そらの
DONEそこそこあぶ空1210展示マヴェフェニ
どうか生き急がないで
速さとは反比例に風が鋭く体を打つ。言葉のまままるで風を切るようにマーヴェリックはバイクを駆る。そのバックシートでマーヴェリックの背にしがみついているのはフェニックスだ。彼とタンデムする時はいつも必死だ。速度超過なんて言葉ですまないくらいのスピードで彼は行く。さすがに目的地に着く頃になるとそれは収まるがそれでも早い。到着するといつも、少し疲れている。ぷは、と息を吐きながらヘルメットをとるなりフェニックスは言った。
「貴方何に乗ってもスピードを出しますよね」
「そうかな?」
「そうですよ。戦闘機に乗ってもバイクに乗っても」
それと最新鋭機でも。彼がマッハ10に挑んで成功したことを、秘密だと言いながらもルースターが教えてくれた。そしてその後機体が空中分解したことも。それにはさすがにフェニックスも驚いた。よく生還できたものだと。生還していなければ今という時間もなかったことを思えば心底良かったと思った。
822「貴方何に乗ってもスピードを出しますよね」
「そうかな?」
「そうですよ。戦闘機に乗ってもバイクに乗っても」
それと最新鋭機でも。彼がマッハ10に挑んで成功したことを、秘密だと言いながらもルースターが教えてくれた。そしてその後機体が空中分解したことも。それにはさすがにフェニックスも驚いた。よく生還できたものだと。生還していなければ今という時間もなかったことを思えば心底良かったと思った。
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今日はどうしても帰りたくない
たとえ陽が落ちても陽が傾きかけていく。もう少しで薄暗くなるだろう。そしてそろそろこの場を去らなければならないのをフェニックスは残念に思っていた。いつも半ば押しかけ気味にここを訪れているが、マーヴェリックはいつも快く受け入れてくれた。それが嬉しくて、次もまた、と欲張るのだ。昼間よりも涼しい風が吹く。それがまた今日の別れを急かしているようで小憎たらしく思った。
「……そろそろ」
「帰るのかい?」
そういうマーヴェリックの顔も残念そうに見えるのは、そう思いたいだけだからだろうか。フェニックスは尚更帰りたくなくなった。押しかけるとはいえ、その機会はそうそう多くは無い。日が登りかけ、日が落ちる前までのその時しかいられない場合がほとんどだ。陽は完全に落ちかけ暗くなりつつある。自分を置いて勝手に沈んでいく太陽を、フェニックスは憎んだ。
887「……そろそろ」
「帰るのかい?」
そういうマーヴェリックの顔も残念そうに見えるのは、そう思いたいだけだからだろうか。フェニックスは尚更帰りたくなくなった。押しかけるとはいえ、その機会はそうそう多くは無い。日が登りかけ、日が落ちる前までのその時しかいられない場合がほとんどだ。陽は完全に落ちかけ暗くなりつつある。自分を置いて勝手に沈んでいく太陽を、フェニックスは憎んだ。
そらの
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呼ぶのならいつだって、
あなたが呼ぶのなら貴方が呼ぶのならいつでも会いに行く。それがただの気まぐれで本心ではなかったとしても。それほどまでするくらいには、私は彼を愛していると言える。見返りは望まない。好きでやることだから。だからどうか、そんな寂しそうな、悲しそうな顔をしないでほしい。
「こんにちは」
「よくきたね」
「あなたが呼んだんでしょう」
「あぁ、そうだったね」
多少なりと予定はあったがプライベートのことだったので捨ておいた。私からもよく訪れるが、呼ばれるとなると少し訳が違う。そんな時の彼は、疲れていたり、落ち込んでいたりする時が多かったからだ。もちろん、何も無い時がないわけではない。むしろそちらの方が多いが、メッセージの文面から察することができるので、そんな時はすぐに駆けつけるように、している。
2373「こんにちは」
「よくきたね」
「あなたが呼んだんでしょう」
「あぁ、そうだったね」
多少なりと予定はあったがプライベートのことだったので捨ておいた。私からもよく訪れるが、呼ばれるとなると少し訳が違う。そんな時の彼は、疲れていたり、落ち込んでいたりする時が多かったからだ。もちろん、何も無い時がないわけではない。むしろそちらの方が多いが、メッセージの文面から察することができるので、そんな時はすぐに駆けつけるように、している。
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離れても、暖かい
暖かい冬冬が来た。寒くて静かな、冬が。フェニックスは別段冬が嫌いでも、けれど好きでもなかった。ただ寒い日が続く。それだけだった。自分のバックシーターは寒がりなようで、早々に厚着をし、マフラーも手袋もつけているのをよく見かけた。何もそこまで、とは思ったが得手不得手には個人差があるので何も言わない。マーヴェリックはどうだろうか。一人ずつが二人になって初めての冬だった。今度彼の元へ赴く時に、聞いてみようとフェニックスは思った。
どんよりとした薄曇り、寒さはいっそう強まっていた。フェニックスはマーヴェリックの元を訪れた。なんだかんだと身体があかず、最後に会ったのは秋の終わりだった。そろそろ寒くなってくるね、と話していたのを覚えている。夏は得意だ、と言っていたマーヴェリックの冬は、どんなものなのだろう。
1535どんよりとした薄曇り、寒さはいっそう強まっていた。フェニックスはマーヴェリックの元を訪れた。なんだかんだと身体があかず、最後に会ったのは秋の終わりだった。そろそろ寒くなってくるね、と話していたのを覚えている。夏は得意だ、と言っていたマーヴェリックの冬は、どんなものなのだろう。
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どうしてもそこに目が……
(フェニの胸がでかいといいという妄想の元の話です……)
そこ。今日のマーヴェリックはなんかよそよそしい。自分は何かしただろうか、とフェニックスは考え込むがそのような理由は思いつかなかった。
「ピート、なんで今日はよそよそしいんです?都合が悪いなら帰りますけど」
「そんなことはないよ。帰らないでくれ」
「……目を逸らしてますね。言いたいことでもあるんですか」
今日は朝からマーヴェリックはフェニックスの目を見ていない。少し上を見上げてどこか違うところを見ているようだ。やはりなにか都合が悪いようだ。
「やっぱり帰りますね」
こんな状態では真面目に話もできないだろう。誰だってそういう時はある。それはマーヴェリックにも。だからまぁ、タイミングが悪かったとフェニックスは思い、荷物を抱えて格納庫を後にしようとする。
3194「ピート、なんで今日はよそよそしいんです?都合が悪いなら帰りますけど」
「そんなことはないよ。帰らないでくれ」
「……目を逸らしてますね。言いたいことでもあるんですか」
今日は朝からマーヴェリックはフェニックスの目を見ていない。少し上を見上げてどこか違うところを見ているようだ。やはりなにか都合が悪いようだ。
「やっぱり帰りますね」
こんな状態では真面目に話もできないだろう。誰だってそういう時はある。それはマーヴェリックにも。だからまぁ、タイミングが悪かったとフェニックスは思い、荷物を抱えて格納庫を後にしようとする。