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    そらの

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    そらの

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    そこそこあぶ空1210展示
    マヴェフェニ
    どうしてもそこに目が……
    (フェニの胸がでかいといいという妄想の元の話です……)

    #TGM
    #マヴェフェニ
    mavefeni

    そこ。今日のマーヴェリックはなんかよそよそしい。自分は何かしただろうか、とフェニックスは考え込むがそのような理由は思いつかなかった。

    「ピート、なんで今日はよそよそしいんです?都合が悪いなら帰りますけど」

    「そんなことはないよ。帰らないでくれ」
    
    「……目を逸らしてますね。言いたいことでもあるんですか」

    今日は朝からマーヴェリックはフェニックスの目を見ていない。少し上を見上げてどこか違うところを見ているようだ。やはりなにか都合が悪いようだ。

    「やっぱり帰りますね」

    こんな状態では真面目に話もできないだろう。誰だってそういう時はある。それはマーヴェリックにも。だからまぁ、タイミングが悪かったとフェニックスは思い、荷物を抱えて格納庫を後にしようとする。

    「違うんだ、だから居てくれ」

    「でも貴方今まともじゃないでしょう」

    「それはその……」

    言いにくそうにマーヴェリックがいう。最初こそ目を合わせたが、また逸らした。マーヴェリックは一体何が気になるのだろう。今のフェニックスは言ってくれなければ分からないと思った。

    「あの」

    「はい、なんでしょう」

    「その、あんまりTシャツ1枚でウロウロするのは……」

    切り出されたのは何らおかしいことでもなかったがマーヴェリックの歯切れが悪い。指摘されたことも別に問題があるはずもないことでやっぱりフェニックスにはなんの事だかさっぱりだった。

    「なんかおかしいですか?みんなしてますよね?迷惑だったりします?」

    「いや全然!そんなことは無いけど……」

    フェニックスにはますます、意味がわからなかった。Tシャツ一枚の何が悪いのか。ルースターだってそうだし相方のボブだってそうだ。なんなら二人ともTシャツばかり着用している。何らおかしいことはないように思えるのだが。

    「じゃあなんでです?」

    理由がわからないことにはこちらとて対処しようがない。嫌ならもちろんやめるがそうではなさそうであった。フェニックスの頭は謎だらけ。マーヴェリックにもう一度問いただすと

    「……ブラッドに聞いてくれ」

    とだけ言って押し黙ってしまった。



    「ハイ、ブラッドショー」

    「よぉ、フェニックス?なんか用か」

    フェニックスはこの前のことをかいつまんでルースターに聞かせた。ルースターの顔がだんだんと渋い顔になっていった。やはり、本当はダメな事だったろうか。

    「で、なにがいけないのかしら」

    さっぱり分からなくて、とフェニックスは困った顔でルースターを見るがルースターもまたなんと言えない顔をしていた。

    「マーヴ、ひでぇな。自分じゃ言えないからって俺に……」

    「……そんなに悪いことなの?」

    マーヴェリックは何も言わなかったがやはり悪いことだったのか、とフェニックスは思った。なら回りくどいことをせずに直接言ってくれればいいものを。後で連絡を入れておこう、と心にメモをしておく。

    「いや、その、悪いことじゃない全く全然」

    「そうなの?じゃあなに?」

    純粋なフェニックスのその質問にルースターはあーだとかうーだとか唸るだけで何も言い出そうとはしない。ルースターでもこれならしょうがない、もういい、と告げてそこを後にしようとした時、わかった、言うから!とルースターが引き止めた。

    「その、な?教えるけどセクハラとは言わないでくれよ」

    セクハラ?そんなことになるなんて、ルースターとしてはありえないと思っているけどなぜセクハラ?ルースターがするとしたらボブにだろう。ここにはいないが。

    「うん、よくわからないけどわかった」

    「……お前、胸デカイんだよ。Tシャツ1枚だと強調されるからマーヴには目に毒なんだろ」

    「……そうなの?」

    「多分な……」

    そうなのか、とフェニックスは自分のことなのに他人事のように受け取った。そもそも自分の胸の大きさを他の女士官と比べたことなどない。あと身近にいるルースターもボブもハングマンたちも気にしてる素振りはなかった。気にしてたらぶん殴っていたが。だからよく分からなかった。でも、マーヴェリックには気になることだったのだろう。これからは服装に気をつけよう。

    「でもなんであんたに聞けって言ったのかしら」

    「自分じゃ言いたくないのと俺がお前を性的な目で見ないから」

    「なるほど。確かにそうね。……ボブに聞いたらなんて言ったかしら」

    フェニックスが何気なく言うとルースターがむせた。一体何なの、と視線を向ければルースターは苦い顔をしていた。

    「やめてくれ。あいつは何も言えないぞ多分」

    「そう?まぁいいわ。じゃあTシャツじゃなきゃいいのかしら?」

    「まぁ、ぴったりしたやつじゃなければいいんじゃないか」

    解決案はこれくらいだろうとフェニックスが言えば、まぁそのくらいしか出来ないだろうよ、と答えが返ってきた。ルースターは投げやりだった。何故育ての親同然の人物と同僚のそれに巻き込まれなければいけないのかと。自分もボブのことでフェニックスに世話になっているのに自分のことを棚にあげている。その時フェニックスも投げやりだが。

    「って言ってもねぇ。楽なのに……」

    「マーヴが目を合わせてくれなくてもいいって言うのなら今のままでもいいと思う」

    「それはちょっと……」

    フェニックスは誰とでも目を見て話すタイプだった。目を見ればなんとなくでも感情がわかる。特にマーヴェリックとは目を見て話したい。そうすれば何を考えているのか、察することが出来てその後の行動が取りやすい。だが目をそらされるとそもそも怪しむことしか出来ない。それでは何も分からない。いつまでもそのままだったら少し、困る。

    「なら考えろ」

    「わかった」



    休暇が取れた別の日、またフェニックスはマーヴェリックの元を訪れた。Tシャツはやめて、上から下まで特にくびれのないワンピースを選んだ。出る前に鏡の前でくるりと回って確認しても特におかしいところはなかった。胸も別段強調されたものではなかったので、これならいいだろうと思ってのチョイスだった。

    「こんにちは、ピート」

    「いらっしゃい、ナター、シャ」

    マーヴェリックの挨拶は1度途切れ、フェニックスはまた訝しむ。今度は何がおかしいだろうか。自分が珍しくもワンピースなど来ているからか?確かにワンピースなどあまり着るタイプでは無い。けれど手持ちにあるくらいには着用することもある。それとも似合わない?それならしょうがないけれど。

    「……Tシャツじゃないですよ?」

    「ダメだ……君はどんな格好してもダメだ。……かわいい」

    帰ってきた答えはフェニックスには到底分からないことであった。可愛い?そんなこと言われたことは無い。気の強さも相まって尚更言われたことは無い。フェニックスにとってはあまりに突飛だったのでもう訳が分からない。

    「可愛いって貴方、目、大丈夫ですか?」

    「誓って大丈夫だよ。君は自分の魅力をわかってない」

    魅力ってなんだ。またよく分からない事を言われて困惑する。魅力?そんなもの自分にはないと思うのだが。思わずマーヴェリックの視力を疑ってしまうくらいにはおかしいと思った。

    「……いやそりゃわかりませんよ」

    自分のことでもわかることと分からないことがある。ちゃんと言われなければ分からない。じゃあ一体どうすれば?と問うことしかできない。正直に具体的なことを教えてくれ、と問えば、また。

    「……ブラッドに聞いてくれ」



    「……って言われたんだけど、なんで?」

    「……惚気話なら他所でやってくれ俺に聞くな」

    なんでまた自分に聞くんだ、そして聞かせるんだとルースターが頭を抱えるほどには二人の関係は良好なようだ。
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    そらの

    DONEいきなりあぶ空2023展示
    立ち上る紫煙の元を探ってふと、時折匂う、苦味のある香り。それはすれ違った時だったり、隣にいる時だったり、抱き合ったりした時に密かに感じられるものだった。それが何か、解らぬほどボブは子供ではなかった。
    自分にだって覚えはある。一丁前に大人になったと浮き足立った時、つい手を出したものだった。自分には合わずただただ苦しんだだけだったけれど。
    一時だったけれど覚えのあるそれが、時折、ブラッドリーから香るのだ。独特の苦味のある香り───煙草のそれ───が。本人がそれに気づいているのか、それは知らない。言わずにいるだけなのか、言わないつもりでいるのかも、知らない。
    ボブはそれを不思議に思っていた。もう長いと言えるほど生活を共にしているのに、けれどその姿を見た事は一度もない。どこでもだ。ただ感じるのはその匂いだけで、でもその確たる証拠はどこにもなかった。もしかしたら匂い移りしただけかもしれないとも思うが触れるその手からも香るそれがそうとは言わせてくれない。不思議に思うだけで不快に思うことは無いのだから言ってくれればいいのに、とボブは思う。我慢させていたとしたらなんだか申し訳ない。ブラッドリーがボブを自由にさせるように、ボブもブラッドリーの行動を制限したくないのだ。
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    related works

    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/お題「いい子」「悪い子」
    たまらんくらい最高のお題だったのでどちらも使いました
    帰り支度 思えばブラッドリーは、僕の知る限りずっといい子だった。
     大人の助けが必要なほど幼い頃から、ブラッドリーは他者を助けることに躊躇いがなかった。家の中では着替えを手伝ってもらっていた子が、外では道端でひっくり返った虫を草木がある場所まで戻してやり、公園では転んだ子に駆け寄り、大丈夫かと声をかけた。小さい頃は家族や僕以外には少し内気だった坊やは、転んで落ち込んだその子を控えめな態度で誘い、一緒に遊んで回った。そのうちその子は坊やの友達になり、名前と住所を教え合った。
     学校に通い始めてからも、ブラッドリーは何も変わらなかった。忙しいキャロルに代わって保護者面談に出席すると、先生からは驚くほどよく坊やを褒められた。「クラスメイト同士の喧嘩を止めて、仲直りまでさせたんですよ」また、意地悪されている子がいれば常に一緒に行動し、いじめっ子にも怯むことはなかったという。優しくて強い心を持ち、それを家族や僕以外にも分け与えられる子。先生の話を聞きながら、僕は誇らしさで胸がいっぱいだった。僕が坊やを育てたわけでもないのに、すぐにでも彼をハグしたくてたまらなかった。帰宅してキャロルに報告する間、僕の隣で話を聞いていたブラッドリーは嬉しそうに小さな鼻を膨らませていた。褒められるためにしているわけではなかっただろうが、それでも大人2人に口々に讃えられることは、彼にとっても大きな喜びだったろうと思う。
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    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「歌声」
    わかりづらいですが、段落ごとに時間が進んでます。本当にわかりづらいです。反省してます。
    Sing for me 幸せだと感じる時、聞こえてくるのはいつも彼の歌声だった。
     ブラッドリーは歌が上手い。ピアノも弾ける。彼の父親もそうだった。二人揃って音楽の才能があった。だけどそれをブラッドリーに伝えると、彼はこう答えた。「俺が親父と違うのは、俺はマーヴを惹きつけるために歌ってるってこと。俺の歌声はマーヴのためにあるの」だから同じにしないで、と彼は笑った。

     繋ぎっぱなしのビデオ通話で、かつて僕たちは会話もせず黙って時間を過ごした。ブラッドリーは料理をして、僕は洗濯物を片付けて。お互い画面なんてあまり見ていなかったと思う。自分が映っているかどうかも気にしていなかった。ただ画面上で繋がってさえいれば、二人の時差も距離も忘れてしまった。時々思い出したように画面を見ると、ブラッドリーはナイフや缶切りを持ったまま、同じタイミングで僕の様子を確認しに来る。そして安心したように微笑み、また画面の前から消える。それを何度か繰り返していると、そのうち彼の歌声が聞こえてくる。
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