染井/九杜
DONE【薫あん】/#あんず島ワンドロライ/「クリスマス」「冬」※ズ!!本編より後。まだ付き合っていない薫あん。
【薫あん】/#あんず島ワンドロライ/「クリスマス」「冬」「羽風先輩‼︎」
「! あんずちゃん!」
お待たせしましたこちらです! そう言ってこちらへ手を振る彼女に大きく手を振り返しながら俺は駆け寄っていく。寒空の下勿論スーツ姿のあんずちゃんが足早に案内するのはロケ車でよく見るマイクロバスだ。
言うまでもなくクリスマスイブ、そしてクリスマスにかけてアイドルは書き入れ時だ。そんな中、当日起こる想定外のトラブルは大きいものから小さいものまで決して少なくはない。
クリスマスとはいえレギュラーで入っている個人の仕事は通常運転だ。それが終わり次第、俺はやや離れた現場から即クリスマスライブと銘打った生放送番組の会場へと向かわなければならない。……しかしながら、予定していた配車がトラブルから間に合わないというのだ。事務所に連絡はしたものの、トラブルがなくたって今日という日にてんやわんやのマネージャーは想像に難くない。そんな中、次に俺の携帯を鳴らしたのはなんとあんずちゃんだった。
3383「! あんずちゃん!」
お待たせしましたこちらです! そう言ってこちらへ手を振る彼女に大きく手を振り返しながら俺は駆け寄っていく。寒空の下勿論スーツ姿のあんずちゃんが足早に案内するのはロケ車でよく見るマイクロバスだ。
言うまでもなくクリスマスイブ、そしてクリスマスにかけてアイドルは書き入れ時だ。そんな中、当日起こる想定外のトラブルは大きいものから小さいものまで決して少なくはない。
クリスマスとはいえレギュラーで入っている個人の仕事は通常運転だ。それが終わり次第、俺はやや離れた現場から即クリスマスライブと銘打った生放送番組の会場へと向かわなければならない。……しかしながら、予定していた配車がトラブルから間に合わないというのだ。事務所に連絡はしたものの、トラブルがなくたって今日という日にてんやわんやのマネージャーは想像に難くない。そんな中、次に俺の携帯を鳴らしたのはなんとあんずちゃんだった。
ltochiri
DONE #あんず島ワンドロライお題『クリスマス』
今回はお付き合いして同棲している英あんです
頂点に輝く星は暖房の効いたマンションの一室で、イミテーションのモミの木が組み立てられていた。あんずの背よりも低い、かわいらしいサイズのもので、毎年やっているからと、手際よく作業をしている。そこへ部屋の飾りを終えた英智が歩み寄り、あんずに声をかけた。
「さすがだね」
「この箱の中に入ってるので、飾り付けをお願いします」
「わかったよ」
オーナメントが入った箱を木の近くに寄せて開封する。その中の状態に、英智は目を見開いて驚いた。最後に飾る大きな金色の星が中央で陣取っていたからだ。
今はほかの装飾を施すのが先だ。だからそれは一旦取り出すべきと、そう考えてはいるのだが、英智は手を動かせず、じっとその星を眺め続けている。
「英智さん、具合でも悪いですか?」
1320「さすがだね」
「この箱の中に入ってるので、飾り付けをお願いします」
「わかったよ」
オーナメントが入った箱を木の近くに寄せて開封する。その中の状態に、英智は目を見開いて驚いた。最後に飾る大きな金色の星が中央で陣取っていたからだ。
今はほかの装飾を施すのが先だ。だからそれは一旦取り出すべきと、そう考えてはいるのだが、英智は手を動かせず、じっとその星を眺め続けている。
「英智さん、具合でも悪いですか?」
ltochiri
DONE #あんず島ワンドロライお題『ハロウィン』
遅刻しました。斑あんの定型文です。
あけぼの その瞬間、斑は己の耳を疑った。
「わ、わたしを食べてください……」
己の記憶の整合性を確かめるように腕の中のあんずを見つめ返すと、うるうるとした瞳がせつなく細められるので、どうやら聞き間違いではないらしいと斑は悟る。
ハロウィンの日の早朝、昇る太陽を背に斑は事務所の中で見かけたあんずに向かって『トリックオアトリート』と声をかけると、すぐさま逃げられないように彼女の身体を腕ごと抱きしめた。そこまでは定石。もし誰かに目撃されても、ハロウィンではしゃいでいる若者がハメを外したのだと思われるだろうし、評判が少し落ちても構わない。むしろそれくらいがちょうど良いとまで考えていた。
だが彼女の返事が良くなかった。否、斑にとって都合が良すぎるのだ。よりにもよって、男に『食べてください』などと。
974「わ、わたしを食べてください……」
己の記憶の整合性を確かめるように腕の中のあんずを見つめ返すと、うるうるとした瞳がせつなく細められるので、どうやら聞き間違いではないらしいと斑は悟る。
ハロウィンの日の早朝、昇る太陽を背に斑は事務所の中で見かけたあんずに向かって『トリックオアトリート』と声をかけると、すぐさま逃げられないように彼女の身体を腕ごと抱きしめた。そこまでは定石。もし誰かに目撃されても、ハロウィンではしゃいでいる若者がハメを外したのだと思われるだろうし、評判が少し落ちても構わない。むしろそれくらいがちょうど良いとまで考えていた。
だが彼女の返事が良くなかった。否、斑にとって都合が良すぎるのだ。よりにもよって、男に『食べてください』などと。
ltochiri
DONE #あんず島ワンドロライお題『隠れてイチャイチャ』
事前作成、2.0h
付き合ってるかどうかは想像にお任せするタイプの斑あんです。
RT期間終了後に修正する可能性があります。
遠ざかる雨の音 空はしとしとと静かに雨を降らせていた。湿気った空気が重たく背中にのしかかってくるようで、斑はやれやれと首を左右に振る。
仕事が不規則なのには慣れているが、こんな時間に女の子の後ろ姿を見かけるとやはり心配になる。
右手に傘を持つと、斑はESビルの裏口に通じる廊下を走った。白い明かりは行く先を照らし、腕時計を見ていたあんずがその気配に振り向いた。
「あんずさん、今から帰りかあ?」
会えたことは嬉しいと笑顔を見せ、けれど口調は厳しく。斑のちぐはぐな態度にあんずはギクリとしながら、それでも律儀に挨拶を返す。
「あ……三毛縞先輩、おつかれさまです。明日の準備してて、遅くなっちゃいました」
「傘も持っていないようだが……もしかしてそのまま帰るつもりとか? よかったらいっしょに帰ろう」
1978仕事が不規則なのには慣れているが、こんな時間に女の子の後ろ姿を見かけるとやはり心配になる。
右手に傘を持つと、斑はESビルの裏口に通じる廊下を走った。白い明かりは行く先を照らし、腕時計を見ていたあんずがその気配に振り向いた。
「あんずさん、今から帰りかあ?」
会えたことは嬉しいと笑顔を見せ、けれど口調は厳しく。斑のちぐはぐな態度にあんずはギクリとしながら、それでも律儀に挨拶を返す。
「あ……三毛縞先輩、おつかれさまです。明日の準備してて、遅くなっちゃいました」
「傘も持っていないようだが……もしかしてそのまま帰るつもりとか? よかったらいっしょに帰ろう」
ltochiri
DONE #あんず島ワンドロライお題『花火』
2.0h
花より団子、花火よりたこ焼き。斑あんなので。
RT期間終了後に修正する可能性があります。
熱帯夜 ESビル七階、ニューディ事務所のフロア内をあんずは忙しなく歩き回っていた。
「あんずさん、今日は花火大会の日だ」
そこへ突然、腰に手を当てた斑が現れあんずの目の前に立ち塞がった。目を吊り上げて、怒ったような態度だ。
「……ああ、隣の町で開催されるってポスター貼ってありましたね。迂回路の看板見ました」
ワンテンポ遅れて返事をするあんずは、斑の相手をするのも億劫そうに視線を合わせることもしない。
「君は今年、花火を見たかあ?」
「はい。仕事で何度か」
「あんずさんは仕事熱心だから、花火が上がる音しか聞いてないとか、カメラ越しに見たとかいう話を聞いたんだが」
「まさか。ちゃんと見てますよ」
「目が泳いでるなあ」
「………。ちゃんと見てましたよ。設営の合間にですけど」
2965「あんずさん、今日は花火大会の日だ」
そこへ突然、腰に手を当てた斑が現れあんずの目の前に立ち塞がった。目を吊り上げて、怒ったような態度だ。
「……ああ、隣の町で開催されるってポスター貼ってありましたね。迂回路の看板見ました」
ワンテンポ遅れて返事をするあんずは、斑の相手をするのも億劫そうに視線を合わせることもしない。
「君は今年、花火を見たかあ?」
「はい。仕事で何度か」
「あんずさんは仕事熱心だから、花火が上がる音しか聞いてないとか、カメラ越しに見たとかいう話を聞いたんだが」
「まさか。ちゃんと見てますよ」
「目が泳いでるなあ」
「………。ちゃんと見てましたよ。設営の合間にですけど」