梨 末
DONE剣伊。眠れない伊織と家に帰りたくないセイバー①お題「不眠」「AM2:00」
制限時間+4h
現代パロ。夜散歩していたらセイバー(初対面)を見掛けたので部屋に連れてきた話(語弊のある説明)
ツンツンセイバーが書きたかった。
#剣伊ワンドロワンライ
①深夜、背中合わせ、マイナス距離 暗く、昏いどんよりとした灰色が天を覆っていた。
空は厚く雲に包まれ、何も見えず、星の一つすら見つからない。
――ならば、今宵の月は何処に在るのだろう?
当てもなく動かしていた足が止まる。気配を感じて視線が向いた先はとある公園だった。
そこは町中に数ヶ所ある中では二番目に大きい公園で、子供が十人は入れそうな広い砂場、高さの違う数種の鉄棒や動物の形をしたすべり台などの遊具などが多数配置されてきる。
その遊具の中の一つ、日付も変わって久しい時間であるというのにゆらゆらとブランコが揺れていた。原因は風でも怪奇現象ではなく、人為的なものだ。
深夜の公園に一人の子供がブランコに座っている。
子供と云うにはそこまで幼く無く、見た所中学生くらいだろうか。長く伸びた髪を首の辺りで一つに纏め、垂らしている。
5358空は厚く雲に包まれ、何も見えず、星の一つすら見つからない。
――ならば、今宵の月は何処に在るのだろう?
当てもなく動かしていた足が止まる。気配を感じて視線が向いた先はとある公園だった。
そこは町中に数ヶ所ある中では二番目に大きい公園で、子供が十人は入れそうな広い砂場、高さの違う数種の鉄棒や動物の形をしたすべり台などの遊具などが多数配置されてきる。
その遊具の中の一つ、日付も変わって久しい時間であるというのにゆらゆらとブランコが揺れていた。原因は風でも怪奇現象ではなく、人為的なものだ。
深夜の公園に一人の子供がブランコに座っている。
子供と云うにはそこまで幼く無く、見た所中学生くらいだろうか。長く伸びた髪を首の辺りで一つに纏め、垂らしている。
梨 末
DONE剣伊。お題「さくら」「愛しい人」
制限時間+二時間。季節遅れの花見をする二人。
#剣伊ワンドロワンライ
遅咲きの花に手を添えて ――ひらり、ふわり。
小さい薄桃色の花びらが、風に拐われて空を舞う。
揺れるまま、流れるままに空中をたゆたっていたそれはやがて終わりを迎え、とある場所に辿り着いた。
辿り着いたのはとある年若い青年、触れたかどうかも解らない優しさで花びらは彼の頬に着地した。
落ちてきた花びらは小さくも存在を訴えていたが、当の本人は反応を示さない。満開の桜の樹の下で横になっている青年は眠っているのか、両目を閉じたまま、静かに胸を上下させていた。
麗らかな日差しの元、穏やかな風に桜の木々がさらさらと揺れる音に紛れて、彼の微かな呼吸音だけが聞こえている。それ以外がほぼ何もない空間で、くすりと鈴を転がしたような小さな笑い声が響く。
2760小さい薄桃色の花びらが、風に拐われて空を舞う。
揺れるまま、流れるままに空中をたゆたっていたそれはやがて終わりを迎え、とある場所に辿り着いた。
辿り着いたのはとある年若い青年、触れたかどうかも解らない優しさで花びらは彼の頬に着地した。
落ちてきた花びらは小さくも存在を訴えていたが、当の本人は反応を示さない。満開の桜の樹の下で横になっている青年は眠っているのか、両目を閉じたまま、静かに胸を上下させていた。
麗らかな日差しの元、穏やかな風に桜の木々がさらさらと揺れる音に紛れて、彼の微かな呼吸音だけが聞こえている。それ以外がほぼ何もない空間で、くすりと鈴を転がしたような小さな笑い声が響く。