パラサウロロフス
MOURNING原作の黄昏甚兵衛様しか知らないんですが、あの聞きたいとこだけ聞くっていう性格がかわいいなーと思ってる。紅の噂 タソガレドキ城の奥に向かう廊下の中程で、タソガレドキ城主黄昏甚兵衛は立ち止まると、天井に向かって声をかけた。潜んで付き従っていた雑渡昆奈門は天井板を外し、短い返事と共に顔を出した。
「伝子さん、帰っちゃったんだってね」
「………はい」
伝子とは忍術学園教師山田伝蔵が女性に変装したときに使う名である。数ヶ月前、その名でタソガレドキ城に下女として潜入していたのだが、あろうことか、その伝子を甚兵衛がお気に召してしまった。正体を知る昆奈門が一計を案じ、伝子と二人で恋仲である振りをした。功を奏し、甚兵衛が伝子について興味を示す素振りもなくなったので、昆奈門は胸を撫で下ろした。伝子も、忍術学園の夏休みが終わったのだろう、伝蔵に戻るべくタソガレドキを去っていった。それですべては終わったと考えていたのだが、今になって甚兵衛がその名を出すとは。主の考えを読むべく、傍らに静かに降り立った。
978「伝子さん、帰っちゃったんだってね」
「………はい」
伝子とは忍術学園教師山田伝蔵が女性に変装したときに使う名である。数ヶ月前、その名でタソガレドキ城に下女として潜入していたのだが、あろうことか、その伝子を甚兵衛がお気に召してしまった。正体を知る昆奈門が一計を案じ、伝子と二人で恋仲である振りをした。功を奏し、甚兵衛が伝子について興味を示す素振りもなくなったので、昆奈門は胸を撫で下ろした。伝子も、忍術学園の夏休みが終わったのだろう、伝蔵に戻るべくタソガレドキを去っていった。それですべては終わったと考えていたのだが、今になって甚兵衛がその名を出すとは。主の考えを読むべく、傍らに静かに降り立った。
パラサウロロフス
MEMO前「なぜ、そうも私をお厭いになる」
忍術学園の天井からぬっと顔を付き出したタソガレドキ忍軍組頭の雑渡昆奈門が、一年は組の実技担当山田伝蔵にそう言った。
なぜ、と聞かれても明白であろう。逆さまの昆奈門の顔に気圧された伝蔵が一歩後退ってため息をついた。昆奈門が伝蔵に手合わせを願いに来るのはこれが初めてではない。半助が無事戻ってきてから、暇を見つけてはこうやって忍術学園に忍んでくるのである。今まですべて断ってきたが、その理由は学園外の勢力に自分の能力をさらす理由も忍の指南をつけてやる義務もなにもないからである。
「私が、ご子息二人のお命を狙ったからでしょうか」
悲しそうな顔をつくって、昆奈門が尋ねる。昆奈門は、しかし、と言葉を続けて伝蔵の前に音もなく天井から降り立つと、
1461忍術学園の天井からぬっと顔を付き出したタソガレドキ忍軍組頭の雑渡昆奈門が、一年は組の実技担当山田伝蔵にそう言った。
なぜ、と聞かれても明白であろう。逆さまの昆奈門の顔に気圧された伝蔵が一歩後退ってため息をついた。昆奈門が伝蔵に手合わせを願いに来るのはこれが初めてではない。半助が無事戻ってきてから、暇を見つけてはこうやって忍術学園に忍んでくるのである。今まですべて断ってきたが、その理由は学園外の勢力に自分の能力をさらす理由も忍の指南をつけてやる義務もなにもないからである。
「私が、ご子息二人のお命を狙ったからでしょうか」
悲しそうな顔をつくって、昆奈門が尋ねる。昆奈門は、しかし、と言葉を続けて伝蔵の前に音もなく天井から降り立つと、
パラサウロロフス
MAIKING 雑渡昆奈門は失礼する、と低く告げて、文机に向かう山田伝蔵の膝に頭を滑り込ませた。
「始まりましたかな?」
「ええ」
諸泉尊昆奈門と土井半助の果し合いは、あの一件があってから、タソガレドキ忍軍の立ち会いのもと忍術学園で行われることになった。立ち会いには誰が行っても良かったが、任務の具合を考えると、自然と昆奈門がついて行く事になるのであった。
最初は昆奈門も戦忍びであった伝蔵に手合わせを申し込んでいたが、最近はそれも諦めた。伝蔵と話すだけでも楽しかったからである。果し合いをする半助の代わりに伝蔵が追試の答案の丸付けをしたり、補習授業のプリントを作成しているので、それを邪魔すれば半助が仕事を理由に尊奈門の果し合いを受けてくれなくなるだろう。いつしか伝蔵との逢瀬を心地よいものに感じていた昆奈門は、そう考えて手合わせを申し込むのをやめたのである。
1578「始まりましたかな?」
「ええ」
諸泉尊昆奈門と土井半助の果し合いは、あの一件があってから、タソガレドキ忍軍の立ち会いのもと忍術学園で行われることになった。立ち会いには誰が行っても良かったが、任務の具合を考えると、自然と昆奈門がついて行く事になるのであった。
最初は昆奈門も戦忍びであった伝蔵に手合わせを申し込んでいたが、最近はそれも諦めた。伝蔵と話すだけでも楽しかったからである。果し合いをする半助の代わりに伝蔵が追試の答案の丸付けをしたり、補習授業のプリントを作成しているので、それを邪魔すれば半助が仕事を理由に尊奈門の果し合いを受けてくれなくなるだろう。いつしか伝蔵との逢瀬を心地よいものに感じていた昆奈門は、そう考えて手合わせを申し込むのをやめたのである。