメーカーのロゴが、菓子箱を入れた紙袋に書かれている。ロゴを見ただけで中身がバームクーヘンと察した二人は、特にシエルは己のチョイスを強く呪った。
1344((かぶった……))
この日は3月14日、ホワイトデーだ。一ヶ月前のバレンタインデーのお礼として菓子を渡す習慣は、やはり日本の商業主義によって世間に浸透した。チョコレートが定番の先月と違いホワイトデーで購入する菓子は多種多様だ。キャンディだったりマカロンだったり。二人は菓子を差し出し直後絶句する。シエルがクロム宅を訪問し眩い笑顔と共に見せたのは、クロムが大切な人の訪れに合わせて示したのは――どちらもバームクーヘンだった。
誰もが知る有名なメーカーのロゴが、菓子箱を入れた紙袋に書かれている。ロゴを見ただけで中身がバームクーヘンと察した二人は、特にシエルは己のチョイスを強く呪った。