pochi_pawpad
DONE悪魔を拾った少年と、少年に拾われた悪魔の不幸で幸せな物語。(もしポチタがチェンソーマンのままデンジと出会っていたら)
※ポチデン
※原作程度の暴力、流血表現
※一部モブデン有
幸福論(犬と呼ばれた少年の話)
犬は良い。薄汚れて肋骨の浮いた臭くて哀れな野良犬でも、腹を見せて人間に媚びへつらえば気まぐれに餌を与えられる事がある。忠実に、従順に、そして賢く愚かに生きる野良犬は、ただひたすらに自分が死なない方法さえ考えれば、その日一日が終わるのだ。
しかし、少年は人間だった。人間は余計な事を考えてしまう。
腹が減った事、借金は減らない事、孔の空いた右目が時折痛んで疼く事、夜は寒くて暗くてどうしようも無くひとりぼっちの孤独が押し寄せる事。
だから少年は夢を見た。ただひたすらに自分が幸せになる事を夢に見た。そうした中で出会ったモノは、まるで暗闇に差し込む一筋の光のように見えた。淡い期待を抱いてしまった。嵌まった泥沼から抜け出したくてか細い糸のような光を掴もうと手を伸ばしてしまった。
21985犬は良い。薄汚れて肋骨の浮いた臭くて哀れな野良犬でも、腹を見せて人間に媚びへつらえば気まぐれに餌を与えられる事がある。忠実に、従順に、そして賢く愚かに生きる野良犬は、ただひたすらに自分が死なない方法さえ考えれば、その日一日が終わるのだ。
しかし、少年は人間だった。人間は余計な事を考えてしまう。
腹が減った事、借金は減らない事、孔の空いた右目が時折痛んで疼く事、夜は寒くて暗くてどうしようも無くひとりぼっちの孤独が押し寄せる事。
だから少年は夢を見た。ただひたすらに自分が幸せになる事を夢に見た。そうした中で出会ったモノは、まるで暗闇に差し込む一筋の光のように見えた。淡い期待を抱いてしまった。嵌まった泥沼から抜け出したくてか細い糸のような光を掴もうと手を伸ばしてしまった。
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SPUR ME悪魔を拾った少年と、少年に拾われた悪魔の不幸で幸せな物語。の序盤。進捗。(もしポチタがチェンソーマンのままデンジと出会っていたら)
完走したので公開ストップしました
反応ありがとうございました
完成版https://poipiku.com/6588318/7913396.html 9279
PYC_1205
DONE一番近く【ポチデン】胸を揉みたいデンを見守るポチの話
一番近く【ポチデン】 あれはいつのことであったか。初老の木こりに混ざって樹木を斬っているときに、聞いた気がする。あのぼうずくらいが花だ、若いというだけで女は飛びついてくるぞ――と。
「飛びつかれるどころか、嫌われたことしかねえっつーの」
「くぅん」
学はねえ、金がねえ、風呂に入らねえから臭え。女を抱くなんて夢を見てるが、金玉が片方ない野郎にそんなことは可能なのだろうか。
顎に手を当て、らしくもなく考え込むデンジの足元にポチタは座る。ポチタは悪魔だが、触れている部分は温かい。
「わん?」
「そもそも、女の胸ってどんな感触なんだろうな?」
突如、デンジは服の上から自身の胸を掴んだ。掴む、というよりは触ると言ったほうが正しいだろうか。過酷な肉体労働で引き締まった身体も、碌な食事を口にしていないために弾力や肉感に乏しい。
1033「飛びつかれるどころか、嫌われたことしかねえっつーの」
「くぅん」
学はねえ、金がねえ、風呂に入らねえから臭え。女を抱くなんて夢を見てるが、金玉が片方ない野郎にそんなことは可能なのだろうか。
顎に手を当て、らしくもなく考え込むデンジの足元にポチタは座る。ポチタは悪魔だが、触れている部分は温かい。
「わん?」
「そもそも、女の胸ってどんな感触なんだろうな?」
突如、デンジは服の上から自身の胸を掴んだ。掴む、というよりは触ると言ったほうが正しいだろうか。過酷な肉体労働で引き締まった身体も、碌な食事を口にしていないために弾力や肉感に乏しい。
PYC_1205
DONELollipop【ポチデン】ポチデンのハッピーはろいん🎃
Lollipop【ポチデン】 沈みかけた陽が、遠くに見える山の端の隙間から見え隠れしている。今日悪魔が出現した場所は、家から離れていた。行きこそ送迎されたが、倒した時に浴びた真っ赤な体液を厭われ、否応なしに捨て置かれた。
デンジはポチタと帰路を歩いていた。他に替えがない一張羅は、果汁を飛ばされたかのごとく薄桃に色づいている。嗅いだことのない甘い香りをほのかに漂わせていたが、あれは一体何の悪魔だったのだろうか。
「ここからだと、相当歩くだろうな」
「ワン!」
腹減ったなあ。デンジの呟く声はポチタの足元に落ちたが、刃で悪魔を切り裂いたポチタは元気にスターターロープの尻尾を揺らしている。その先端、引っ張り手の三角型がゆらゆら動く様子を見ていると、不思議と腹の虫が静かになった。
3025デンジはポチタと帰路を歩いていた。他に替えがない一張羅は、果汁を飛ばされたかのごとく薄桃に色づいている。嗅いだことのない甘い香りをほのかに漂わせていたが、あれは一体何の悪魔だったのだろうか。
「ここからだと、相当歩くだろうな」
「ワン!」
腹減ったなあ。デンジの呟く声はポチタの足元に落ちたが、刃で悪魔を切り裂いたポチタは元気にスターターロープの尻尾を揺らしている。その先端、引っ張り手の三角型がゆらゆら動く様子を見ていると、不思議と腹の虫が静かになった。