虹亜科アユム
DOODLEゴリゴリ片想いしかありません。まったく甘い要素も無いです。エゴのぶつけ合い(友人曰く)が大丈夫な方は、是非読んでください。影→国 突然呼び出され、俺は今、体育館の裏に来ていた。いつもの仏頂面から、更にへの字に口が曲がって変な顔。何も言い出さない影山にイライラした。
「何の用? 何もないなら帰るけど」
「っ! その、好きだ」
「……は?」
「だから、お前が好きだ! ……それだけ、だから」
影山はそれだけ言うと、体育館の中へ逃げるように走り去って姿を消した。俺からすれば好きでもない、どころじゃない。質の悪い冗談でも酷すぎる。目の前で起きた事なのに、現実だとはとても信じられないし、受け入れられなかった。
その日は中学三年生、最後の大会まで一ヶ月を切っていた。アイツはいじめられるようなタイプではないが、友人もろくにいないし、奇跡的にいたとして罰ゲームなんかに従うタイプでもない。
3062「何の用? 何もないなら帰るけど」
「っ! その、好きだ」
「……は?」
「だから、お前が好きだ! ……それだけ、だから」
影山はそれだけ言うと、体育館の中へ逃げるように走り去って姿を消した。俺からすれば好きでもない、どころじゃない。質の悪い冗談でも酷すぎる。目の前で起きた事なのに、現実だとはとても信じられないし、受け入れられなかった。
その日は中学三年生、最後の大会まで一ヶ月を切っていた。アイツはいじめられるようなタイプではないが、友人もろくにいないし、奇跡的にいたとして罰ゲームなんかに従うタイプでもない。
Rin
REHABILIその“好き”って影国 告白をした時、国見は握っている紙パックの人差し指に力を込めた。透明なストローから苺ミルクの液体が溢れる。真白なシャツに映えるピンク色。国見は慌てる様子もなく、汚れた制服をティッシュで拭き、恐る恐る言った。
「その好きって、どの好き……?」
「どの好き、ってなんだよ…」
そもそも言葉の意味がわからなかった俺は、ネットで調べることにした。あの日は気が動転してしまい、間抜けた声で「そりゃ…好きなんだろ…お前のこと…」なんて言ってしまった。国見は気まずそうに視線を逸らし、「へえ…そっか…」と言って飲み干した紙パックを畳んだ。
「最近よく…それ飲んでるよな」
「うん」
「好きなのか」
「うん。あ、このジュースみたいな好きってこと?」
2178「その好きって、どの好き……?」
「どの好き、ってなんだよ…」
そもそも言葉の意味がわからなかった俺は、ネットで調べることにした。あの日は気が動転してしまい、間抜けた声で「そりゃ…好きなんだろ…お前のこと…」なんて言ってしまった。国見は気まずそうに視線を逸らし、「へえ…そっか…」と言って飲み干した紙パックを畳んだ。
「最近よく…それ飲んでるよな」
「うん」
「好きなのか」
「うん。あ、このジュースみたいな好きってこと?」
Rin
MOURNING影国エロ本がバレた影山くん……やってしまった。
ベッドの下に顔を突っ込んだまま項垂れる。どうすればいい。これから国見になんて弁解すれば…と思っていると、国見がトイレから戻って来た。
俺は何事も無かったような顔で隣に座る。なるべく距離を詰めて。国見が部屋に入った瞬間立ち上がったはずだ。だから、俺がベッドに顔を突っ込んでいた事は知らないだろう。
国見はテーブルのお菓子を見つめている。俺は親の手作りクッキーをすすめた。美味そうに食べている間じっと国見の顔を見る。別に普通だ。怒っている感じではない。
「美味いか?」
「うん」
「こっちも食っていいぞ」
「それはいい」
「そうか…」
いつもなら、これからどうする、なんて話をして来るのに。今日は何も言わない。国見の右手が地面に付いている。人差し指と中指は、暇そうにリズムを取っていた。
2840ベッドの下に顔を突っ込んだまま項垂れる。どうすればいい。これから国見になんて弁解すれば…と思っていると、国見がトイレから戻って来た。
俺は何事も無かったような顔で隣に座る。なるべく距離を詰めて。国見が部屋に入った瞬間立ち上がったはずだ。だから、俺がベッドに顔を突っ込んでいた事は知らないだろう。
国見はテーブルのお菓子を見つめている。俺は親の手作りクッキーをすすめた。美味そうに食べている間じっと国見の顔を見る。別に普通だ。怒っている感じではない。
「美味いか?」
「うん」
「こっちも食っていいぞ」
「それはいい」
「そうか…」
いつもなら、これからどうする、なんて話をして来るのに。今日は何も言わない。国見の右手が地面に付いている。人差し指と中指は、暇そうにリズムを取っていた。
Rin
MOURNING影国おいかけっこ 影山はキスするのが好きだ。どこであろうと、人が居ようと関係なくしてくるもので、国見は一度真剣な話し合いの場を設けたことがあった。まず互いの学校ではしないこと。例え隠れていても、誰に見つかるか分からないから駄目。勿論合宿先でも駄目。
当然影山が納得するわけもなく、全部だめだめって、じゃあいつならいいんだよ……とすぐ喧嘩腰になってしまう。というよりあからさまに不貞腐れる。どうしてそんなことが分からないのだろう。国見は一人冷静に、オレンジジュースを飲みながら考えた。
自分たちが恋人であるということを、他の誰にも話していない。二人だけの秘密だ。だからこそ学校や部室でチュッチュされるのは困る。このままでは絶対バレる。隠したい国見と、いっそバレてもいいと思っている影山。この時点で感覚に差があった。
2061当然影山が納得するわけもなく、全部だめだめって、じゃあいつならいいんだよ……とすぐ喧嘩腰になってしまう。というよりあからさまに不貞腐れる。どうしてそんなことが分からないのだろう。国見は一人冷静に、オレンジジュースを飲みながら考えた。
自分たちが恋人であるということを、他の誰にも話していない。二人だけの秘密だ。だからこそ学校や部室でチュッチュされるのは困る。このままでは絶対バレる。隠したい国見と、いっそバレてもいいと思っている影山。この時点で感覚に差があった。