梨 末
DONE剣伊。お題「赤い糸」1h+4hセイバーの髪に触れてみる伊織の話
#剣伊ワンドロワンライ
敢えて解かない糸 まどろみの中で些細な違和感を感じ、意識が浮上する。
まだ寝ていたいと重たさを残す瞼に抗いながら目を開ければ、伊織のすぐ目の前にはすうすうと静かに寝息をたてるセイバーがいた。
いつもならば気になるものを見つけるときらきらと目を輝かせて即座に走り出す元気の良い姿も、「イオリ!」とこちらの名を呼びながら嬉しそうに声を弾ませる姿も今はなく、ただ体を休めるために眠りについている。
どうやらいつもよりも早い時刻に目が覚めてしまったらしい。横にいるセイバーはとても心地よさそうに安心しきった顔で眠っていて、伊織が起こさなければいつまでも眠っていそうだ。
この様子ならセイバーは暫くは起きないだろう。伊織としても特に急ぎの用がある訳でもないし、今の状態では睡眠が足りておらず、体調は万全ではない。もう少し休みを取りたいからこのまま再度寝てしまおうかと未だにはっきりとはしないまどろみの中で通常とは正反対の物静かなセイバーをぼんやりと眺めていると頬に違和感を覚えた。
2213まだ寝ていたいと重たさを残す瞼に抗いながら目を開ければ、伊織のすぐ目の前にはすうすうと静かに寝息をたてるセイバーがいた。
いつもならば気になるものを見つけるときらきらと目を輝かせて即座に走り出す元気の良い姿も、「イオリ!」とこちらの名を呼びながら嬉しそうに声を弾ませる姿も今はなく、ただ体を休めるために眠りについている。
どうやらいつもよりも早い時刻に目が覚めてしまったらしい。横にいるセイバーはとても心地よさそうに安心しきった顔で眠っていて、伊織が起こさなければいつまでも眠っていそうだ。
この様子ならセイバーは暫くは起きないだろう。伊織としても特に急ぎの用がある訳でもないし、今の状態では睡眠が足りておらず、体調は万全ではない。もう少し休みを取りたいからこのまま再度寝てしまおうかと未だにはっきりとはしないまどろみの中で通常とは正反対の物静かなセイバーをぼんやりと眺めていると頬に違和感を覚えた。
梨 末
DONE剣伊。現代パロ。お題「風邪」「手を繋ぐ」「果物」
1h+3h
風邪で弱ったセイバーの我儘に応える伊織の話
#剣伊ワンドロワンライ
全部風邪のせいだ「うう〜〜頭がくらくらする」
馴染みのない痛みが頭に響いてガンガンする。収まらない体の熱さで考えが纏まらず、視界がぼやける。不快だとセイバーが思わず眉を寄せていると冷静な声が上から降ってきた。
「薬は飲んだ、なら後は直に良くなる筈だ」
「……ううっ、どうしてこんな目に」
こんな状態は嫌だと嘆くと、粥を食べ終えて空になった食器を片付けながら「自業自得だな」と伊織の目が語っていた。
「川で遊んだ後はすぐに体を乾かすようにと云っただろう」
「あれだけ暑かったのだ、放っておけばすぐに乾くと思うだろうが!」
「そうやって面倒臭がってさぼった結果がこれだ。少しは反省しろ」
「むー、そこまで云うのならきみが乾かしてくれれば良かったではないか」
3122馴染みのない痛みが頭に響いてガンガンする。収まらない体の熱さで考えが纏まらず、視界がぼやける。不快だとセイバーが思わず眉を寄せていると冷静な声が上から降ってきた。
「薬は飲んだ、なら後は直に良くなる筈だ」
「……ううっ、どうしてこんな目に」
こんな状態は嫌だと嘆くと、粥を食べ終えて空になった食器を片付けながら「自業自得だな」と伊織の目が語っていた。
「川で遊んだ後はすぐに体を乾かすようにと云っただろう」
「あれだけ暑かったのだ、放っておけばすぐに乾くと思うだろうが!」
「そうやって面倒臭がってさぼった結果がこれだ。少しは反省しろ」
「むー、そこまで云うのならきみが乾かしてくれれば良かったではないか」
梨 末
DONE剣伊。お題「一緒」1h+3h夏イベのドバイ観光(でぇと?)をする二人の話。セイバーがナチュラルに物騒なのは仕様。
#剣伊ワンドロワンライ
迷子に楔を打つか否か「ドバイに行くぞ、イオリ!」
突然部屋に入ってきたかと思えば、セイバーが大きな声でそう告げてきた。
閉鎖的環境故に季節感に乏しいカルデアではあるがイベント事には敏感だ。季節は夏、海と太陽が私達を呼んでいる、バカンスに行くなら今しかない。
今回はなんと特別にドバイに行って観光ができるらしい。未来へのレイシフトという滅多にない機会を逃す由がないと目をキラキラと輝かせながら話してくる楽しそうなセイバーを見ながら、伊織も釣られたように朗らかな笑みを浮かべる。
「そうか、気を付けて行ってくるんだぞ」
「き・み・も・行・く・ん・だっ」
一人で行っても楽しくないと強く主張するセイバーに袖を引っ張られ、半強制的に外に連れ出された伊織は一緒にドバイに遊びに行く事になった。
4100突然部屋に入ってきたかと思えば、セイバーが大きな声でそう告げてきた。
閉鎖的環境故に季節感に乏しいカルデアではあるがイベント事には敏感だ。季節は夏、海と太陽が私達を呼んでいる、バカンスに行くなら今しかない。
今回はなんと特別にドバイに行って観光ができるらしい。未来へのレイシフトという滅多にない機会を逃す由がないと目をキラキラと輝かせながら話してくる楽しそうなセイバーを見ながら、伊織も釣られたように朗らかな笑みを浮かべる。
「そうか、気を付けて行ってくるんだぞ」
「き・み・も・行・く・ん・だっ」
一人で行っても楽しくないと強く主張するセイバーに袖を引っ張られ、半強制的に外に連れ出された伊織は一緒にドバイに遊びに行く事になった。
梨 末
DONE剣伊。お題「昼寝」1h+4hカルデア軸。セイバーに抱き枕にされる伊織の話。(7/22セイバー視点と題名を追記しました)
#剣伊ワンドロワンライ
君抱き締めて想う 麗らかな昼下がり、伊織にしては珍しく早い時間から長屋で横になっていた。
(……暇、だな)
今日は非番だ。周回作業や特異点の対応などはなく、平凡な一日で特にすることはなかった。縁を結んだサーヴァントとしてすべき事柄は多いが現時点での行動は制限されていない。
何もない日は好きに過ごして良い決まりになっている。
伊織としても仏堀をしたり、刀の手入れをしたりと長屋で過ごすにしても何かしら手を動かしている方が多い。
だが、今現在ただ横になっているだけである。
勿論、用事がないのなら一日寝て過ごすというもの悪くはない。ただ、伊織としては変わらぬ景色を眺めているのも少し飽きてきたところだ。こうして寝ているのには訳がある。自主的に寝ているというよりかは伊織は付属品、オプションでしかない。
4015(……暇、だな)
今日は非番だ。周回作業や特異点の対応などはなく、平凡な一日で特にすることはなかった。縁を結んだサーヴァントとしてすべき事柄は多いが現時点での行動は制限されていない。
何もない日は好きに過ごして良い決まりになっている。
伊織としても仏堀をしたり、刀の手入れをしたりと長屋で過ごすにしても何かしら手を動かしている方が多い。
だが、今現在ただ横になっているだけである。
勿論、用事がないのなら一日寝て過ごすというもの悪くはない。ただ、伊織としては変わらぬ景色を眺めているのも少し飽きてきたところだ。こうして寝ているのには訳がある。自主的に寝ているというよりかは伊織は付属品、オプションでしかない。
梨 末
DONE剣伊。眠れない伊織と家に帰りたくないセイバー①お題「不眠」「AM2:00」
制限時間+4h
現代パロ。夜散歩していたらセイバー(初対面)を見掛けたので部屋に連れてきた話(語弊のある説明)
ツンツンセイバーが書きたかった。
#剣伊ワンドロワンライ
①深夜、背中合わせ、マイナス距離 暗く、昏いどんよりとした灰色が天を覆っていた。
空は厚く雲に包まれ、何も見えず、星の一つすら見つからない。
――ならば、今宵の月は何処に在るのだろう?
当てもなく動かしていた足が止まる。気配を感じて視線が向いた先はとある公園だった。
そこは町中に数ヶ所ある中では二番目に大きい公園で、子供が十人は入れそうな広い砂場、高さの違う数種の鉄棒や動物の形をしたすべり台などの遊具などが多数配置されてきる。
その遊具の中の一つ、日付も変わって久しい時間であるというのにゆらゆらとブランコが揺れていた。原因は風でも怪奇現象ではなく、人為的なものだ。
深夜の公園に一人の子供がブランコに座っている。
子供と云うにはそこまで幼く無く、見た所中学生くらいだろうか。長く伸びた髪を首の辺りで一つに纏め、垂らしている。
5358空は厚く雲に包まれ、何も見えず、星の一つすら見つからない。
――ならば、今宵の月は何処に在るのだろう?
当てもなく動かしていた足が止まる。気配を感じて視線が向いた先はとある公園だった。
そこは町中に数ヶ所ある中では二番目に大きい公園で、子供が十人は入れそうな広い砂場、高さの違う数種の鉄棒や動物の形をしたすべり台などの遊具などが多数配置されてきる。
その遊具の中の一つ、日付も変わって久しい時間であるというのにゆらゆらとブランコが揺れていた。原因は風でも怪奇現象ではなく、人為的なものだ。
深夜の公園に一人の子供がブランコに座っている。
子供と云うにはそこまで幼く無く、見た所中学生くらいだろうか。長く伸びた髪を首の辺りで一つに纏め、垂らしている。
梨 末
DONE剣伊。お題「さくら」「愛しい人」
制限時間+二時間。季節遅れの花見をする二人。
#剣伊ワンドロワンライ
遅咲きの花に手を添えて ――ひらり、ふわり。
小さい薄桃色の花びらが、風に拐われて空を舞う。
揺れるまま、流れるままに空中をたゆたっていたそれはやがて終わりを迎え、とある場所に辿り着いた。
辿り着いたのはとある年若い青年、触れたかどうかも解らない優しさで花びらは彼の頬に着地した。
落ちてきた花びらは小さくも存在を訴えていたが、当の本人は反応を示さない。満開の桜の樹の下で横になっている青年は眠っているのか、両目を閉じたまま、静かに胸を上下させていた。
麗らかな日差しの元、穏やかな風に桜の木々がさらさらと揺れる音に紛れて、彼の微かな呼吸音だけが聞こえている。それ以外がほぼ何もない空間で、くすりと鈴を転がしたような小さな笑い声が響く。
2760小さい薄桃色の花びらが、風に拐われて空を舞う。
揺れるまま、流れるままに空中をたゆたっていたそれはやがて終わりを迎え、とある場所に辿り着いた。
辿り着いたのはとある年若い青年、触れたかどうかも解らない優しさで花びらは彼の頬に着地した。
落ちてきた花びらは小さくも存在を訴えていたが、当の本人は反応を示さない。満開の桜の樹の下で横になっている青年は眠っているのか、両目を閉じたまま、静かに胸を上下させていた。
麗らかな日差しの元、穏やかな風に桜の木々がさらさらと揺れる音に紛れて、彼の微かな呼吸音だけが聞こえている。それ以外がほぼ何もない空間で、くすりと鈴を転がしたような小さな笑い声が響く。