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    そらの

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    そこそこあぶ空1210展示
    マヴェフェニ
    今日はどうしても帰りたくない

    #TGM
    #マヴェフェニ
    mavefeni

    たとえ陽が落ちても陽が傾きかけていく。もう少しで薄暗くなるだろう。そしてそろそろこの場を去らなければならないのをフェニックスは残念に思っていた。いつも半ば押しかけ気味にここを訪れているが、マーヴェリックはいつも快く受け入れてくれた。それが嬉しくて、次もまた、と欲張るのだ。昼間よりも涼しい風が吹く。それがまた今日の別れを急かしているようで小憎たらしく思った。

    「……そろそろ」

    「帰るのかい?」

    そういうマーヴェリックの顔も残念そうに見えるのは、そう思いたいだけだからだろうか。フェニックスは尚更帰りたくなくなった。押しかけるとはいえ、その機会はそうそう多くは無い。日が登りかけ、日が落ちる前までのその時しかいられない場合がほとんどだ。陽は完全に落ちかけ暗くなりつつある。自分を置いて勝手に沈んでいく太陽を、フェニックスは憎んだ。

    「えぇ」

    「泊まっていけばいいのに」

    「それは無理でしょう。明日の朝じゃ間に合いません」

    「これで送ってくよ?」

    なんなら迎えに行くのもいい、そう言ってマーヴェリックが親指で指したのはマスタング。確かにそれだとここへ訪れるのも早いだろうし、戻るのも間に合うとは思う。でもそれをしたらまたマーヴェリックがペナルティを負う。それこそ無理だとフェニックスは笑った。

    「そこまでしなくても大丈夫ですよ」

    「そうかい?残念だ」

    「本当にそう思ってます?」

    それはフェニックスの心からの疑問であった。マーヴェリックはよく残念だ、と言うがそれは本心なのか、いつも迷うのだ。どうとればいいのかと。

    「思っているよ。……何も君だけが会いたいと思ってるわけじゃない。僕だって同じだよ」

    「……え」

    「だから、もう少し」

    気づいた時にはフェニックスはマーヴェリックの腕の中にいた。彼の心音が聞こえ、体温が伝わる。それがとても心地よく、安心できた。この思いが自分だけのものでは無いのなら、何も気にするものはない。

    「……えぇ、もう少し」

    陽は完全に落ち、空には星が瞬いていた。明日遅れてもいい。今はまだ、こうしていたいとフェニックスは目を閉じた。
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    そらの

    DONEいきなりあぶ空2023展示
    立ち上る紫煙の元を探ってふと、時折匂う、苦味のある香り。それはすれ違った時だったり、隣にいる時だったり、抱き合ったりした時に密かに感じられるものだった。それが何か、解らぬほどボブは子供ではなかった。
    自分にだって覚えはある。一丁前に大人になったと浮き足立った時、つい手を出したものだった。自分には合わずただただ苦しんだだけだったけれど。
    一時だったけれど覚えのあるそれが、時折、ブラッドリーから香るのだ。独特の苦味のある香り───煙草のそれ───が。本人がそれに気づいているのか、それは知らない。言わずにいるだけなのか、言わないつもりでいるのかも、知らない。
    ボブはそれを不思議に思っていた。もう長いと言えるほど生活を共にしているのに、けれどその姿を見た事は一度もない。どこでもだ。ただ感じるのはその匂いだけで、でもその確たる証拠はどこにもなかった。もしかしたら匂い移りしただけかもしれないとも思うが触れるその手からも香るそれがそうとは言わせてくれない。不思議に思うだけで不快に思うことは無いのだから言ってくれればいいのに、とボブは思う。我慢させていたとしたらなんだか申し訳ない。ブラッドリーがボブを自由にさせるように、ボブもブラッドリーの行動を制限したくないのだ。
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    greentea

    MENU4月9日のオフイベにて頒布予定のハンルス本のサンプルです。
    価格1,000円、文庫、本文116P、再録込みとなります。
    よろしくお願いします。
    愛に飛ぶ準備は出来ているか 任務後の仲間たちの顔は晴れやかで、トップガン卒であり空の実力者だと自覚のあるものたちでもかなりのストレスとプレッシャーがかかっていたのがその表情から分かる。任務を達成できるのか、だとしても仲間と生きて帰還できるのか。紆余曲折があったものの、結果として任務は成功して誰も欠けることなく全員が生還することが出来た。
     喜びと解放感からハードデックに集まるやつらのビールを美味しそうに飲む様は楽しそうで、店内に流れる曲に合わせて体は揺れている。さっきまではルースターのピアノと歌声が周囲のコーラスと一緒に聞こえていたが、今ではジュークボックスの味のある音と笑い声が響いている。
     音楽の中心だったルースターであるが、店内を見回してもその姿は見当たらず。だが帰った様子もなくさてどこへ行ったのかと視線を巡らせると、窓の向こうに色鮮やかな布の端が見えた。それはルースターが来ていたアロハシャツの柄で、窓から顔を覗かせると人気の無い店外に置いてあるイスに座って海をのんびり眺めるルースターがいた。
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