ないぐ
PASTBLAZBLUE ハザマ×ジン アンソロジー「煉獄氷夜」寄稿小説。2016年2月発行SWEET MEMORIES ~美味しい記憶~(ハザジン)「キサラギ少佐!」
涼やかな声に呼び止められ、ジンは扉に手をかけたまま足を止めて振り向いた。大量の贈り物が所狭しと置かれたせいで何時もより雑然とした執務室の中、赤い髪の秘書官が、慌てたように自分の席を立って小走りに駆け寄って来る。
「あ、あの。すみません、お帰りのところを…。なかなかお渡しするタイミングが見つからなくて。これ、お誕生日プレゼントなんですけど、良かったらジン兄様にって…」
言葉を捜しながらおずおずと差し出された紙袋を、ジンは温度の無い緑の瞳で見下ろした。袋の口から、華やかにラッピングされたプレゼントの包みが覗いている。有名な高級菓子店のロゴには見覚えがあった。毎年、妹分であり現在は己の秘書でもある目の前の少女、ツバキが、誕生日に贈って寄越すチョコレートだろう。
12781涼やかな声に呼び止められ、ジンは扉に手をかけたまま足を止めて振り向いた。大量の贈り物が所狭しと置かれたせいで何時もより雑然とした執務室の中、赤い髪の秘書官が、慌てたように自分の席を立って小走りに駆け寄って来る。
「あ、あの。すみません、お帰りのところを…。なかなかお渡しするタイミングが見つからなくて。これ、お誕生日プレゼントなんですけど、良かったらジン兄様にって…」
言葉を捜しながらおずおずと差し出された紙袋を、ジンは温度の無い緑の瞳で見下ろした。袋の口から、華やかにラッピングされたプレゼントの包みが覗いている。有名な高級菓子店のロゴには見覚えがあった。毎年、妹分であり現在は己の秘書でもある目の前の少女、ツバキが、誕生日に贈って寄越すチョコレートだろう。
ないぐ
PASTBLAZBLUE ハザマ×ジン 2016年2月開催ジン受オンリーイベント「煉獄氷夜」にて発行した無料配布ペーパーの小話です。ペーパー用小話(ハザジン)「キセキって、どんな確率から『奇跡』って言うんでしょう?」
「はぁ?」
ぶっきらぼうに差し出されたチョコレートを前にして、真顔でそんな返事を返してきた相手に、ジンは思わず眉をひそめた。何を言っているんだコイツは。胡乱な視線を投げかければ、いつもニコニコ、うさんくさいまでに笑みを絶やさないハザマがひどく真剣な顔で見返してくる。表情の消えた顔には、常に纏っているゆるい雰囲気など何処にも無い。長めの前髪に隠れがちな金色の瞳が刃物のように鋭く輝き、整った顔立ちと相まって、いっそ人外じみた凄みを感じる。コイツこんな顔してたのか、とジンは内心でやや引き気味に息を呑んだ。気の弱い某金髪の秘書なんかが見れば、涙目で逃げ出しそうなご面相である。
1008「はぁ?」
ぶっきらぼうに差し出されたチョコレートを前にして、真顔でそんな返事を返してきた相手に、ジンは思わず眉をひそめた。何を言っているんだコイツは。胡乱な視線を投げかければ、いつもニコニコ、うさんくさいまでに笑みを絶やさないハザマがひどく真剣な顔で見返してくる。表情の消えた顔には、常に纏っているゆるい雰囲気など何処にも無い。長めの前髪に隠れがちな金色の瞳が刃物のように鋭く輝き、整った顔立ちと相まって、いっそ人外じみた凄みを感じる。コイツこんな顔してたのか、とジンは内心でやや引き気味に息を呑んだ。気の弱い某金髪の秘書なんかが見れば、涙目で逃げ出しそうなご面相である。