住めば都
DONEvilla party! 開催おめでとうございます。展示作品です。同イベントXアカウントで開催されら、紋章見せての企画で掲載させていただいたユーハン夢になります。
災いの烙印、あるいは幸福の刻印 見ないようにと意識すればするほど、そちらへ目が吸い寄せられてしまうのは、一体どういうわけなんだろう。
ユーハンが腕を動かすたび、ちらちらと視界を過ぎるそれを、私の目は追いかけてしまう。彼の体に刻まれた、丸い形の紋章。悪魔と契約した証だ。
「主様、どうかなさいましたか?」
袖のない運動着を着ているせいで、ユーハンの二の腕はむき出しになっている。普段は服の下に隠れている紋章を見つめながら思考に没頭していた私は、心配そうに顔を覗き込んでくるユーハンに、思わず身を仰け反らせた。
近い。すぐ傍で、彼の顔半分を隠す長い前髪が揺れている。滴るような黒色に朱の混じる不思議な色彩は、暗闇で踊る炎のようだ。
「ごめん、大丈夫。だから……ちょっと離れてほしいかな……」
2572ユーハンが腕を動かすたび、ちらちらと視界を過ぎるそれを、私の目は追いかけてしまう。彼の体に刻まれた、丸い形の紋章。悪魔と契約した証だ。
「主様、どうかなさいましたか?」
袖のない運動着を着ているせいで、ユーハンの二の腕はむき出しになっている。普段は服の下に隠れている紋章を見つめながら思考に没頭していた私は、心配そうに顔を覗き込んでくるユーハンに、思わず身を仰け反らせた。
近い。すぐ傍で、彼の顔半分を隠す長い前髪が揺れている。滴るような黒色に朱の混じる不思議な色彩は、暗闇で踊る炎のようだ。
「ごめん、大丈夫。だから……ちょっと離れてほしいかな……」
住めば都
DONE #aknk版深夜の創作一本勝負 よりお題をお借りしています。「おかえり」ユーハン夢。
予定の時間を過ぎても帰ってこない主様を待ち続けるユーハンの話。
翌朝、ほかの執事からもユーハンがずっと待ってたと話を聞いて、主様は某ワンちゃんを思い浮かべたとかいないとか。
待てと言うならいつまでも 主人の帰宅時刻五分前になったのを確認し、ユーハンは出迎えのため本邸の玄関へ向かった。
今朝、主人は「帰宅はいつもどおりだと思う」と告げ出掛けていった。彼女が「いつもどおり」というときは、十分から二十分くらいの誤差はあるものの、だいたいこのくらいの時間に帰ってくる。
ユーハンは姿勢よく立ったまま、主人の帰宅を待った。だが、十分経っても、二十分経っても、彼女が戻ってくる気配はない。尤も、不思議な指環の力で二つの世界を行き来する彼女の帰還は、予兆も気配もなく、突然であるのが常なのだけれど。
そのうち帰ってくるだろうと思っていたユーハンだったが、予定の時間から一時間が経って、さすがに不安を感じた。
事件や事故に巻き込まれたのではないか。突然の病気や怪我で、身動きが取れなくなっているのかもしれない。彼女を狙う不届きな輩に襲われて、恐ろしい目に遭っていたとしたら。
3615今朝、主人は「帰宅はいつもどおりだと思う」と告げ出掛けていった。彼女が「いつもどおり」というときは、十分から二十分くらいの誤差はあるものの、だいたいこのくらいの時間に帰ってくる。
ユーハンは姿勢よく立ったまま、主人の帰宅を待った。だが、十分経っても、二十分経っても、彼女が戻ってくる気配はない。尤も、不思議な指環の力で二つの世界を行き来する彼女の帰還は、予兆も気配もなく、突然であるのが常なのだけれど。
そのうち帰ってくるだろうと思っていたユーハンだったが、予定の時間から一時間が経って、さすがに不安を感じた。
事件や事故に巻き込まれたのではないか。突然の病気や怪我で、身動きが取れなくなっているのかもしれない。彼女を狙う不届きな輩に襲われて、恐ろしい目に遭っていたとしたら。
住めば都
DONEあくねこ、ユーハン夢。屋敷の玄関で寝落ちしている主様を見つけて取り乱すユーハンの話。
この後ユーハンは「主様には別邸で生活してもらうのがいいのでは?」という結論に達し、テディやハナマルも巻き込んで策略を巡らすも、本邸の執事たちの猛反対にあう、なーんて騒ぎがあったとかなかったとか。
主様の悪癖 入浴を終えて別邸に戻ろうとしていたユーハンは、玄関にうつ伏せで倒れている主人を見つめて目を剥いた。
「主様!!」
大音声で呼ばわって、傍に駆けつける。頭を揺らさぬようにとそれだけは十二分に気をつけて、ぐったりとした体を抱き起こした。
「主様、主様……!」
肩を叩いて呼びかけるが、反応はない。見たところ外傷は無さそうだが、主人の身になにがあったのか――ケガなのか病なのかそれとも他のなにかなのかは、医者ではないユーハンには判断がつかなかった。
「ルカスさん……ルカスさんをお呼びしないと……」
ああ、けれどユーハンが傍を離れた途端に状態が悪化して、主人が帰らぬ人となってしまったら。
その可能性に思い至ってしまったユーハンは、その場に凍りついたように動けなくなった。
2868「主様!!」
大音声で呼ばわって、傍に駆けつける。頭を揺らさぬようにとそれだけは十二分に気をつけて、ぐったりとした体を抱き起こした。
「主様、主様……!」
肩を叩いて呼びかけるが、反応はない。見たところ外傷は無さそうだが、主人の身になにがあったのか――ケガなのか病なのかそれとも他のなにかなのかは、医者ではないユーハンには判断がつかなかった。
「ルカスさん……ルカスさんをお呼びしないと……」
ああ、けれどユーハンが傍を離れた途端に状態が悪化して、主人が帰らぬ人となってしまったら。
その可能性に思い至ってしまったユーハンは、その場に凍りついたように動けなくなった。