ふみこ
DONE一トド伝奇松のはじたか(紫坂一×桃瀬百々史)
雪と古本のにおいカーテンを開けようとした手が、止まった。
「どうしたの?」
その手をぼんやりと眺めていた一が、訊く。カーテンを握ったまま、弾かれたように百々史が振り向いた。一とぱちりと目が合う。一はベッドの上で、毛布にぐるぐるにくるまっている。眠そうな双眸と、ぴょこっと元気なくせっ毛が、かろうじて出ているだけだ。重力に逆らっていたくせ毛が、へたっと毛布にくっついた。それを見て、クスッと笑いつつ百々史は、
「ちょっとこっち来て」
小さく手招きをした。しかし、一は眉間にシワを寄せて
「えー、寒い……」
「いいから!」
百々史が語気を強めて言うと、掴んでいた分厚い遮光カーテンも一緒に揺れた。窓の外から白い光の破片がキラリと一の顔を照らす。
2807「どうしたの?」
その手をぼんやりと眺めていた一が、訊く。カーテンを握ったまま、弾かれたように百々史が振り向いた。一とぱちりと目が合う。一はベッドの上で、毛布にぐるぐるにくるまっている。眠そうな双眸と、ぴょこっと元気なくせっ毛が、かろうじて出ているだけだ。重力に逆らっていたくせ毛が、へたっと毛布にくっついた。それを見て、クスッと笑いつつ百々史は、
「ちょっとこっち来て」
小さく手招きをした。しかし、一は眉間にシワを寄せて
「えー、寒い……」
「いいから!」
百々史が語気を強めて言うと、掴んでいた分厚い遮光カーテンも一緒に揺れた。窓の外から白い光の破片がキラリと一の顔を照らす。
きょう
DONEある日引き出しからでてきた写真について語る唐つぐとはじめの話。notCP。父親とのエピソードを捏造しまくっているのでご注意ください。
勢いであげたので雑だヨン
忘却の写真はじめが父親とツーショットで写真を撮る機会は稀だった。
小学校の入学式の写真も、卒業式の写真も、居心地の悪そうな顔をした自分が一人だけで写っていた。家族が二人しかいないのだから、当たり前だ。
稀に、親切な第三者が撮影してくれるときもあったから、二人で撮られた写真が全く無いわけではない。しかし、数は圧倒的に少なかった。
ある日、父の部屋の整理をしていると、引き出しの奥から、写真の束がでてきた。
十二歳くらいの自分が遊園地で遊んでいたらしいスナップショット。大きなソフトクリームを美味しそうに食べて、遊園地のマスコットキャラクターとぎこちなく笑って。
パラパラと写真を見ながら、こんなことあったかなぁと記憶をたどる。
3741小学校の入学式の写真も、卒業式の写真も、居心地の悪そうな顔をした自分が一人だけで写っていた。家族が二人しかいないのだから、当たり前だ。
稀に、親切な第三者が撮影してくれるときもあったから、二人で撮られた写真が全く無いわけではない。しかし、数は圧倒的に少なかった。
ある日、父の部屋の整理をしていると、引き出しの奥から、写真の束がでてきた。
十二歳くらいの自分が遊園地で遊んでいたらしいスナップショット。大きなソフトクリームを美味しそうに食べて、遊園地のマスコットキャラクターとぎこちなく笑って。
パラパラと写真を見ながら、こんなことあったかなぁと記憶をたどる。
ふみこ
DONE下記のガチャで出てきたシチュです。BLではありません。
70 丁呂介の朝は早い。はじめ、大蔵、唐次の朝は遅い。特に唐次! 特に唐次! と丁呂介が叩き起す声を聞きながら朝食を食べているはじめと大蔵。
#お題ガチャ #足並み揃わない4人 https://t.co/AFypNsiDPb
丁呂介の家に三人が泊まった朝トントン……と軽快な音が、緑土邸の台所から聞こえてくる。
たすきがけをして前掛けをつけて、肘まであらわにした丁呂介が朝食を準備していた。
まな板の上の油揚げや玉ねぎが、丁呂介の包丁で切られていく。軽やかで手際のいい音だ。
そのまな板の隣には、火にかけられた鍋がある。煮干しがお湯の中でくるくると回っている。湯気にまじって良い出汁の香りが、ほのかに台所に漂う。
もう一方のガス台には炊飯器があり、ご飯がもうすぐ炊きあがりそうなフツフツとした音がし始めていた。
丁呂介はまな板を持って、鍋の上へ傾けて油揚げと玉ねぎを落とした。ふぅ……と丁呂介は息を吐いて、前髪を横へ流した。額には薄く汗をかいていた。火のそばは、意外と暑かった。
3309たすきがけをして前掛けをつけて、肘まであらわにした丁呂介が朝食を準備していた。
まな板の上の油揚げや玉ねぎが、丁呂介の包丁で切られていく。軽やかで手際のいい音だ。
そのまな板の隣には、火にかけられた鍋がある。煮干しがお湯の中でくるくると回っている。湯気にまじって良い出汁の香りが、ほのかに台所に漂う。
もう一方のガス台には炊飯器があり、ご飯がもうすぐ炊きあがりそうなフツフツとした音がし始めていた。
丁呂介はまな板を持って、鍋の上へ傾けて油揚げと玉ねぎを落とした。ふぅ……と丁呂介は息を吐いて、前髪を横へ流した。額には薄く汗をかいていた。火のそばは、意外と暑かった。